文献情報
文献番号
202011018A
報告書区分
総括
研究課題名
成育医療からみた小児慢性特定疾病対策の在り方に関する研究
課題番号
19FC2001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
賀藤 均(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 病院)
研究分担者(所属機関)
- 横谷 進(福島県立医科大学 ふくしま国際医療科学センター 甲状腺・内分泌センター)
- 窪田 満(国立成育医療研究センター 総合診療部)
- 田倉 智之(東京大学 大学院医学系研究科)
- 檜垣 高史(愛媛大学 大学院医学系研究科)
- 落合 亮太(横浜市立大学 大学院医学研究科)
- 小松 雅代(大阪大学 大学院医学系研究科)
- 掛江 直子(国立成育医療研究センター 研究開発監理部)
- 盛一 享徳(国立成育医療研究センター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
33,100,000円
研究者交替、所属機関変更
・所属機関異動
研究分担者 小松雅代
奈良県立医科大学(平成25年4月1日~令和2年12月31日)
→大阪大学(令和3年1月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
児童福祉法改正法(平成26年法律第47号)及び「小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針」(平成27年厚生労働省告示第431号)に示された小児慢性特定疾病対策を社会実現するため、その推進に寄与する資料およびその実践的基盤を提供することを目的とした。
研究方法
各分担研究者が以下の研究を実践した。
1)小児慢性特定疾病を抱える児童等に対する国際生活機能分類(ICF)を用いた支援に関する検討
2)小児治療の医療経済的な価値水準に関する研究
3)日本小児科学会及び分科会、関連学会等と連携した小児慢性疾患対策の検討
4)指定難病に該当する可能性のある小児慢性特定疾病についての検討
5)小児慢性特定疾病患者の自立支援等に関する検討-小児慢性特定疾病児童等の成人移行支援ガイドの改訂等-
6)障害福祉関連施策・制度に関する患者視点での整理-ICTを利用した情報提供の試み-
7)患者・家族向け制度説明コンテンツ(一般向けwebサイト)の作成
8)子ども向けコンテンツのあり方の検討(動画による表現)
9)「小児慢性特定疾病情報センター」ポータルウェブサイトの利用状況と情報発信のあり方に関する検討
10)小児慢性特定疾病指定医の研修プログラム(e-learning)の構築及び運用の検討
11)成人以降の社会参加状況の把握を目的とした移行期世代のレジストリ構築に関する検討
12)登録データベースシステムの設計開発及びデータ精度向上に関する検討
13)小児慢性特定疾病に対するICD-10コード附番に関する検討(令和2年度版)
14)登録データのアカデミア・民間の利活用指針、同意取得の在り方、過去の登録データの取扱に関する指針の検討
15)小児慢性特定疾病児童等データベースの登録状況(現況値)-平成27~30年度の疾病登録状況-
1)小児慢性特定疾病を抱える児童等に対する国際生活機能分類(ICF)を用いた支援に関する検討
2)小児治療の医療経済的な価値水準に関する研究
3)日本小児科学会及び分科会、関連学会等と連携した小児慢性疾患対策の検討
4)指定難病に該当する可能性のある小児慢性特定疾病についての検討
5)小児慢性特定疾病患者の自立支援等に関する検討-小児慢性特定疾病児童等の成人移行支援ガイドの改訂等-
6)障害福祉関連施策・制度に関する患者視点での整理-ICTを利用した情報提供の試み-
7)患者・家族向け制度説明コンテンツ(一般向けwebサイト)の作成
8)子ども向けコンテンツのあり方の検討(動画による表現)
9)「小児慢性特定疾病情報センター」ポータルウェブサイトの利用状況と情報発信のあり方に関する検討
10)小児慢性特定疾病指定医の研修プログラム(e-learning)の構築及び運用の検討
11)成人以降の社会参加状況の把握を目的とした移行期世代のレジストリ構築に関する検討
12)登録データベースシステムの設計開発及びデータ精度向上に関する検討
13)小児慢性特定疾病に対するICD-10コード附番に関する検討(令和2年度版)
14)登録データのアカデミア・民間の利活用指針、同意取得の在り方、過去の登録データの取扱に関する指針の検討
15)小児慢性特定疾病児童等データベースの登録状況(現況値)-平成27~30年度の疾病登録状況-
結果と考察
国際生活機能分類の概念からみた場合、現行の医療意見書は、社会参加や環境因子の評価項目が少ないことが分かった。今後の医療意見書の見直しの際には、QOL評価等に関する共通項目を盛り込むことを考慮すべきであると思われた。小児に特有の疾病である川崎病における薬物療法について、費用対効果について一定の成果が得られ、小児領域における費用対効果の検討が実施できる可能性を示した。小児医療に対する支払意思額調査では、一般国民感情として、小児に対しより多くの医療費投入に理解が得られる可能性が示された。成人移行支援の充実については、移行期医療支援センター設置自治体への調査で、疾病や地域に見合ったモデルを示す必要性があり、人的・金銭的リソースの不足も重要な課題であった。小児慢性特定疾病で指定難病とはなっていない疾病については、成人期以降の疫学研究の必要性があった。令和3年度実施予定の追加疾病検討に対し、関係学会と協同で厚生労働省へ追加疾病要望等を提出した。小児慢性特定疾病児童等登録状況の分析では、現在8~9割程度の推定登録率であった。登録データは、他の医療情報データベースとの連携も期待されており、そのための精度向上および対象疾病のコード化等、実践基盤の整備を継続していく。情報発信に関し、ポータルウェブサイトで公開されている疾患概要および診断の手引きについて、関係学会の協力のもと、領域専門家の協力を得て全面改訂を開始した。また一般国民向けのイラスト等を利用した分かりやすいコンテンツの充実を図り、複数の障害福祉制度の中から、対象に該当する可能性について判定するツールを試作したほか、子どもへの疾病理解のアプローチとして、動画媒体によるコンテンツ作成を開始した。ポータルウェブサイトや指定医研修用サイトは、利用者が増加しており、今後も内容を充実させる予定である。
結論
小児慢性特定疾病対策のあり方として、慢性疾病を抱える子どもたちの実情に沿った支援を実現するために、制度の方向性について検討した。それぞれの研究成果を踏まえ、更なる検討を重ねる予定である。今後も引き続き研究を行い、慢性疾病に対する政策決定に資する資料を提供していきたい。
公開日・更新日
公開日
2021-06-30
更新日
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