地域の社会情報及び地理情報を加味した健康危機情報の分析と支援システムに関する調査研究

文献情報

文献番号
200738031A
報告書区分
総括
研究課題名
地域の社会情報及び地理情報を加味した健康危機情報の分析と支援システムに関する調査研究
課題番号
H19-健危-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
浅見 泰司(東京大学 空間情報科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 郡山 一明(財団法人救急振興財団救急救命九州研修所)
  • 有川 正俊(東京大学 空間情報科学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域空間情報を的確に収集し、健康危機の原因の検討に利用できるソフトウェアである、空間ドキュメント管理システム(SDMS)の操作性の向上開発を行った。また、健康危機情報の分析として、小学校の欠席状況を用いて、インフルエンザなどの流行推移から空間的特徴を発見するための分析手法の開発を行った。
研究方法
支援システムについては、SDMSの操作性向上を中心に研究開発した。(1)地図表示の高速化:地図データキャッシュ機能を導入することで解決を図った。(2) 大量の文書の管理:プロジェクト概念を導入し、ドキュメントやPOIをプロジェクト単位で管理できるようにした。(3)点地理オブジェクトの属性値表現:空間アノテーションの導入により解決する方法を検討した。健康危機情報の分析では、小学校の児童欠席率を用いて、地域の相互影響強度を学習していくモデルを検討した。標準化欠席比を用いて、健康危機事態アウトブレイクを把握できるかを検証した。
結果と考察
支援システムについては、(1)地図データキャッシュ機能:キャッシュに地図データがある場合は、表示スピードは約10倍程度速くなることを確認できた。また、選択されたドキュメントやPOIに対する、適切な地図表示、つまり選択されたPOI集合を中央に全部表示し、できるだけ縮尺の大きな地図で表示する機能も実現できた。(2)プロジェクト管理機能:目的ごとにプロジェクトを使い分けることによって、ドキュメント集合とPOI集合を混乱することなく利用できる環境を実現した。また、時系列情報をアニメーションで表示する機能を実現した。(3)空間アノテーション機能:記述方法および利用形態に関して検討を行い、プロトタイプの実装を行い、実用性を検討した。健康危機情報の分析では、空間的推移を捉えるための流行モデルを構築し、周辺地域に大きな影響を及ぼす流行のハブ的要素を持つ地域が存在する可能性が示された。また、標準化欠席比を用いることで、クリプトスポリジウム事例、感染性腸炎、インフルエンザ時期に一致して欠席状況の変化が見られた。
結論
支援システムについては、SDMSのRSS対応による自動通知・自動更新機能について研究開発を行う。健康危機情報の分析では、空間モデルとしての精緻化をおこなう。また、地域状況と流行との関係性について考察をおこなう。来年度は引き続きシステムの細かな改善を行い、サーベイランスシステムとしての完成と、GISへの応用化を図る予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-14
更新日
-