ホルモン受容機構異常に関する調査研究

文献情報

文献番号
202011003A
報告書区分
総括
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
課題番号
H30-難治等(難)-一般-004
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
赤水 尚史(和歌山県立医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 正信(群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 大薗 惠一(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 福本 誠二(徳島大学 先端酵素学研究所)
  • 井上 大輔(帝京大学ちば総合医療センター 第三内科)
  • 片桐 秀樹(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 小川 渉(神戸大学 大学院医学研究科 )
  • 谷澤 幸生(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 海老原 健(自治医科大学 医学部)
  • 三宅 吉博(愛媛大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
8,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ホルモン受容機構異常に起因する 甲状腺クリーゼ、甲状腺ホルモン不応症、ビタミンD抵抗性低リン血症性くる病・骨軟化症、偽性副甲状腺機能低下症とその関連疾患である副甲状腺機能低下症、低カルシウム血症性疾患、インスリン作用障害糖尿病(インスリン抵抗症)、ウォルフラム症候群、脂肪萎縮症、などの疾患は、患者実態について不明な点が多く残されているため、診療指針も未確立である。本研究の目的は、これらの疾患の全国調査を行い、新たな診断基準を策定することであり、成果は関連団体のホームページ公開や報告会を通じて、国民や非専門医への周知・啓発を目指す。
研究方法
上記の8疾患について、関連学会と連携し、全国疫学調査を実施し、疾患の実態を把握した上で、診断基準・治療指針を策定する。本調査研究は、各施設の倫理委員会の承認を経た後に行ない、ヒトゲノム・遺伝子解析を伴う研究は関係する法令の規定に従い研究を遂行する。
甲状腺クリーゼ診療ガイドラインの有効性評価、および、同疾患の予後に影響を及ぼす要因を解明するため、多施設前向きレジストリ研究を行う。データ管理システムとしてREDCapを利用し、症例登録を実施する。目標症例数は、100例とし、データ解析の後、診療ガイドラインの改訂を行う。また、Minds・GRADEが定める手法に基づいて甲状腺ホルモン不応症診療ガイドラインを策定する。ビタミン抵抗性くる病・骨軟化症、副甲状腺機能低下症、低Ca 血症性疾患については、全国アンケート調査結果に基づいて、現行の診断基準の妥当性など現状の問題点を明らかにし、それぞれのガイドライン策定を目指す。インスリン抵抗症については、治療薬の有効性や安全性に関する情報を中心とした臨床情報を収集するための、アンケート調査を行う。その結果と文献から収集した情報を基に診療ガイドラインを作成する。過去に策定された「Wolfram症候群の実態調査に基づく早期診断法の確立と治療指針作成のための研究」に基づいた調査結果の再分析を行ない、診断基準、治療指針の改訂を行う。さらに、脂肪萎縮症の実態調査や脂肪萎縮症治療薬メトレレプチンの全例調査、難病助成の登録制度と連携し、レジストリ立ち上げ、診断基準の策定を進める。
結果と考察
甲状腺クリーゼ
前向きコホート試験を開始し、令和2年度末の時点で、甲状腺クリーゼ患者85名の情報が登録されており、71例について中間解析を行った。
甲状腺ホルモン不応症
甲状腺ホルモン不応症の治療ガイドラインの策定に向け、推奨文策定が終了した。
ビタミン抵抗性くる病・骨軟化症、副甲状腺機能低下症、低Ca 血症性疾患
全国アンケート調査の結果から、推定患者数は副甲状腺機能低下症2,304名、偽性副甲状腺機能低下症1,484名と推計された。また、副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症の症状や合併症などの臨床像は遺伝子型によって異なっていることが判った。
インスリン抵抗症
インスリン抵抗症患者に関する実態調査や遺伝子解析情報に基づいて、インスリン抵抗症の新たな疾患分類及び診断基準を策定した。
Wolfram症候群
Wolfram症候群を疑われる患者の遺伝子解析を進めた。また、小児発症例の経過中に症状の進行が確認され、発達段階での身体的および心理的変化を考慮した患者ケアが求められることが判った。
脂肪萎縮症
脂肪萎縮症戦略会議を開催し、疫学調査の方法やレジストリのあり方、診断基準の策定方針について討論した。また、原因不明の先天性脂肪萎縮症を対象に遺伝子変異検索を実施した。
結論
甲状腺部会、副甲状腺部会、糖尿病部会の3部会が、疾患の病態を解明および疾患の診断基準や治療指針の策定を目指している諸疾患について、関連学会と連携して実態把握、診断基準・重症度分類・治療指針の作成が着実に進行している。また、これまでに策定した診断基準・治療指針に基づいて、甲状腺クリーゼの多施設前向きレジストリ研究を継続している。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202011003B
報告書区分
総合
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
課題番号
H30-難治等(難)-一般-004
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
