消化管過誤腫性腫瘍好発疾患群の小児から成人へのシームレスな診療体制構築のための研究

文献情報

文献番号
202011039A
報告書区分
総括
研究課題名
消化管過誤腫性腫瘍好発疾患群の小児から成人へのシームレスな診療体制構築のための研究
課題番号
20FC1007
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 佳子(中山 佳子)(信州大学 学術研究院医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 坂本 博次(自治医科大学 内科学講座消化器内科学部門)
  • 六車 直樹(徳島大学 大学院医歯薬学研究部 消化器内科学)
  • 梅野 淳嗣(九州大学 大学院病態機能内科学)
  • 熊谷 秀規(自治医科大学 医学部)
  • 内田 恵一(三重大学医学部附属病院 小児外科)
  • 神保 圭佑(順天堂大学 小児科)
  • 角田 文彦(宮城県立こども病院 総合診療科・消化器科)
  • 武田 祐子(浜崎 祐子)(慶應義塾大学看護医療学部)
  • 山本 敏樹(日本大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
2,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
消化管に良性の過誤腫が多発するPeutz-Jeghers症候群、Cowden症候群(PTEN過誤腫症候群)および若年性ポリポーシス症候群(以下、消化管過誤腫性腫瘍好発疾患群)は、根治的な治療法がない希少疾患であり、再発性に多発する消化管良性腫瘍に対し、小児から成人期まで生涯に渡りサーベイランスと治療を要する難治性疾患である。本研究班の研究目的は、消化管過誤腫性腫瘍好発疾患群の診療ガイドラインの作成・公開・普及、全国規模の患者数の把握と病態(重症例)の把握、移行医療を考慮した小児から成人へのシームレスな診療を可能とする拠点医療施設の整備、患者ニーズにあった社会的支援の拡充を達成することである。
研究方法
1.診療ガイドラインの作成・公開・普及
「Minds診療ガイドライン作成の手引き」に準じ、診療ガイドラインを作成し、標準的治療の普及活動を行う。
2. 全国頻度調査と小児慢性特定疾病患者データベースの二次利用
全国頻度調査等による患者数、重症例の病態を把握し、対応を検討する。
3. 前向きレジストリシステムの構築
関連学会とも協力しレジストリシステムの基盤整備を行う。
4. 拠点医療施設の整備と医療水準の向上に向けた取り組み
拠点病院は地域性を考慮し全国を網羅する。各拠点施設の小児・成人の診療受け入れ体制、遺伝カンセリングの整備状況に関する情報を提供する。標準的な治療の普及を目的に、医療者への教育的な取り組みを行う。
5. AYA世代の患者を対象としたQOL、社会的ニーズに関するアンケート調査
患者・家族の抱える困難感等の現状と課題を把握し、今後の支援体制の整備に繋げる。
6.患者・一般市民への知見の公開と社会的支援を行う
市民公開講座あるいは患者会の設立を目指した活動を予定する。
結果と考察
1.診療ガイドラインの作成・公開・普及
令和2年9月に「遺伝性腫瘍」に「小児・成人のためのPeutz-Jeghers症候群診療ガイドライン (2020年版)」、「小児・成人のためのCowden症候群/PTEN過誤腫症候群診療ガイドライン (2020年版)」、「小児・成人のための若年性ポリポーシス症候群診療ガイドライン (2020年版)」を公開した。その後、本診療ガイドラインは日本遺伝性腫瘍学会のホームページに無料で公開され、Mindsにも掲載された。
小児慢性特定疾病の概要と診断の手引きの見直しを行い、診療ガイドラインと診断基準等の齟齬がないように改版を日本小児科学会に提案した。
2. 全国頻度調査と小児慢性特定疾病患者データベースの二次利用
令和2年度は全国頻度調査の対象施設の抽出、一次アンケートの作成を終え、システムを構築した。令和3年度に一次調査と二次調査を行う予定である。
3. 前向きレジストリシステムを構築
Cowden症候群の前向きレジストリシステムについて、関連学会と協力して基盤整備の準備を開始した。
4. 拠点医療施設の整備と医療水準の向上に向けた取り組み
全国を網羅する拠点病院について、小児・成人の診療受け入れ体制、遺伝カンセリングの整備状況に関する情報を収集し、北海道から九州までの23の医療機関から36名の窓口となる担当医を選出した。今後、研究班のホームページを通じて情報を公開する。また、診療レベルの向上を目的に、医療者に向けた教育講演とe-learningの開催、学会雑誌あるいは書籍による周知を行った。
5. AYA世代の患者を対象としたQOL、社会的ニーズに関するアンケート調査
患者・家族の抱える困難感等の現状と課題についての調査を計画し、患者および医療者のニーズにあった具体的な対策の実現を目指す。
6.患者・一般市民への知見の公開と社会的支援を行う
市民公開講座あるいは患者会の設立がCOVID19感染のため困難な状況にあることから、令和2年度は十分な活動ができなかった。研究班ホームページ等を通じて患者・一般市民に向けた情報を発信を行っていく。
 令和2年度の活動を振り返り、診療ガイドラインの公開が大きな成果であったが、それ以外については活動の準備段階であり、引き続き研究目的の達成のため次年度の活動を活発に行っていく。

結論
この研究により得られる成果が国民の健康に還元されるように、研究班ホームページ等を通じて医療者および患者・一般市民にも広く情報を提供していく。難治性希少疾患の診療体制の整備、AYA世代を対象とした移行期医療の拡充、小児慢性特定疾病事業や指定難病などの厚生労働行政のさらなる発展に寄与するよう引き続き活動を継続する。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
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公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202011039Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,000,000円
(2)補助金確定額
3,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 311,643円
人件費・謝金 562,432円
旅費 0円
その他 1,437,045円
間接経費 690,000円
合計 3,001,120円

備考

備考
自己資金1,120円相殺無し

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
2021-12-14