文献情報
文献番号
202011032A
報告書区分
総括
研究課題名
MECP2重複症候群及びFOXG1症候群、CDKL5症候群の臨床調査研究
課題番号
20FC1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 雅之(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第二部)
研究分担者(所属機関)
- 松石 豊次郎(久留米大学高次脳疾患研究所)
- 黒澤 健司(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 遺伝科)
- 高橋 悟(旭川医科大学医学部)
- 青天目 信(大阪大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
2,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
MECP2重複症候群及びFOXG1症候群、CDKL5症候群は比較的新しい疾患である。有効な治療法がないために対症療法に頼らざるをえず、生後早期からの療育を必要とする。しかし、希少性が高く、疾患認知度が低いことから診断が遅れることが多く、社会生活を大きく制約されている。
MECP2重複症候群患者の多くは30歳代までに重症感染症のために死亡する。令和元年度より小児慢性特定疾病に認定されたが、指定難病認定は見送られ成人患者の支援が滞っている。一方、FOXG1症候群とCDKL5症候群はレット症候群の非典型型として認識されていたが、現在では独立した疾患として確立されている。各疾患とも特徴的な臨床像があり、その予後には違いがある。これらの疾患の全国調査を行い、小児慢性特定疾病及び指定難病の認定に必要な資料を揃えるとともに、遺伝子診断による診療支援と患者家族会の支援を行う。さらに、FOXG1異常症の遺伝学的検査の確立を目指して、従来当研究室で行ってきた解析手法をFOXG1の遺伝学的診断に適用し、その効果を検討した。
MECP2重複症候群患者の多くは30歳代までに重症感染症のために死亡する。令和元年度より小児慢性特定疾病に認定されたが、指定難病認定は見送られ成人患者の支援が滞っている。一方、FOXG1症候群とCDKL5症候群はレット症候群の非典型型として認識されていたが、現在では独立した疾患として確立されている。各疾患とも特徴的な臨床像があり、その予後には違いがある。これらの疾患の全国調査を行い、小児慢性特定疾病及び指定難病の認定に必要な資料を揃えるとともに、遺伝子診断による診療支援と患者家族会の支援を行う。さらに、FOXG1異常症の遺伝学的検査の確立を目指して、従来当研究室で行ってきた解析手法をFOXG1の遺伝学的診断に適用し、その効果を検討した。
研究方法
MECP2重複症候群では、指定難病登録申請を行なった。FOXG1症候群とCDKL5症候群では、疫学的調査を全国的に行い、一次調査を終えた。二次調査を行い、臨床実態の解明と診断基準の策定、小児慢性特定疾病および指定難病の登録申請を行う予定である。
遺伝子解析では、MECP2重複症候群とFOXG1症候群、CDKL5症候群の遺伝子診断を行った。いずれも複数の遺伝子解析技術を要することがわかった。メンデル遺伝病パネル解析および全エクソーム解析のデータによる元的に点変異とCNVの同時検出が有用であることが分かった。
遺伝子解析では、MECP2重複症候群とFOXG1症候群、CDKL5症候群の遺伝子診断を行った。いずれも複数の遺伝子解析技術を要することがわかった。メンデル遺伝病パネル解析および全エクソーム解析のデータによる元的に点変異とCNVの同時検出が有用であることが分かった。
結果と考察
MECP2重複症候群の成人患者調査を行ない、18歳以上になると学校教育を離れ、社会的自活を求められるのに対して、疾患の重症度から患者家族の経済的、精神的、体力的な負担が大きく、相当の支援を必要としていることが明らかになった。これらを踏まえて、指定難病申請を行なった。FOXG1症候群とCDKL5症候群では、全国674施設を対象に一次調査を行なった。回収率69.6%を得て、FOXG1症候群28例とCDKL5症候群43例の患者数であった。さらに回収率を上げて、患者数調査を行い、有病率分析を行なう。
遺伝子検査・診断では、3例のMECP2重複症候群と4例のFOXG1症候群、1例のCDKL5症候群を診断した。MLPA法やarray CGH法を加えた複合的な解析が必要であった。神奈川こども医療センターでは、メンデル遺伝病パネル解析のデータ変換によるCNV評価を開発した。
患者家族会との研修会と講演会を予定していたが、COVID19により中止(あるいは延期)に至った。
遺伝子検査・診断では、3例のMECP2重複症候群と4例のFOXG1症候群、1例のCDKL5症候群を診断した。MLPA法やarray CGH法を加えた複合的な解析が必要であった。神奈川こども医療センターでは、メンデル遺伝病パネル解析のデータ変換によるCNV評価を開発した。
患者家族会との研修会と講演会を予定していたが、COVID19により中止(あるいは延期)に至った。
結論
MECP2重複症候群の成人例の調査結果から、指定難病登録を行なった。FOXG1症候群とCDKL5症候群の調査研究から、診断基準の策定と小児慢性特定疾病と指定難病の登録申請を行う。遺伝子解析では、解析パイプラインの工夫で点変異とCNVも正確に評価することが可能であり、広く臨床応用をはかる。
公開日・更新日
公開日
2021-05-27
更新日
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