文献情報
文献番号
                      202011027A
                  報告書区分
                      総括
                  研究課題名
                      発汗異常を伴う稀少難治療性疾患の治療指針作成、疫学調査の研究
                  研究課題名(英字)
                      -
                  課題番号
                      19FC1009
                  研究年度
                      令和2(2020)年度
                  研究代表者(所属機関)
                      横関 博雄(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 皮膚科学分野)
                  研究分担者(所属機関)
                      - 並木 剛(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野)
 - 佐藤 貴浩(防衛医科大学校)
 - 室田 浩之(長崎大学 大学院)
 - 渡邉 大輔(愛知医科大学 医学部 皮膚科学)
 - 中里 良彦(埼玉医科大学 脳神経内科)
 - 朝比奈 正人(医療法人同和会神経研究所)
 - 岩瀬 敏(愛知医科大学医学部)
 - 下村 裕(山口大学 大学院医学系研究科)
 - 新関 寛徳(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 感覚器・形態外科部 皮膚科)
 - 野村 尚史(京都大学医学研究科皮膚科学)
 - 吉田 和恵(国立成育医療研究センター 感覚器・形態外科部 皮膚科)
 - 久松 理一(学校法人杏林学園 杏林大学 医学部消化器内科学)
 - 芳賀 信彦(東京大学 医学部附属病院)
 - 久保田 雅也(島田療育センター 小児科)
 - 藤本 智子(田中 智子)(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
 - 犬飼 洋子(愛知医科大学 医学部)
 
研究区分
                      厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
                  研究開始年度
                      令和1(2019)年度
                  研究終了予定年度
                      令和3(2021)年度
                  研究費
                      7,000,000円
                  研究者交替、所属機関変更
                      -
                  研究報告書(概要版)
研究目的
            発汗異常を伴う稀少難治性疾患には無汗症、多汗症を伴う肥厚性皮膚骨膜症などがある。無汗症は先天性と後天性に分類され先天性無汗症には無汗(低汗)性外胚葉形成不全症、先天性無痛汗症(指定難病130)などがある。無汗(低汗)性外胚葉形成不全症は毛髪、歯牙、爪、汗腺の形成不全を特徴とする遺伝性疾患である。本研究ではまず無汗外胚葉形成不全症の診断基準重症度基準、分類、生活指導など治療指針を作成した。さらに本邦における全国的な疫学調査を継続して施行し無汗外胚葉形成不全症の発症頻度を明らかにするとともにレジストリを作成して適切な治療法の確立を目指す。
      研究方法
            ・疫学調査
発症頻度を明らかにするとともにレジストリを作成して適切な治療法の確立を目指す。
・診療ガイドラインの策定
重症度基準、エビデンスに基づいた治療法を確立する
・遺伝子解析
遺伝子解析により各病型を分類して頻度を把握する。
      発症頻度を明らかにするとともにレジストリを作成して適切な治療法の確立を目指す。
・診療ガイドラインの策定
重症度基準、エビデンスに基づいた治療法を確立する
・遺伝子解析
遺伝子解析により各病型を分類して頻度を把握する。
結果と考察
            AIGA157例の検討では、ステロイドパルス療法が有効であったAIGA124例の検討では発症から1年以内では73%であり、発症から治療開始までの期間が短いほうがステロイドパルス療法の有効性が高い傾向があった。
無(低)汗性外胚葉形成不全症患者の遺伝子解析、皮膚症状の解析、合併症の解析を試みた。興味深いことに26例中14例(54%)でアトピー性皮膚炎を合併し、11例(42%)で気管支喘息を合併していた。
先天性無痛無汗症に関しては、患者家族の抱える固有の問題とニーズを洗い出すことを目的にアンケート調査を行った。患者の新たな睡眠障害は約2割に認めた。患者の新たな行動変容は約5割に認めた。
肥厚性皮膚骨膜症(PDP)患者42例を渉猟した。今回はじめて小腸潰瘍症の頻度が12.2%と報告され、また、平成22年の全国調査に比べ、掌蹠多汗症の頻度が64.3%と約2倍であることが判明した。
      無(低)汗性外胚葉形成不全症患者の遺伝子解析、皮膚症状の解析、合併症の解析を試みた。興味深いことに26例中14例(54%)でアトピー性皮膚炎を合併し、11例(42%)で気管支喘息を合併していた。
先天性無痛無汗症に関しては、患者家族の抱える固有の問題とニーズを洗い出すことを目的にアンケート調査を行った。患者の新たな睡眠障害は約2割に認めた。患者の新たな行動変容は約5割に認めた。
肥厚性皮膚骨膜症(PDP)患者42例を渉猟した。今回はじめて小腸潰瘍症の頻度が12.2%と報告され、また、平成22年の全国調査に比べ、掌蹠多汗症の頻度が64.3%と約2倍であることが判明した。
結論
            1)特発性後天性全身性無汗症(AIGA)
AIGA124例の検討では、ステロイドパルス療法が有効であった治癒率は73%で発症から治療開始までの期間が短いほうがステロイドパルス療法の有効性が高い傾向があった。寛解57例の再発率は48%であった。
2)無(低)汗性外胚葉形成不全症
26例中14例(54%)でアトピー性皮膚炎を合併し、11例(42%)で気管支喘息を合併していた
3)肥厚性皮膚骨膜症
掌蹠多汗症の頻度が64.3%と約2倍であることが判明した。
4)先天性無痛無汗症
新型コロナウィルス感染症の増大で患者の新たな睡眠障害は約2割に認めた。患者の新たな行動変容は約5割に認めた。
      AIGA124例の検討では、ステロイドパルス療法が有効であった治癒率は73%で発症から治療開始までの期間が短いほうがステロイドパルス療法の有効性が高い傾向があった。寛解57例の再発率は48%であった。
2)無(低)汗性外胚葉形成不全症
26例中14例(54%)でアトピー性皮膚炎を合併し、11例(42%)で気管支喘息を合併していた
3)肥厚性皮膚骨膜症
掌蹠多汗症の頻度が64.3%と約2倍であることが判明した。
4)先天性無痛無汗症
新型コロナウィルス感染症の増大で患者の新たな睡眠障害は約2割に認めた。患者の新たな行動変容は約5割に認めた。
公開日・更新日
公開日
          2021-07-01
        更新日
          -