文献情報
文献番号
200738013A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機発生から原因特定に至る初動時の個人情報の利用と保護に関する研究
課題番号
H18-健危-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
土井 徹(国立保健医療科学院 研究情報センター)
研究分担者(所属機関)
- 水嶋春朔(国立保健医療科学院 人材育成部)
- 安冨 潔(慶應義塾大学大学院法務研究科・法学部)
- 星 佳芳(国立保健医療科学院 研究情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
各行政機関からの聞き取りによれば、各行政機関が個人情報保護に関する法令と齟齬がないような健康危機管理施策を円滑に実行できるように、健康危機管理と個人情報保護とのあつれきに関して法律的な観点を加えた解釈をガイドラインとして示すことが望まれている。本研究ではそのために行政機関において経験した健康危機管理と個人情報保護とのあつれき事例を収集し、また、諸外国での災害時の個人情報の取扱いに関して調査し、収集事例の一つ一つに法律家等による見解を示すことを目的とした。
研究方法
1.初年度の聞き取り事例ならびに新聞記事等の典型調査で得た知見を基に、健康危機発生時の個人情報取り扱いに関して困難が生じた事例を、全国の保健所・地方衛生研究所・衛生主管部局・検疫所を対象としてアンケート調査をした。
2.諸外国での災害時の個人情報の取扱いに関して調査した。
3.収集した事例を整理し、法律的解釈を行った。
2.諸外国での災害時の個人情報の取扱いに関して調査した。
3.収集した事例を整理し、法律的解釈を行った。
結果と考察
1.アンケート調査の発送は755機関、回収は501機関(回収率66%)であり、回収の中で「悩んだ事例が有り」と答えた者は59機関(8%)であった。
2.健康危機発生の未然防止ならびに健康被害が発生した場合、被害者に対して適切な援助を講じる場合に関して、人の生命、身体又は財産の保護として本人同意の例外に該当すると考えることができる場合のほかは、事務・事業の目的達成のために個人情報保護審議会・審査会の判断を求めておくべきである。
2.健康危機発生の未然防止ならびに健康被害が発生した場合、被害者に対して適切な援助を講じる場合に関して、人の生命、身体又は財産の保護として本人同意の例外に該当すると考えることができる場合のほかは、事務・事業の目的達成のために個人情報保護審議会・審査会の判断を求めておくべきである。
結論
行政機関において経験した健康危機管理と個人情報保護とのあつれき事例を検討することにより、本人の同意無しに個人情報の収集・利用・管理・提供が可能となる「人の生命、身体又は財産の保護のため」「公益性や緊急性がある場合」等の解釈に食い違いを生じないための方策として次のものを提案した。
1.結果で示した事例を各自治体で自身の地域に合った形に整理し、事前に個人情報保護審議会・審査会の判断を求めておくこと。
2.本人同意と第三者提供に関して、たとえば疫学研究倫理指針に準じて基準を国として設けること。
3.情報セキュリティ対策として、LGWANによる情報共有を図り、端末のセキュリティ強化策に努めること。また、諸訂正請求・安全措置等のシステム整備と広報の方法を図ることも必要である。
1.結果で示した事例を各自治体で自身の地域に合った形に整理し、事前に個人情報保護審議会・審査会の判断を求めておくこと。
2.本人同意と第三者提供に関して、たとえば疫学研究倫理指針に準じて基準を国として設けること。
3.情報セキュリティ対策として、LGWANによる情報共有を図り、端末のセキュリティ強化策に努めること。また、諸訂正請求・安全措置等のシステム整備と広報の方法を図ることも必要である。
公開日・更新日
公開日
2008-05-09
更新日
-