地域における健康危機に対応するための地方衛生研究所機能強化に関する研究

文献情報

文献番号
200738033A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における健康危機に対応するための地方衛生研究所機能強化に関する研究
課題番号
H19-健危-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
吉村 健清(福岡県保健環境研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 織田 肇(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 澤田 幸治(北海道立衛生研究所)
  • 前田 秀雄(東京都健康安全研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は健康危機発生時に対応するため、微生物、化学物質を網羅的かつ迅速に分析する手法を実用化し、それぞれの検査手法の有効性を疫学的に評価すること、地研の疫学機能の強化を図ることを目的とする。
研究方法
細菌部門では、インターカレーター法によるReal Time PCR法を、8菌種について検討した。ウイルス部門では、文献を調査し、主に呼吸器ウイルスを検出するmultiplex RT PCR法について、プライマーや反応条件を検討した。また、エンテロウイルスを検出するためのプライマーについて、比較検討を行った。化学部門では、全国の地方衛生研究所(26機関)から検査マニュアルを収集し、重金属の分析法を抽出し、精査・評価した。さらに、疫学部門では、既に実施されている各地研の疫学機能事例を保健行動モデル(PRECEED-PROCEED Model)を用いて分析し、地研疫学機能のあり方及びその強化に必要な政策を探求し、提案した。
結果と考察
細菌部門における、インターカレーター法によるReal Time PCR法は、今回対象とした菌種については、ほとんど検出可能であり、実用化が可能であると考えられる。ウイルス部門において検討したmultiplex RT PCR法については、十分な感度があることが示され、検査に使用できると考えられた。また、エンテロウイルスの迅速な型別を行うために使用するプライマーを検討し、使用可能と思われる部位を確認できた。次に、化学部門では、地方衛生研究所のマニュアルを調査・検討した結果、重金属の迅速分析法としては、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP/AES)や誘導結合プラズマ質量分析法(ICP/MS)が適当という結果を得た。一方、疫学部門で行った事例検討の結果、推進要因がいくつか挙げられた。これらの要因を解析し、疫学機能を推進するために、各地方衛生研究所、地方衛生研究所全国協議会、本庁、厚生労働省の実施すべき方策を提案した。
結論
微生物(細菌、ウイルス)、化学物質を網羅的かつ迅速に分析する手法は、ある程度確立しつつあり、今後は、実証試験を実施し、疫学的に評価する予定である。また、疫学機能強化については、さらに多角的に解析を行い、必要な方策を提言していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-05-09
更新日
-