良質なエビデンスに基づく急性脳症の診療に向けた体制整備

文献情報

文献番号
202011006A
報告書区分
総括
研究課題名
良質なエビデンスに基づく急性脳症の診療に向けた体制整備
課題番号
H30-難治等(難)-一般-007
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
水口 雅(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 前垣 義弘(鳥取大学 医学部)
  • 星野 愛(東京大学大学院医学系研究科)
  • 山内 秀雄(埼玉医科大学医学部)
  • 高梨 潤一(東京女子医科大学 八千代医療センター 小児科)
  • 山形 崇倫(自治医科大学 医学部)
  • 佐久間 啓(公益財団法人東京都医学総合研究所 脳発達・神経再生研究分野)
  • 奥村 彰久(愛知医科大学 医学部)
  • 永瀬 裕朗(神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野)
  • 石井 敦士(福岡大学医学部小児科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働科学研究(難治性疾患政策研究)急性脳症研究班は、前期(2015〜2017年度)の成果として、「小児急性脳症診療ガイドライン2016」を2016年8月に発行した。本ガイドラインは全ての病原による感染症に続発する急性脳症を対象としており、これまで世界で唯一のガイドラインである。しかし日本語で記載されているため、海外の臨床医や研究者には読めなかった。世界をリードする日本の急性脳症研究の成果を広く世界に紹介し、国際的な議論や共同研究を通じてその内容を向上させるため、今年度中に英訳版を刊行することが第一の目標となった。またガイドライン刊行以来、すでに4年以上の年月が経過した。この間の臨床・研究の進歩を反映した形で、初版発行から5年後となる2021年度中に改訂版を刊行することが第二の目標となった。
研究方法
ガイドラインの英訳は、2019年度までに総論を委員長(水口)が、各論を各章の執筆者が分担して翻訳した。2020年度に原稿を取りまとめて投稿、刊行した。ガイドラインの改訂は2020年8月にスケジュールを決定、9〜10月に文献を検索、11〜12月に推奨・解説文の改訂箇所や追加する文献をまとめ、2021年2〜3月に推奨・解説文を執筆した。
結果と考察
英訳されたガイドラインは2020年8月にオンライン掲載され、2021年1月に論文として出版された。2021年現在でも、急性脳症全般の診療に関する世界で唯一のガイドラインであることに変わりはなく、海外の臨床医・研究者に広く参照されるとともに、国際的な議論や共同研究の起爆剤となることが期待される。ガイドラインの改訂について、2021年度中の改訂版発行を目指した作業を2020年度から開始したところ、遅滞なく順調に進行しており、目標どおり刊行できる目処が立った。
結論
2016年度に刊行した急性脳症診療ガイドライン初版の英訳版を2020年度に刊行した。また改訂版の刊行を2021年度に行うべく、準備を進めた。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202011006B
報告書区分
総合
研究課題名
良質なエビデンスに基づく急性脳症の診療に向けた体制整備
課題番号
H30-難治等(難)-一般-007
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
水口 雅(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 前垣 義弘(鳥取大学 医学部)
  • 星野 愛(東京大学大学院医学系研究科)
  • 山内 秀雄(埼玉医科大学医学部)
  • 高梨 潤一(東京女子医科大学 八千代医療センター 小児科)
  • 山形 崇倫(自治医科大学 医学部)
  • 佐久間 啓(公益財団法人東京都医学総合研究所 脳発達・神経再生研究分野)
  • 奥村 彰久(愛知医科大学 医学部)
  • 永瀬 裕朗(神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野)
  • 石井 敦士(福岡大学医学部小児科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
急性脳症の実態を把握するため、2017年に実施した第2回全国疫学調査の結果を集計、解析する。2016年に発刊された「小児急性脳症診療ガイドライン2016」を英訳して国際医学誌に掲載するとともに、5年後(2021年)の改訂版発行に向け、準備を進める。患者レジストリ・試料レポジトリを整備・拡充する。痙攣重積型(二相性)急性脳症(AESD)の早期診断法を確立する。難治頻回部分発作重積型急性脳炎(AERRPS)の疾患概念を検討、早期診断マーカーを探索する。その他の急性脳症の調査・研究により臨床像やリスク因子を解明する。
研究方法
急性脳症の全国疫学調査の結果を2019年に、ガイドラインの英語版を2021年に論文発表した。AESDについて脳波による熱性痙攣重積との鑑別、MRSによる予後予測の可能性を検討、既存の早期診断スコアのvalidationを行った。後方視的研究から前方視的レジストリ研究に移行した。AERRPSについて単一疾患概念か否か検証し、早期診断マーカーとしてmiRNAを検討した。薬剤関連性脳症、川崎病に合併する脳症、結節性硬化症に合併する脳症、チャネル遺伝子異常に合併する脳症、さらにアデノウイルス、メタニューモウイルス、新型コロナウイルス感染症に伴う脳症について調査・研究した。
結果と考察
急性脳症の疫学に関して、2010年(第1回調査)と2017年(第2回調査)の間にインフルエンザ脳症の減少、分類不能脳症の減少などいくつかの変化を認めた。早期診断マーカー候補として数種のケモカインを同定した。AESDの早期診断における脳波解析、予後予測におけるMRSの有用性を示し、既存のスコアの有効性を確認した。熱性痙攣レジストリを構築し、運用を開始した。AERRPSが単一病態であることを確認し、複数のmiRNAを早期のマーカー候補として同定した。その他の薬剤関連、基礎疾患合併、ウイルス感染症合併の脳症の臨床像やリスク因子を明らかにした。
結論
急性脳症の診療の向上を目指し、エビデンス構築のための研究を進めた。急性脳症全般に関しては、全国疫学調査(2017年実施)の結果を集積、解析して発表した。「小児急性脳症ガイドライン2016」の英訳を論文化し、改訂作業に入った。急性脳症レジストリ・レポジトリ体制を発足ないし拡充した。けいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)や難治頻回部分発作頻発型急性脳炎(AERRPS)の早期診断、早期治療に向けた研究を推進した。AESD、AERRPSおよびその他の急性脳症について、疫学や臨床を調査した。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202011006C

収支報告書

文献番号
202011006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,930,000円
(2)補助金確定額
7,930,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,210,310円
人件費・謝金 3,016,752円
旅費 20,520円
その他 852,434円
間接経費 1,830,000円
合計 7,930,016円

備考

備考
自己資金 16円

公開日・更新日

公開日
2021-12-03
更新日
-