文献情報
文献番号
200738011A
報告書区分
総括
研究課題名
残留塩素に依存しない水道の水質管理手法に関する研究
課題番号
H17-健康-一般-025
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
国包 章一(国立保健医療科学院 水道工学部)
研究分担者(所属機関)
- 伊藤 禎彦(京都大学大学院 工学研究科)
- 大瀧 雅寛(お茶の水女子大学大学院 人間文化研究科)
- 島崎 大(国立保健医療科学院 水道工学部)
- 西村 和之(県立広島大学 生命環境学部)
- 船水 尚行(北海道大学大学院 工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
11,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
今日の水道における残留塩素保持の意義と必要性をわが国の水道の現状と最新の知見に照らして再検討し、残留塩素に依存しない新しい水道水質管理のあり方を明らかにすることにより、水道水の安全性及び快適性のより一層の向上を図ることを目的とする。
研究方法
水道原水中の病原微生物による汚染実態の把握、紫外線照射およびオゾン処理の消毒機構の比較と管理手法の開発、消毒副生成物による健康リスクの総括的評価、塩素処理と免疫毒性との関連性の検討、残留塩素に依存しない水道システムにおける健康リスク評価シミュレーションモデルの構築、水道の配水管路内における微生物再増殖の制御手法の検討などを行った。
結果と考察
配水管網や給水系内における微生物の再増殖のシミュレーション法、および、病原微生物と消毒副生成物による健康リスクの推算とそのDALY値を用いた比較方法を確立し、消毒剤の残留効果が無い場合を想定した健康影響リスク推算を行った。水中天然由来有機物標準試料の塩素処理により生成する全有機ハロゲン化合物(TOX)の毒性はジクロロ酢酸と同程度かより強いことを示し、TOXを指標とした消毒副生成物リスクの総括的評価の重要性を提示した。酪農地域におけるクリプトスポリジウム等病原微生物の河川流出量を調査し、定量的に明らかにした。塩素、紫外線、オゾンおよび二酸化塩素を用いた消毒における大腸菌の損傷作用機構を検討し、各々が大腸菌に与える損傷レベルを推定した。紫外線照射装置の不活化効率を測定するための生物線量計として、原水中の一般細菌をそのまま用いる方法を提案した。配水過程における微生物再増殖につき室内実験を行い、付着微生物量が2~3週間で定常状態に達すること、定常状態における付着微生物量や細菌種は水中の残留塩素濃度や壁面の材質および粗度に応じて異なること等を明らかにした。
結論
以上の成果をふまえ、給配水過程において水道水の水質を良好な状態に保つための必要かつ重要な条件は、1.浄水処理における消毒が十分であること、2.配水水質並びに配水システムの内面が良好な状態に保たれていて、腐食や生物再増殖による水質悪化が問題とならないこと、3.配水過程における外部からの再汚染のおそれがないこと、4.給水栓水の定期的な水質検査などが適切に行われていること等となるものと考えられた。
公開日・更新日
公開日
2008-04-22
更新日
-