難病患者の総合的地域支援体制に関する研究

文献情報

文献番号
202011033A
報告書区分
総括
研究課題名
難病患者の総合的地域支援体制に関する研究
課題番号
20FC2003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
小森 哲夫(独立行政法人国立病院機構箱根病院 神経筋・難病医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 宮地 隆史(国立病院機構柳井医療センター)
  • 阿部 達哉(国立病院機構箱根病院 神経筋・難病医療センター)
  • 原口 道子(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 中山 優季(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 中馬 孝容(滋賀県立総合病院)
  • 植木 美乃(名古屋市立大学)
  • 小倉 朗子(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 千葉 圭子(公益社団法人京都府看護協会)
  • 江口 尚(産業医科大学)
  • 植竹 日奈(国立病院機構まつもと医療センター)
  • 溝口 功一(国立病院機構静岡医療センター)
  • 今井 富裕(札幌医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究分担者 江口 尚 北里大学(令和2年4月1日~令和2年6月30日) →産業医科大学(令和2年7月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
令和2年度の研究課題は、令和元年度の後半に厚労省にて構成、開催された難病・小児慢性特定疾病の「研究・医療ワーキング」「地域共生ワーキング」での議論も参考にし、5年後見直し後の難病法下の総合的地域支援体制に資することを意識した。そこで、「継続的難病医療体制」「難病の包括的地域支援」「難病従事者の教育・研修」3つのカテゴリーで今後の難病施策の基礎となる研究を実施した。
研究方法
課題ごとに必要な情報を集約するために、それぞれが対象とする職種に絞ったアンケート、行政や医療機関への組織構成などの調査、専門職種へのヒアリングなどを組みあわせた。COVID-19の影響を受けて対面調査を避け、多くはWEB調査に切り替えて実施した。また、WEB研修会を開催し、その参加者にアンケート調査する場合もあった。
結果と考察
「継続的難病医療体制」では、都道府県の難病診療連携拠点病院(以下、拠点病院)における難病診療連携コーディネーター(以下、コーディネーター)や難病診療カウンセラー(以下、カウンセラー)の拠点病院内での職場環境も含めた業務について現状と改善すべき課題をアンケート調査にて収集して整理するとともに、コーディネーターが難病医療支援ネットワークとの連携業務を有することから、難病医学研究財団と共同で全国各地のコーディネーターが参加するWEB会議を開催し現状を共有するとともに課題を抽出し成果物としてまとめた。難病医療は拠点病院での診断後に患者が居住する地域の身近な医療機関や訪問看護、訪問介護など多職種・多機関からなる地域支援事業者の連携が支援に必須となる場合もあり、医療機関と地域資源の連携を整理して支援の構造化と支援機能から継続的支援指標の作成に到るべく基礎的データの収集を実施した。また、在宅療養を継続するために欠かせない訪問看護事業者からの情報を基に在宅療養看護必要指標を考案するため、提供する看護内容と対処となる患者の病態や生活実態との関係を調査した。その際、「難病の包括的地域支援」における研究課題とした保健所機能や難病相談支援センター機能との情報交換も意識して実施した。さらに、継続的難病医療で患者から必要とされる難病のリハビリテーションは、医療保険と介護保険の両方でそれぞれ制度化されていることから、医療機関の医療保険サービスと地域での介護保険サービスが双方向で継続する体制を考える必要がある。そこで、ケアマネジャーを対象とした実態調査から課題抽出を行った。また、医療機関から地域へと継続した難病リハビリテーションの有効性を検証する同一患者の経年的調査を継続している。
 「難病の包括的地域支援」では、保健所における難病対策地域協議会の機能強化と均霑化を目指した運営ガイドラインの改訂とともに好事例収集の一貫で研修会を継続的に開催し、内容を成果物とした。これは、全国の保健所で閲覧利用できる。また、前述の「地域共生ワーキング」で大きく取り上げられている難病相談支援センターに関して、難病相談支援センター機能の標準化を念頭に、全国の難病相談支援センター施設長、自治体(難病対策所管課・保健所)担当保健師等、難病患者就職サポーターを対象に組織の状況を含めてアンケート調査を実施した。難病相談支援センターがハブとなる就労支援に関して、難病患者の就労に至る要因を解析した。主治医が患者を就労相談窓口に繋ぐ事、採用側が難病の開示できる環境を整えることが大切であることが分かった。また、令和元年度に作成した「仕事と治療と両立お役立ちノート」を利用者の意見を参考にして就労支援に利用しやすいよう改訂作業を実施し分冊化して成果物とした。継続的に取り組んでいる難病の災害対策は、風水害時の対策について成果物を作成した。
 「難病従事者の教育・研修」は、本研究班の全課題に関わる多職種に共通する課題であり、研究分担者や研究協力者全体で取り組む必要があった。教育・研修には様々な側面があるが、現任教育として難病従事者のニーズに応える方法や内容を指向する必要があった。そのため、全国の難病従事者5000人のアンケートを実施して研修内容の必要度を探った。結果的には、研究分担者等専門家が必要と考える内容と一致する結果であり、時代に適合した方法で研修を組み立てていくことが良いと判明した。
結論
調査研究の手法に変更は生じたが、各課題は着実に調査を積み重ねた。成果物が作成された課題もあり、次年度に向けての基礎的調査を終えた課題もあった。引き続き、課題解決への研究を進め、難病患者の総合的地域支援体制構築に向けた政策提言に繋げる。これらの8課題13研究の研究成果は可能な限り研究班ホームページに掲載し、広く利用できるよう配慮している。(https://plaza.umin.ac.jp/nanbyo-kenkyu/)

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
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-

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公開日
2021-05-27
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文献番号
202011033Z