地域横断的な健康危機管理体制の機能分化のあり方、評価指標、効果の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200738023A
報告書区分
総括
研究課題名
地域横断的な健康危機管理体制の機能分化のあり方、評価指標、効果の評価に関する研究
課題番号
H19-健危-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 大川 弥生(国立長寿医療センター研究所 )
  • 大友 康裕(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 田谷 聡(一橋大学大学院法学研究科)
  • 野田 健太郎(日本政策投資銀行)
  • 鈴木 仁一(神奈川県小田原保健福祉事務所)
  • 三丸 敦洋(防衛省陸上幕僚監部衛生部)
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康危機管理における行政サービス提供のサプライチェーンの維持の方策、関係者・関係機関の連携体制や機能分化のあり方、その中での保健所機能の位置づけ、そして業務評価指標の開発等の研究を行い、緻密で現実的、即応的な体制構築のための基礎資料を提供することを目的としている。
研究方法
DMATや自衛隊の活動の調査、地図情報システム(GIS)や事業継続計画(BCP)の手法を利用した災害時の保健医療体制の問題点の整理、海外調査によりMedical and Health Managementシステムの本邦での利用可能性を検証した。
結果と考察
新潟県中越沖地震では、発災後の医療ニーズが従来のものと変化していた。断水の医療機関への影響も重要な課題であることがわかった。一方で被災地を所管する保健所長がこの任務あたり被災状況等の情報収集、提供や医療全般にわたる要請に対応するとともに関係機関との連携による災害医療の企画・調整が比較的円滑に行われた。
平時から保健所(長)がDMATや災害拠点病院等の医療機関等と連携して、防災訓練、研修等を実施する機会がある場合には、保健所及び地方公共団体の衛生主管部局も積極的に参加し、有事に調整機能を発揮する必要がある。米国では参集した災害医療を実施する医療チームについて連携、調整を行うためのマネジメントシステムMedical and Health Incident Management (MaHIM) Systemが提案されている。災害医療を実施する現場においても医療チームの立場を理解して連携・調整することが重要であり、行政機関で調整する立場の保健所長の活躍が求められる。また、企業の防災対策で用いられているBCPを一歩進め、復興事業の継続の視点を地域全体に広げたコンセプトであるCommunity-BCPの考え方を防災対策に取り入れていく必要がある。
本研究により、保健所を軸とした行政サービス提供のサプライチェーンの維持の方策、関係者・関係機関の連携体制の課題等について一定の成果を得ることができた。
結論
災害時の水の確保の問題や災害拠点病院のライフラインなどのインフラ及び業務評価指標の開発について、さらに研究を進めていく。そして、大規模感染症やNBCテロの問題等にも研究を広げて行き、健康危機管理事象における保健所の機能をより明確にしていくことが必要である。


公開日・更新日

公開日
2008-04-14
更新日
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