遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患の診断・治療・研究システム構築

文献情報

文献番号
202011007A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患の診断・治療・研究システム構築
課題番号
H30-難治等(難)-一般-008
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
小坂 仁(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 健(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第二部)
  • 久保田 雅也(島田療育センター 小児科)
  • 黒澤 健司(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 遺伝科)
  • 才津 浩智(浜松医科大学 医化学講座)
  • 佐々木 征行(国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科)
  • 高梨 潤一(東京女子医科大学 八千代医療センター 小児科)
  • 松井 大(大津赤十字病院神経内科)
  • 三重野 牧子(自治医科大学 情報センター・医学情報学)
  • 村松 一洋(自治医科大学 医学部 小児科学)
  • 山本 俊至(東京女子医科大学大学院医学研究科先端生命医科学専攻遺伝子医学分野(遺伝子医療センターゲノム診療科))
  • 吉田 誠克(京都府公立大学法人 京都府立医科大学 大学院・医学研究科・神経内科学)
  • 和田 敬仁(京都大学大学院 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新規調査研究;国際化に対応するため、既存ガイドラインを英文化し、主治医等より、要望の多いガイドラインを作成し、トランジション・境界疾患の調査をおこなう
 治療可能な遺伝性疾患の早期診断・治療に関するガイドライン
 画像上の白質病変から早期診断に至る診断ガイドライン
継続研究;小児~成人を通じた、世界水準のオールジャパン体制を構築し、情報収集把握を行い医療の均てん化とともに、患者・研究者の協調により、治療研究を推進する。
研究方法
新規研究1;困難な診断を支援する“白質疾患診断ガイドライン”の作成
既存診断ガイドラインを英文化する(H30)
“白質疾患疑い画像からの診断ガイドライン”を作成する(R1, R2)。
ガイドラインに明記された遺伝子・生化学診断システムを構築する(R1, R2)。
新規研究2;“治療可能な神経疾患診断・診療ガイドライン”の作成
治療法が存在する疾患について、優先的に診断、治療を開始するための“治療可能な神経遺伝性疾患ガイドライン”を作成する(H30,R1)。
ガイドライン上の遺伝子・生化学診断システムを整備し運営する(R1, R2)。
新規研究3;トランジション、境界領域を調査し継続的・包括的な提供を行う
生涯に至り、多診療科が関わる医療体制を目指すために、患者会とセミナーで蓄積された問題点に対し、オンライン会議で議論する。Q&A形式で班のウエブサイトに掲載し、重要なものはガイドラインとして取り上げる(H30, R1, R2)。
新規白質疾患と境界領域疾患を調査し、アップデートする(H30, R1, R2)。
継続研究;オールジャパン体制を構築し、患者・研究者と協調し、診断・治療研究を推進する
年2回の患者セミナーを継続し、セミナーに合わせて自然歴の調査を継続し、治験を推進する。GLIAコンソーシアム研究者と共同研究を継続し、国際基準の疾患分類再改定を行う。MRI画像と臨床情報からなる従来レジストリを難病プラットフォームへ統合する。AMED,NEDO研究班を支援し、研究者、企業のRS戦略相談に同行し、新規治療の導出に協力する(H30, R1, R2)。
結果と考察
新規研究1;困難な診断を支援する“白質疾患診断ガイドライン”の作成
“遺伝性白質疾患 診断の手引き”に関して、ガイドライン作成が終了し、2021.5月刊行予定である。

新規研究2;“治療可能な神経疾患診断・診療ガイドライン”の作成
1)“治療可能な神経遺伝性疾患ガイドライン”に関して2019.12.10班研究による書籍として刊行済み。

