文献情報
文献番号
202011020A
報告書区分
総括
研究課題名
神経核内封入体病(Neuronal Intranuclear Inclusion disease:NIID)の疾患概念確立および診断基準作成に関する研究
課題番号
19FC1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 淳(独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院 第二脳神経内科)
研究分担者(所属機関)
- 久留 聡(国立病院機構鈴鹿病院)
- 吉田 眞理(愛知医科大学 加齢医科学研究所)
- 田中 章景(横浜市立大学大学 大学院医学系研究科)
- 髙嶋 博(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 水野 敏樹(京都府立医科大学医学研究科)
- 祖父江 元(愛知医科大学)
- 尾方 克久(独立行政法人国立病院機構東埼玉病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
1,370,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
神経核内封入体病患者を、頭部MRI DWI、皮膚生検さらに遺伝子検査を組み合わせることで、臨床的、病理学的、および遺伝子解析により確実に診断、蓄積し、臨床像を検討することで、NIIDの診断基準および重症度分類の作成を目指す。
研究方法
NIIDが疑われる患者に対し、皮膚生検を施行、NIIDを病理学的に診断する。さらにDNAを抽出し、NOTCH2NLC遺伝子のGGCリピート延長の有無を検討し、遺伝学的に診断する。双方の結果を踏まえ、臨床症状との関係を検討しNIID
の病態を明らかにするとともに、NIIDの診断基準および重症度分類を作成する。全国の神経内科専門医在籍施設にアンケートを行い、NIID患者の診断、診療の現状を把握する。患者および剖検検体からの組織の採取、あるいは、患者DNAを用いた遺伝子解析については、インフォームド・コンセントを患者本人、および家族より文書にて得ている。本研究は、国立病院機構鈴鹿病院倫理委員会および国立病院機構中央倫理審査委員会の承認を得ている。また、
DNA採取に伴って、遺伝カウンセリングが必要となった場合には、遺伝カウンセリングを行う体制を取っている。
の病態を明らかにするとともに、NIIDの診断基準および重症度分類を作成する。全国の神経内科専門医在籍施設にアンケートを行い、NIID患者の診断、診療の現状を把握する。患者および剖検検体からの組織の採取、あるいは、患者DNAを用いた遺伝子解析については、インフォームド・コンセントを患者本人、および家族より文書にて得ている。本研究は、国立病院機構鈴鹿病院倫理委員会および国立病院機構中央倫理審査委員会の承認を得ている。また、
DNA採取に伴って、遺伝カウンセリングが必要となった場合には、遺伝カウンセリングを行う体制を取っている。
結果と考察
NIIDが疑われる症例に対し、皮膚生検および遺伝子検査を行い、陽性である症例を蓄積し、その臨床像を解析した。さらに、全国の神経内科専門医が在籍する施設にNIIDの臨床の場での現状を調査するアンケートを集計し検討した。803施設に依頼し、351施設より回答を得た。2020年1月の時点で、NIIDと診断されている症例は合計337例であり、NIIDが疑われ、診断のために検査等が必要である症例は、471例であった。さらに、臨床情報が詳細に検討可能な206例のNIID症例について検討した結果、NIIDの診断基準案を作成し、第2回班会議において議論した。班会議後も継続的に検討を重ねながら、現在、日本神経学会の学会承認を受ける手続きを進めている。
今回のアンケートで、NIIDもしくはNIIDと鑑別が必要とされる患者が少なくとも500例弱存在することが明らかとなり、これらの患者に対して、適切な、診断および医療体制の整備が必要であると考えられる。
今回のアンケートで、NIIDもしくはNIIDと鑑別が必要とされる患者が少なくとも500例弱存在することが明らかとなり、これらの患者に対して、適切な、診断および医療体制の整備が必要であると考えられる。
結論
神経核内封入体病の診断基準および重症度分類を策定し、臨床の場面で運用することが求められている。
公開日・更新日
公開日
2021-07-01
更新日
-