水道水異臭被害を及ぼす原因物質の同定・評価および低減技術に関する研究

文献情報

文献番号
200738035A
報告書区分
総括
研究課題名
水道水異臭被害を及ぼす原因物質の同定・評価および低減技術に関する研究
課題番号
H19-健危-一般-013
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
西村 哲治(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 越後 信哉(京都大学大学院 工学研究科 都市社会工学専攻)
  • 大野 浩一(北海道大学大学院工学研究科 環境創生工学専攻)
  • 小坂 浩司(国立保健医療科学院 水道工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,307,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の水道では、安全で安心して飲める水道水が供給されているが、突発的な異臭発生や塩素処理により生成する臭気物質が水道水に対する不満足感の要因となっている。本研究では、水質基準項目のカビ臭物質以外の臭気原因物質およびその前駆体物質の削減と臭気被害の低減化に資する技術を確立することにより、水道水の快適性の一層の向上図ることを目的とする。
研究方法
以下の項目を分担して研究を推進し、得られた結果や意見の交換を積極的に行い、研究項目を相互に関連させながら進めた。
1)臭気原因物質のデータベースの構築
2)臭気原因化学物質のヘッドスペース-ガスクロマトグラフ/質量分析(H-GC/MS)計による高感度一斉分析法の確立
3)臭気官能試験法の適用条件に関する検討
4)浄水処理における新たな臭気物質除去法に関する研究
なお、倫理面への配慮として、ヒトによる官能試験を実施するにあたり、実施機関における倫理規定に基づく申請を行い、承認を受けて行った。
結果と考察
ダイナミック-HS-GC/MS計では、保持時間の短い臭気物質に対しては、水分の影響を受けて十分な感度や精度が得られなかった。カルキ臭の主原因として考えられるトリクロラミンについて、高感度で確度が高く、汎用性の高いHS-GC/MS法による測定方法を開発した。
現行の官能試験法より再現性がよい、三点比較法を提案した。高度浄水処理水にもカルキ臭が存在し、カルキ臭の原因物質は主に還元剤により容易に還元される化合物であると推定された。クロラミンの前駆物質であるアンモニウムイオンの除去に、一部のゼオライトが優れていた。
微粉化活性炭添加により、モノクロラミンは除去されず、ジクロラミン、トリクロラミンは経時的に除去され、カルキ臭の除去効率は市般の粉末活性炭に比較して良かった。
結論
臭気原因物質のデータベース構築のために情報の整理を行った。臭気化学物質の分析方法および同定をすすめた。開発したクロラミンの高感度分析方法であるHS-GC/MS法は、装置自体の改良を最小限に抑えることで対応できるため、汎用性の高い測定方法としての発展が期待できる。三点比較法は、現行の官能試験法より再現性がよかった。水道原水中のアンモニアの除去法として、塩素と活性炭添加による物理化学的処理方法の有効性が示唆された。その際、粉末活性炭の微粉化はクロラミン類の分解速度向上に寄与することが示された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-22
更新日
-