新規研究3;トランジション、境界領域を調査し継続的・包括的な提供を行う
1)成育医療センターでの移行症例299例の調査を施行した。
2)ワーキンググループ(小坂、出口、久保田)でのメール会議を通じ、小児科側から見た問題点とその解決案を提示した。
継続研究;オールジャパン体制の構築による診断・治療研究を推進する
1) 先天性大脳白質形成不全症の患者セミナーを継続したセミナーでオンラインでのコンサルテーションを行った(小坂、井上2019.7.13、2019.11.3)。

2) オンラインでの、主治医からの診断コンサルトを継続した(全班員)。

3) 国際コンソーシウムGLIAと6回にわたるウエブ会議を行い、国際PMDシンポジウムに参加した。国際共同治験;ペンシルベニア小児病院(Vandever医師)が主導するPMD自然歴研究について、本邦に割り当てられた15症例の臨床情報解析を開始した(井上、高梨)。

4) 診断コンサルト症例の一部に対して、遺伝学的診断を実施した。(全班員)。

5) 日本小児神経学会総会を主催し(佐々木)、白質形成不全症の第一人者であるVan der Knaapの招待講演を企画した(佐々木、座長;小坂>コロナ禍により中止)

6) 先天性大脳白質形成不全症のレジストレーションを難病プラットフォームで開始した(小坂、井上)。

7) 白質形成不全症の細胞治療に関し、安全性試験の対面助言に同行し、新規治療の導出に協力した(小坂、井上;2020.8.19)

8) アレキサンダー病の遺伝学的検査と表現型解析を継続した(吉田)

9) 班員による研究によりMCT8早期診断法を確立した

結論
① “大脳白質疾患病変画像からの診断ガイドライン”に関して、2021年5月に刊行される。
② 先天性大脳白質形成不全症の診断サポートのためのコンサルテーションボードにより各主治医からの診断依頼に討議を行い回答するとともに、一部診断を班員内で担当した。
③ 市民公開セミナーを実施した
以上を通じ、患者の願いである、”最善の診断、治療を生涯受けたい、治療研究を推進してほしい、国内外の情報を伝達してほしい” という希望に応えた。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202011007B
報告書区分
総合
研究課題名
遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患の診断・治療・研究システム構築
課題番号
H30-難治等(難)-一般-008
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
小坂 仁(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 健(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第二部)
  • 久保田 雅也(島田療育センター 小児科)
  • 黒澤 健司(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 遺伝科)
  • 才津 浩智(浜松医科大学 医化学講座)
  • 佐々木 征行(国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科)
  • 高梨 潤一(東京女子医科大学 八千代医療センター 小児科)
  • 松井 大(大津赤十字病院神経内科)
  • 三重野 牧子(自治医科大学 情報センター・医学情報学)
  • 村松 一洋(自治医科大学 医学部 小児科学)
  • 山本 俊至(東京女子医科大学大学院医学研究科先端生命医科学専攻遺伝子医学分野(遺伝子医療センターゲノム診療科))
  • 吉田 誠克(京都府公立大学法人 京都府立医科大学 大学院・医学研究科・神経内科学)
  • 和田 敬仁(京都大学大学院 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新規調査研究;国際化に対応するため、既存ガイドラインを英文化し、主治医等より、要望の多いガイドラインを作成し、トランジション・境界疾患の調査をおこなう
(1)治療可能な遺伝性疾患の早期診断・治療に関するガイドライン
(2)画像上の白質病変から早期診断に至る診断ガイドライン
継続研究;小児~成人を通じた、世界水準のオールジャパン体制を構築し、情報収集把握を行い医療の均てん化とともに、患者・研究者の協調により、治療研究を推進する。
研究方法
(1)早期診断の実現による“神経変性前の治療開始”
(2)トランジションの推進と境界領域調査による“もれなく生涯を支援する”
(3)オールジャパン診療体制の構築・研究・普及啓発による“世界水準の診断治療実現”

