難病に関するゲノム医療推進にあたっての統合研究

文献情報

文献番号
202011031A
報告書区分
総括
研究課題名
難病に関するゲノム医療推進にあたっての統合研究
課題番号
20FC2002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 英洋(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 勤(慶應義塾大学 医学部)
  • 武藤 香織(国立大学法人東京大学 医科学研究所)
  • 山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 徳永 勝士(国立国際医療研究センター ゲノム医科学プロジェクト(戸山))
  • 林 義治(日本製薬工業協会 研究開発委員会)
  • 鎌谷 洋一郎(東京大学新領域創成科学研究科)
  • 小杉 眞司(国立大学法人京都大学大学院 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難病ゲノム医療の推進にあたり、令和元年12月に全ゲノム解析等実行計画(第1版)が策定され、難病の全ゲノム解析等は、難病の早期診断、新たな治療法開発など、難病患者のより良い医療の推進のために実施し、全ゲノム解析等により、難病の本態解明、効果的な治療・診断方法の開発促進を進めていくこととされた。具体的な進め方として、最大3年程度を目処に当面は、難病のゲノム解析拠点[日本医療研究開発機構(AMED)の難治性疾患実用化研究事業において運営されているオミックス解析を通じて希少難治性疾患の医療に貢献する基盤研究(以下「オミックス解析研究」)の拠点及び希少未診断疾患に対する診断プログラムの開発に関する研究(以下「IRUD」)解析拠点の検体及び今後提供される新たな検体を対象に先行解析を行い、本格解析の方針決定と体制整備を進めることとされた。
本研究では、全ゲノム解析等実行計画の着実な遂行に向け、難病ゲノム医療に関する各種研究班との連携の下、先行解析の円滑な実施及び本格解析ための体制整備を戦略的に進めることを目的とする。
研究方法
初年度は、2020年度後半から実施予定の先行解析に先立ち、①協力医療機関、②同意書の検討・国民への普及啓発、③臨床情報の検討、④ゲノム基盤の運営・管理、⑤医薬品開発の促進に向けたゲノムデータ基盤のあり方、⑥国際連携、⑦人材育成等についての体制整備に関する検討を行い検討会へ報告し、各種同意書・症例報告書等のひな形を作成し、円滑な先行解析につなげる。
2年目は、先行解析の実施状況に合わせ、ゲノム医療実現に向けた難病ゲノム医療の拠点となる病院・運営主体等の体制整備等、初年度の検討事項について本格解析に向けた提言を行う。
なお、本研究は、行政的スケジュールを考慮し全体の進捗管理を十分に行うとともに、AMEDのオミックス研究班及びIRUDの他、「難病プラットフォーム」、また、厚生労働科学政策研究事業の「難病ゲノム医療に対応した遺伝カウンセリングの実態調査と教育システムの構築に関する研究」及び「難病領域における検体検査の精度管理体制の整備に資する研究」と充分な連携を図り実施する。
結果と考察
2020年4月、6月、8月、10月、2021年2月にオンラインによる班会議を開催し、毎回3時間を超える検討を行い、以下の①〜⑦の成果が得られた。
① 難病ゲノム医療の推進上、医療機関において備えるべき要件について、中核拠点病院、拠点病院、協力病院からなる体制を取りまとめた(竹内研究分担者)。
② 同意書等について、先行解析における既存試料・情報のオプトアウト方針を策定し、本格解析を見据えた同意書のひな型案を作成した(武藤研究分担者)。
③ 臨床情報について、必須項目、臨床調査個人票あるいはIRUD収集項目、追加項目(患者レジストリ等で収集)に分類し、電子システムを用いて構造化データを収集する方針を決定した(山野研究分担者)。
④ ゲノム基盤で行われる、臨床検体の保存・管理(バイオバンク)、シークエンス・基礎解析、ゲノムデータ・臨床データの保存・管理、その他運営・管理に必要な事項について、方針及び運用方法を検討し基本方針を策定した(徳永研究分担者)。
⑤ 医薬品開発の促進につながるゲノムデータ基盤の構築にあたって必要な機能等の検討、各国のゲノム基盤の産業活用の状況及び費用負担等の調査を行った(林研究分担者)。
⑥ 指定難病の告示病名・局長通知病名とOMIM、Orphanet、ICD-11について調査し対応表の暫定版を作成した(鎌谷研究分担者)。
⑦ ゲノム医療を推進する専門的人材(臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー、ゲノムインフォマティシャンなど)の育成状況について調査し、特に重要なゲノムインフォマティシャン育成の教育内容案を策定した(小杉研究分担者)。
 このような検討にもとづき2020年10月28日には、「難病のゲノム医療推進に向けた全ゲノム解析基盤に関する研究開発(先行解析班)」の発足を受けて、説明会を会議場とオンラインのハイブリッド形式で行い意見交換を含め関係者へ周知した(水澤研究代表者・全研究分担者)。班会議の記録や説明会の資料などは全て研究班のホームページに公開されている (http://www.nanbyo-genome-tkh.org/index.html)。
 本研究は、難病のゲノム医療推進のために様々な観点から総合的に検討するという大変広範囲に亘る項目を担当したが、先行解析班との説明会を含め予定の活動を全て完了することができた。
結論
当初の目標を達成し難病のゲノム医療推進に貢献することができた。ちなみに、先行解析班では予定の検体数を年度内に収集し解析を行ったことが報告されている。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
2023-02-27

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202011031Z