健康危機発生時の迅速なる検査体制および原因究明に向けた連携体制構築に関する研究

文献情報

文献番号
200738032A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機発生時の迅速なる検査体制および原因究明に向けた連携体制構築に関する研究
課題番号
H19-健危-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
西田 まなみ(広島大学技術センター)
研究分担者(所属機関)
  • 奈女良 昭(広島大学大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内閣官房、厚生労働省を始めとする各省庁、大学および企業などの危機管理担当者間の情報共有体制を構築し、担当者の育成ならびに平時からの危機管理意識の向上をはかる。また、化学物質が関与した災害発生時に、科学的根拠に基づいた治療が施されるように、医療機関、保健所や地方衛生研究所などの分析担当者が連携し、起因物質を迅速に検索し、国民保護および安全管理に資することを目的とする。
研究方法
1)化学災害に対する現状把握のために、地域における救命救急センターや保健所などの協力体制について聞き取り調査を行った。また、化学災害およびテロ攻撃に備えて、科学警察研究所や民間企業などの危機管理専門家にインタビュー調査を行い、各分野での危機管理の現状を調査するとともに他分野への危機管理情報発信の目的で「危機管理勉強会」ネットワークを構築した。
2)ヒ素や有機リン系農薬、有毒ガスなど毒性の高い化学物質の迅速な検査法を開発、改良した。3)医療機関や地方衛生研究所、消防などの薬毒物分析を行う実務担当者を対象に、模擬試料を使った実地講習会を開催し、実践に即した機材の使用法や結果の解釈などを助言した。
結果と考察
市や県では危機管理対策マニュアルが作成され、非常時の関係機関の連携体制や行動規範が記されているが、現状では消防、保健所などの実働担当者間での協力体制は構築されておらず、末端への徹底が必要である。また、実地訓練などを通して実情に即した対処法に改善することが望まれる。
「危機管理勉強会」ネットワークは、各省庁、大学および企業などの危機管理担当者400名余りで構成され、これまでになかった横断的な担当者間の情報共有と危機管理意識の向上をはかった。
医療機関、地方衛生研究所などへの実地訓練では、参加者が薬品や機材を使った実習を行い、今後の機材導入に参考となるなどの評価であった。また、広島市消防局からは実働隊員を始め15名が参加、20年4月の特別高度救助隊発足に向けた原因物質特定や情報提供についての実務者レベルでの協力体制構築の依頼があり、詳細を検討中である。
結論
本成果により、災害や事件を多角的視野にたって解析する実践に即した危機管理の人材教育が可能と考えられる。また、事例に応じた機器や処理法を選択する知識が要求されるため、実務者間での交流を持つことが危機発生時の初動に役立つと考える。
しかし、急激な意識改革は困難であり、日頃経験する事例での経験を重ね、本研究を継続的に実施する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-06-04
更新日
-