結果と考察
新規研究1;困難な診断を支援する“白質疾患診断ガイドライン”の作成
英文化した(H30)既存の診断ガイドラインを、The 15th Asian Oceanian Congress of Child Neurology (AOCCN) 2019 and41st Malaysian Paediatric Association Annual CongressにてClinical aspects of Childhood White Matter Diseasesとして招待講演にて発表した(マレーシア、小坂;2019.9.19)
“遺伝性白質疾患 診断の手引き”に関して、ガイドライン作成が終了し、2021.5月刊行した

新規研究2;“治療可能な神経疾患診断・診療ガイドライン”の作成
“治療可能な神経遺伝性疾患ガイドライン”に関してシステマティックレビュー、推奨決定を経て、ガイドラインを作成した(全班員H30,R1)。これらは順次webに公開する。   これらのガイドラインに、総論1;“症候からどのように診断するのか、” 総論2;先天性代謝性疾患との関係の章を加え班研究による書籍として刊行した(全班員;診断と治療社2019.12.10)。

新規研究3;トランジション、境界領域を調査し継続的・包括的な提供を行う
1) 生涯に至り、多診療科が関わる医療体制を目指すために、患者会でアンケート調査を2回実施した。
2) 成育医療センターでの移行症例299例の調査を施行した。
3) ワーキンググループ(小坂、出口、久保田、)でのメール会議を通じ、小児科側から見た問題点とその解決案を提示した。今後受け手側の神経内科グループ(東京都立北療育医療センター 内科部長 望月葉子医師らと、CQを設定し課題として更に研究を継続する。

継続研究
1)市民公開セミナーを2回/y実施した
2)白質疾患ポータルサイトの構築と運営、国内外情報交流
引き続きポータルサイトを運営し、国内における担当疾患の情報交流基盤を形成した。
3)自然歴調査
セミナーに先立つ、午前中に臨床治験のための臨床尺度の評価を行った。東京大阪でそれぞれ臨床評価尺度評価を行った。自然歴の国際共同研究を継続中。
4) オンラインでの、主治医からの診断コンサルトを行った(全班員;資料4)。
5) 診断コンサルト症例の一部に遺伝学的診断を実施し、新しい先天性大脳白質形成不全症を見出した。(全班員)
6) GLIAと6回にわたるウエブ会議を行い、国際共同治験;自然歴調査のプロトコールを決定した(小坂、井上)。
7) 従来レジストリを難病プラットフォームへ統合中(小坂、井上;様式;EPテクノ作成)。
8) 研究者のRS戦略相談に同行し、新規治療の導出に協力した(小坂、井上;H30, R1, R2)。
9) アレキサンダー病の遺伝学的検査と表現型解析を行った(吉田)
10)オンラインでの、主治医からの診断コンサルトを継続した(全班員)。
11) 国際コンソーシウムGLIAと6回にわたるウエブ会議を行い、国際PMDシンポジウムに参加した。国際共同治験;ペンシルベニア小児病院(Vandever医師)が主導するPMD自然歴研究について、本邦に割り当てられた15症例の臨床情報解析を開始した(井上、高梨)。
12) 先天性大脳白質形成不全症のレジストレーションを難病プラットフォームで開始した(小坂、井上)。画像データベースは、難病プラットフォームでの運用が困難であり、当班で整備してきた国立精神・神経医療研究センターで稼働している画像収集システムIBISSを継続している。
13) 白質形成不全症の細胞治療に関し、安全性試験の対面助言に同行し、新規治療の導出に協力した(小坂、井上;2020.8.19)

結論
以上を通じ、患者の願いである、”最善の診断、治療を生涯受けたい、治療研究を推進してほしい、国内外の情報を伝達してほしい” という希望に応えた。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202011007C

収支報告書

文献番号
202011007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,000,000円
(2)補助金確定額
13,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,636,069円
人件費・謝金 1,096,101円
旅費 32,880円
その他 2,235,091円
間接経費 3,000,000円
合計 13,000,141円

備考

備考
自己資金141円

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
2021-12-16