指定難病と小児慢性特定疾病に関連した先天性骨系統疾患の適切な診断の実施と医療水準およびQOLの向上をめざした研究

文献情報

文献番号
202011024A
報告書区分
総括
研究課題名
指定難病と小児慢性特定疾病に関連した先天性骨系統疾患の適切な診断の実施と医療水準およびQOLの向上をめざした研究
課題番号
19FC1006
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
澤井 英明(兵庫医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 芳賀 信彦(東京大学)
  • 鬼頭 浩史(あいち小児保健医療総合センター 臨床研究室)
  • 大薗 惠一(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 窪田 拓生(大阪大学大学院 医学系研究科 小児科学)
  • 室月 淳(東北大学大学院医学系研究科医科学専攻先進成育医学講座胎児医学分野)
  • 宮崎 治(国立成育医療研究センター 放射線診療部)
  • 道上 敏美(地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 研究所 環境影響部門)
  • 山田 崇弘(京都大学)
  • 大森 崇(神戸大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
公募課題19FC0201の客観的な指標に基づく疾患概念が確立されている胎児・新生児の骨系統疾患として、先天性骨系統疾患のうち指定難病(指定)や小児慢性特定疾病(小慢)に認定されている、①タナトフォリック骨異形成症(指定275)、②軟骨無形成症(指定276・小慢)、③低ホスファターゼ症(指定172、小慢)、④骨形成不全症(指定274、小慢)、⑤大理石骨病(指定326・小慢)、⑥2型コラーゲン異常症関連疾患(小慢)などがあり、それぞれ全国共通の診断基準・重症度分類が診断治療指針(指針)として定められている。
本政策研究の目的はこれらの疾患に適切な診断が実施されるように医師や医療機関を支援し、その結果として患者が適切な治療を受ける環境を整えてQOLを向上させ、最終的には全体の医療水準を向上させることである。
研究方法
1)診断治療指針:各学会承認が進められているが、①~⑥すべての疾患ではなく、また学会承認された指針もその後に一部が改定されていることもあり、これらの疾患の学会承認状況を調査し、未承認の疾患や指針の改定版は学会承認を申請する。
2)疾患レジストリ:AMED難病プラットフォームによる疾患レジストリの構築を開始する。初年度は難病プラットフォームの事務局と疾患レジストリ構築に関して相談を開始する。
3)循環器系合併症調査:骨形成不全症は循環器系合併症が知られており、脳動脈瘤によるくも膜下出血の発症などは患者の生命にかかわり、QOLを著しく損なう可能性がある。当研究の一環として、脳血管疾患を含む循環器系合併症の実情を調査する。
4)厚生労働省難病対策課との連携:
 難病制度の適正な実施に協力・連携する。
5)診断治療指針の普及活動、各医療機関への診療支援:
骨系統疾患にどの程度まで対応できるかを診療科別に調査しリストアップしてありこれの更新を行う。
6)骨系統疾患患者、家族からの問い合わせ窓口として機能
7)診断に必要な情報の整備:
・遺伝子検査:
・画像診断:
・患者の病状調査:
・骨系統疾患国際分類2019が発行されているのでこの日本語翻訳作業を行う。
結果と考察
1)診断治療指針:
すでに②軟骨無形成症(指定276・小慢)、③低ホスファターゼ症(指定172、小慢)、については学会で承認された診療指針が出来ている。④骨形成不全症(指定274、小慢)、⑤大理石骨病(指定326・小慢)、⑥2型コラーゲン異常症関連疾患(小慢)、①タナトフォリック骨異形成症(指定275)については途上である。
2)疾患レジストリ:
AMED難病プラットフォームによる疾患レジストリの構築を開始した。初年度は難病プラットフォームの事務局と疾患レジストリ構築に関して相談を開始した。
3)循環器系合併症調査:
骨形成不全症は循環器系合併症が知られており、脳動脈瘤によるくも膜下出血の発症などは患者の生命にかかわり、QOLを著しく損なう可能性がある。当研究の一環として、脳血管疾患を含む循環器系合併症の実情を調査した。
4)厚生労働省難病対策課との連携:
問い合わせに対応し、難病制度の適正な実施に協力・連携している。
今年度は指定難病と小児慢性特定疾病の疾患の追加が検討される年度にあたったことから、当研究班では、すでに小児慢性特定疾病に認定されている2型コラーゲン異常症関連疾患とカムラチ・エンゲルマン症候群を指定難病に申請し、またすでに指定難病に認定されている、タナトフォリック骨異形成症を小児慢性特定疾病に申請した。
5)診断治療指針の普及活動、各医療機関への診療支援:
すでに全国の地域で中核となる医療機関に対して、骨系統疾患にどの程度まで対応できるかを診療科別に調査した。
各医療機関からの診断支援に対しても対応している。また専門家の紹介等も行っている。
6)患者からの問い合わせ窓口として機能:
患者や家族からの問い合わせに対応している。
7)診断に必要な情報の整備:
・遺伝子検査:すでに、骨系統疾患の遺伝子検査実施施設と疾患・遺伝子リストを作成済であり、これを更新し続けている。
・画像診断:単純X線診断、CT診断(胎児CT含む)が骨系統疾患では非常に重要で、統一した放射線診断の指針を作成している。
・患者の病状調査:従来から骨系統疾患(直近ではタナトフォリック骨異形成症や大理石骨病)の患者の病状調査・患者数調査を実施して論文報告した。
2型コラーゲン異常症においては、指定難病の認定に必要とされる病状と遺伝子変異のデータの収集を継続している。
・骨系統疾患国際分類2019日本語翻訳が日本整形外科学会雑誌から刊行された。
結論
今後の指定難病や小児慢性特定疾病の追加や認定にあたっての参考資料となるように整備・提供していく。また学会承認の推進や診療ガイドラインの作成に役立てる。

公開日・更新日

公開日
2021-07-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202011024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,950,000円
(2)補助金確定額
12,620,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,330,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,202,200円
人件費・謝金 735,110円
旅費 0円
その他 5,233,021円
間接経費 3,450,000円
合計 12,620,331円

備考

備考
自己資金:331円

公開日・更新日

公開日
2022-01-21
更新日
-