迅速・簡便な検査によるレジオネラ対策に係る公衆浴場等の衛生管理手法に関する研究

文献情報

文献番号
200738036A
報告書区分
総括
研究課題名
迅速・簡便な検査によるレジオネラ対策に係る公衆浴場等の衛生管理手法に関する研究
課題番号
H19-健危-一般-014
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
倉 文明(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 遠藤卓郎(国立感染症研究所 寄生動物部)
  • 前川純子(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 森本 洋(北海道立衛生研究所 微生物部)
  • 山崎利雄(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター)
  • 八木田健司(国立感染症研究所 寄生動物部)
  • 黒木俊郎(神奈川県衛生研究所 微生物部)
  • 中嶋 洋(岡山県環境保健センター 細菌科)
  • 杉山寛治(静岡県環境衛生科学研究所 微生物部)
  • 荒井桂子(横浜市衛生研究所 検査研究課)
  • 緒方喜久代(大分県衛生環境研究センター 微生物担当)
  • 田栗利紹(長崎県環境保健研究センター 保健科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
26,066,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国におけるレジオネラ症の多くは入浴施設を介して発生しているが、浴槽水中のレジオネラ属菌検査は培養を基本としており、結果判定までに7~10日間要する。そこで、迅速にレジオネラ汚染を測定する方法の評価、改善を目的とした。
研究方法
 定量的リアルタイムPCR(qPCR)およびLAMP 法を利用した市販されている遺伝子検査用試薬キットの性能試験を行なった。Legionella pneumophilaについて、flaA等の塩基配列の差異に基づく遺伝子型別を行った。
結果と考察
1. DNA迅速検査の結果を基準株の菌数で換算することができた。また、両検査キットはわが国に分布するレジオネラ属菌をほとんど検出し、従属栄養細菌を検出しなかった。qPCR法の検量線は直線性が高かった。LAMP法はもともと定性反応であるが、一定の濁度に達する時間として検量の可能性がみられた。
2. DNA抽出法として酵素溶菌法を用いることにより、浴槽水の検査においてフミンや薬湯成分による阻害を回避することができた。
3. 浴槽水366試料からのレジオネラ検出率は培養法で15.8%、LAMP法で41.3%、qPCR法で44.0%であった。全体としては、培養法とqPCR法の定量値に相関は認められなかったが、遊離残留塩素が0.4mg/L以下の試料に限定すると、よく相関していた。
4. Ethidium monoazideと PCR のコンビネーションによりレジオネラの生菌のみ検出するPCRを開発した。
5. わが国のL. pneumophila臨床分離株61株は、39種類(30種類が日本特有の型)に型別された。給湯水分離株12株は浴槽水分離株のflaA型の傾向によく似ているものの、冷却塔水分離株で最も多いflaA1型も検出された。土壌株33株にはflaA5という独自の型がみられた。
6. 循環式モデル浴槽で、qPCR法の有用性を示した。分離集落の形態的特徴を利用した検査(斜光法)を行うことにより、レジオネラ属菌の存否を高い確率で確認できた。浴槽水のATP量は従属栄養細菌数および一般細菌数にほぼ並行し、浴槽水の菌濃度あるいは汚れの度合いの指標としてATP量を利用することの可能性が示された。
結論
DNA迅速検査は、レジオネラの定量的な衛生管理に導入できる。

公開日・更新日

公開日
2008-05-13
更新日
-