飲料水に係る健康危機の適正管理手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200738017A
報告書区分
総括
研究課題名
飲料水に係る健康危機の適正管理手法の開発に関する研究
課題番号
H18-健危-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
秋葉 道宏(国立保健医療科学院水道工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西村 哲治(国立医薬食品衛生研究所環境衛生化学部)
  • 国包 章一(国立保健医療科学院水道工学部)
  • 島崎 大(国立保健医療科学院水道工学部)
  • 山田 俊郎(国立保健医療科学院水道工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、飲料水による健康の安全を脅かす事態を対象に、被害発生予防・拡大防止のための危機管理の適正化に資する手法の開発を最終的な目的としてる。今年度は、国内外において飲料水による健康危機の状況を把握すること、特に被害の多い飲用井戸等小規模水道の実態を把握すること、また健康危害の原因物質に関する毒性や除去技術など危機発生対応に必要な情報を収集すること、さらに地理情報システムを活用した水源汚染リスク評価手法を開発することを目的とした。
研究方法
国内外の事故事例につき文献調査を行い、事故要因やリスクレベルについて分析した。また諸外国の飲料水危機の対策についても調査した。飲用井戸等の管理についてアンケート調査等を行い、適正な管理手法について検討した。飲料水健康被害を生じる可能性のある化学物質の毒性、浄水工程での除去性等について実験および文献調査を行った。飲料水危機管理に活用できる地理情報を整理するとともに、地理情報システムによる飲料水汚染リスク評価の手法を検討した。
結果と考察
国内の飲料水健康危機事例を整理し、海外での自然災害やテロ等を含む健康被害事例や危機管理体制についても把握した。上水道や簡易水道と比べ専用水道や小規模未規制水道で健康被害リスクが大きいこと等が示唆された。飲用井戸等は衛生関連部局による監視率自体が他の飲料水施設に比べて低い状況にあり、管理上の問題点を明らかにするとともに飲用井戸等の管理手順を提案した。緊急時の水質管理に有用な化学物質データベースの構築を進めるとともに、水質管理に浄水工程の挙動把握と有害性評価が必要であることを示した。水質基準として未規制の化学物質で特に監視する優先度の高いものの多くは浄水工程の除去特性に関する情報がなく、これらの知見を得る必要があることが分かった。危機管理に活用できる地理情報や統計情報を整理し、活用する上での問題点を明らかにした。また地理情報システムを用いて、汚染要因に対する危険度の高い水源を抽出・可視化する手法を開発した。
結論
国内外での飲料水に係る健康危機の状況・体制を把握し、適正な管理策を講じる上で有効な情報を整理することができた。今後は、総合的なリスク評価手法の開発を継続するとともに、これまで得られた危機管理に有効な知見について、広く積極的に活用されるようマニュアル作成やウェブ上での情報公開について検討を進める。

公開日・更新日

公開日
2008-04-22
更新日
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