多様化した女性の活躍の場を考慮した女性の健康の包括的支援の現状把握および評価手法の確立に向けた研究

文献情報

文献番号
202010004A
報告書区分
総括
研究課題名
多様化した女性の活躍の場を考慮した女性の健康の包括的支援の現状把握および評価手法の確立に向けた研究
課題番号
20FB1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
飯島 佐知子(順天堂大学 大学院医療看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 横山 和仁(国際医療福祉大学大学院 医学研究科公衆衛生学専攻)
  • 遠藤 源樹(順天堂大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 西岡 笑子(防衛医科大学校 医学教育部看護学科)
  • 大西 麻未(順天堂大学医療看護学部)
  • 三上 由美子(防衛医科大学校医学教育部看護学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 女性の健康の包括的支援政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
4,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、自治体、協会けんぽ、企業、大学における女性の健康に関わる健康相談・教育事業の実施状況を定量的に把握し、広く実施されている対策とあまり実施されていない対策の種類を明らかにすることであった。また、既存の統計資料から得た健康指標と公共団体の女性の健康支援の実施状況との関連を検討した。さらに、20代女性を対象に子宮頸がん検診の受診促進要因を明らかにすることを目的とした。
研究方法
1) 文献検討ではPubMed, Embase, Cochrane, Web of science, Emcareを対象に2020年11月に文献検索を行い、2260件を得た。2) 全国84か所の女性健康支援センター、全国767大学保健センターに対し実態調査を実施した。さらに全国大学保健管理協会、476大学の保健管理センター等のホームページによる女性のヘルスリテラシー啓発を調査した。3) 協会けんぽ都道府県支部が女性の健康増進についてどのように紹介しているかホームページより情報収集・分析した。4) 事業所の総務人事労務担当者に、1月から2月にWeb調査にて、女性の健康支援の内容についてのインタビュー調査を行った。5) 2021年2月に都道府県47名、市町村1741名の女性の健康支援の担当者に実施状況の質問紙調査を実施した。2017年から2020年に実施収集し公開された人口動態統計等統計資料から女性の健康に関連する指標を収集した。6) 20歳代女性が多く所属する団体に研究協力を依頼し、16名に宮頸がん検診の受診についてインタビュー調査を実施した。
結果と考察
1) 278件まで文献を絞った結果、乳がん、子宮頸がん予防で性行動や骨粗鬆症予防に関する対策の報告件数が多かった。2) 女性健康支援センターから32通(38.1%)の返信があった。相談内容は、メンタルヘルス、育児不安や産後うつ、育児相談、母乳や栄養、妊娠・出産に関するものが多かった。女性特有のがん検診受診について検診車、はがきやクーポン券送付、講演会等での勧奨等が行われていた。159大学(回収率20.7%)の健康教育は、妊娠・出産、ライフプラン、子宮頸がん、葉酸摂取等の生殖に関連する項目は少なかった3) 協会けんぽ都道府県支部のうち、女性の健康支援に関する記述がみられたのは、12支部であった。こうち8支部で「乳がん研修会、婦人科検診を受けやすい環境整備、女性の健康専門の相談窓口の設置、検診の費用補助など具体的記述があった。4) 3社のインタビューにより3社全てで妊娠。出産の勤務時間の短縮、乳がん・子宮頸がん検診がん治療、不妊治療と就労の両立支援も導入されていた。カムバック制度は導入されていなかった。5) 37都道府県及び市町村195 (回収率11.2%)の相談窓口や健康教育は、思春期、妊娠・出産、乳がん、子宮がんに関する内容は15%以上の自治体で実施されていた。しかし、成熟期から老年期の女性に多い疾患の予防や健康自己管理に関して実施している自治体は少なかった。26都道府県の乳がん・子宮がん死亡率、子宮癌検診受診率、乳房・女性生殖器疾患による入院・外来受療率、人工死産率、妊娠、分娩及び産じょく外来受診率は都道府県の実施する複数の女性の健康支援との相関が確認された。また、市町村の人工死産率は,痩せ講座参加者数が多く、望まない妊娠講座に共催が有、 思春期のメール相談件数が多い市町村で多く、性感染症予防参加者数, 妊娠適齢期参加者、やせ電話相談件数が少ない市町村で少ない傾向が示された。6)20代女性の子宮頸がん女性の受診促進要因は、「事前の情報提供(教育)」、「キーパーソンからの推奨」「所属先での検診実施」、「身近な受診者」の4点であった。
結論
 市町村、都道府県では、思春期、妊娠・出産、乳がん、子宮がんに関する健康相談・教育は15%以上の自治体で実施されていた。しかし、成熟期から老年期の女性に多い疾患の予防や健康自己管理に関して実施している自治体は少なかった。大学ではプレコンセプションケアに関する健康教育の実施は少なかった。20代女性の子宮頸がん女性の受診促進要因は、「事前の情報提供(教育)」、「キーパーソンからの推奨」「所属先での検診実施」、「身近な受診者」の4点であった。女性の健康支援をホームページに掲載している協会けんぽは12%であった。企業については対象数を増やして調査する必要がある。自治体の女性の健康に関する相談・教育は乳がん・子宮がん死亡率、乳房・女性生殖器疾患による入院・外来受療率、人工死産率、妊娠、分娩及び産じょく外来受診率、人工死産率との関連が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2022-05-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-05-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202010004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,400,000円
(2)補助金確定額
5,343,000円
差引額 [(1)-(2)]
57,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 470,351円
人件費・謝金 1,613,197円
旅費 0円
その他 2,260,458円
間接経費 1,000,000円
合計 5,344,006円

備考

備考
自己資金916円

公開日・更新日

公開日
2023-05-24
更新日
-