赤水 尚史(和歌山県立医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 正信(群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 大薗 惠一(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 岡崎 亮(帝京大学ちば総合医療センター 第三内科)
  • 井上 大輔(帝京大学ちば総合医療センター 第三内科)
  • 福本 誠二(徳島大学 先端酵素学研究所)
  • 片桐 秀樹(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 小川 渉(神戸大学 大学院医学研究科 )
  • 谷澤 幸生(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 海老原 健(自治医科大学 医学部)
  • 三宅 吉博(愛媛大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交替 岡崎 亮(平成30年4月1日~8月5日)→井上 大輔(平成30年8月6日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
ホルモン受容機構異常に起因する 甲状腺クリーゼ、甲状腺ホルモン不応症、ビタミンD抵抗性低リン血症性くる病・骨軟化症、偽性副甲状腺機能低下症とその関連疾患である副甲状腺機能低下症、低カルシウム血症性疾患、インスリン作用障害糖尿病(インスリン抵抗症)、ウォルフラム症候群、脂肪萎縮症、などの疾患は、患者実態について不明な点が多く残されているため、診療指針も未確立である。本研究の目的は、これらの疾患の全国調査を行い、新たな診断基準を策定することであり、成果は関連団体のホームページ公開や報告会を通じて、国民や非専門医への周知・啓発を目指す。
研究方法
上記の8疾患について、関連学会と連携し、全国疫学調査を実施し、疾患の実態を把握した上で、診断基準・治療指針を策定する。本調査研究は、各施設の倫理委員会の承認を経た後に行ない、ヒトゲノム・遺伝子解析を伴う研究は関係する法令の規定に従い研究を遂行する。
甲状腺クリーゼ診療ガイドラインの有効性評価、および、同疾患の予後に影響を及ぼす要因を解明するため、多施設前向きレジストリ研究を行う。データ管理システムとしてREDCapを利用し、症例登録を実施する。目標症例数は、100例とし、データ解析の後、診療ガイドラインの改訂を行う。また、Minds・GRADEが定める手法に基づいて甲状腺ホルモン不応症診療ガイドラインを策定する。ビタミン抵抗性くる病・骨軟化症、副甲状腺機能低下症、低Ca 血症性疾患については、全国アンケート調査結果に基づいて、現行の診断基準の妥当性など現状の問題点を明らかにし、それぞれのガイドライン策定を目指す。インスリン抵抗症については、治療薬の有効性や安全性に関する情報を中心にとした臨床情報を収集するための、アンケート調査を行う。その結果と文献から収集した情報を基に診療ガイドラインを作成する。過去に策定された「Wolfram症候群の実態調査に基づく早期診断法の確立と治療指針作成のための研究」に基づいた調査結果の再分析を行ない、診断基準、治療指針の改訂を行う。さらに、脂肪萎縮症の実態調査や脂肪萎縮症治療薬メトレレプチンの全例調査、難病助成の登録制度と連携し、レジストリ立ち上げ、診断基準の策定を進める。
結果と考察
甲状腺クリーゼ
前向きコホート試験を実施し、令和2年年度末の時点で、甲状腺クリーゼ患者85名の情報が登録され71例について中間解析を行った。その結果、甲状腺クリーゼの診療ガイドラインが本邦で普及し、同疾患の死亡率が低下傾向である可能性が示唆された。
甲状腺ホルモン不応症
甲状腺ホルモン不応症の治療ガイドラインの策定に向け、推奨文策定が終了した。
ビタミン抵抗性くる病・骨軟化症、副甲状腺機能低下症、低Ca 血症性疾患
全国アンケート調査から、推定患者数は副甲状腺機能低下症2,304名、偽性副甲状腺機能低下症1,484名と推計された。また、副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症の症状や合併症などの臨床像は遺伝子型によって異なっていることが判った。今後に向けて、患者レジストリ構築や診療ガイドラインを改訂・再策定を進める準備ができた。
インスリン抵抗症
インスリン抵抗症患者に関する実態調査や遺伝子解析を行い、インスリン抵抗症の新たな疾患分類及び診断基準を策定した。
Wolfram症候群
Wolfram症候群の非定型例、WFS1遺伝子異常症、それ以外の原因による同症候群・類縁疾患を適切に診断するために除外基準を追加した診断基準と亜分類や検討を進めた。
脂肪萎縮症
「脂肪萎縮症診療ガイドライン」を作成し、公表した。今回のガイドラインでは診断基準の策定は見送られており、今後の課題とした。脂肪萎縮症戦略会議を開催し、疫学調査の方法やレジストリのあり方、診断基準の策定方針について討論した。
結論
甲状腺部会、副甲状腺部会、糖尿病部会の3部会が、疾患の病態を解明および疾患の診断基準や治療指針の策定を目指している諸疾患について、関連学会と連携して実態把握、診断基準・重症度分類・治療指針を作成が着実に進行している。また、これまでに策定した診断基準・治療指針に基づいて、甲状腺クリーゼの多施設前向きレジストリ研究を継続している。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202011003C

収支報告書

文献番号
202011003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,000,000円
(2)補助金確定額
11,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,060,480円
人件費・謝金 889,620円
旅費 319,410円
その他 1,198,244円
間接経費 2,538,000円
合計 11,005,754円

備考

備考
自己資金より5,754円支出

公開日・更新日

公開日
2021-12-09
更新日
-