在宅重症療養患者にかかる緊急・災害時の支援体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
200738027A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅重症療養患者にかかる緊急・災害時の支援体制の構築に関する研究
課題番号
H19-健危-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小西 かおる(昭和大学保健医療学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小倉 朗子(東京都神経科学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、地域保健対策の保健所における健康危機への対応の中で日常業務の整備に資するため、「①在宅重症療養患者の緊急・災害時の支援体制の現状評価のために必要な調査内容とその把握方法の構築」、「②調査票の開発とその調査票を用いたデータ収集による現状課題の分析」、「③緊急・災害時に備えた支援体制の整備マニュアルの作成」を目的とする。
研究方法
在宅重症療養患者の緊急・災害時の支援体制の質基準を文献レビュー等から選定し、これを基に訪問看護事業所の評価票を開発・有用性の検討を行った。また、A地域による関係機関の災害支援体制および新潟県中越沖地震の支援活動から、災害支援の現状課題を分析した。
結果と考察
在宅重症療養患者の緊急・災害時の支援体制の質基準について、構造要件4項目(15下位項目)、ケア要件7項目(15下位項目)が明らかにされた。これらは、質基準の枠組みとして活用できるが各関係機関に応じた評価方法について検討する必要があった。
これに対し、訪問看護事業所が備えるべき構造要件およびケア要件を評価する調査票を開発した。神奈川県下の訪問看護事業所に対し調査が実施され、調査票の有用性が確認された。
地域特性を鑑みた具体的課題を明確にするため、A地域の関係機関による検討会を実施し、各地域関係機関の災害支援の役割を整理し、地域全体の在宅重症療養患者に対する緊急・災害時の支援体制の課題について6項目が明らかにされた。特に、療養者が近隣と協働し、被害を最小限に抑える日頃の備えに対応する必要性が示された。
さらに、平成19年の新潟県中越沖地震の支援活動の実際から10項目の支援体制に関する課題が明らかにされ、医療専門職による日頃からの教育とケア継続の体制整備を徹底する必要性が示された。
結論
在宅重症療養患者にかかる緊急・災害時の支援体制の構築を目的に研究を実施し、地域関係機関が備えるべき構造要件4項目、ケア要件7項目が明らかにされ、訪問看護事業所については災害支援体制の評価票の開発および有効性の確認がされた。また、地域関係機関との協働で地域全体としての災害支援体制の課題6項目が明らかにされ、被災地の実態から特別避難所等の支援課題10項目が明らかにされた。このことより、地域住民及び地域関係者の一人ひとりが緊急・災害に対する知識を身について、自己防衛できるような日常的支援の体制を構築することの重要性が示された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-14
更新日
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