多様な世代の女性に対する情報メディアを通じたアプローチの実践と情報発信基盤の構築に向けた研究

文献情報

文献番号
202010003A
報告書区分
総括
研究課題名
多様な世代の女性に対する情報メディアを通じたアプローチの実践と情報発信基盤の構築に向けた研究
課題番号
20FB1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 知行(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 大須賀 穣(国立大学法人東京大学 医学部附属病院)
  • 秋下 雅弘(東京大学 医学部附属病院 老年病科)
  • 春名 めぐみ(東京大学大学院 医学系研究科 健康科学・看護学専攻 母性看護学・助産学分野)
  • 市橋 香代(東京大学医学部附属病院 精神神経科)
  • 菊池 昭彦(岩手医科大学 医学部 産婦人科学講座)
  • 田中 栄(東京大学医学部附属病院  整形外科)
  • 対馬 ルリ子(医療法人社団ウィミンズ・ウェルネス)
  • 鈴木 眞理(堀田 眞理)(政策研究大学院大学 保健管理センター)
  • 平池 修(和田 修)(東京大学医学部附属病院 女性診療科・産科)
  • 若尾 文彦(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
  • 田中 裕之(東京大学 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 女性の健康の包括的支援政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
11,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
女性は男性よりも寿命が長いが、要介護期間も男性より長い。女性の健康寿命を延長させることは、女性のQOLのさらなる向上につながるだけでなく、現役世代の介護にかかる経済的、肉体的、精神的な負担を軽減する上で喫緊の課題であると言える。女性の健康には性ホルモンの変化が大きな影響を与えており、女性特有の健康問題がある。しかし、我が国の健康支援対策においてはそのような女性特有の健康問題を管理する政策が十分ではなかった。そこで「女性の健康リテラシーに関する基盤を構築すること」を第一の目標として研究を進めることとした。
研究方法
産婦人科医師が中心となり内科、整形外科、小児科、老年病科などと共同して、女性の健康に関する最新でかつ信頼性の高い情報を収集した。収集した情報はWebサイトの形式で、インターネット上で一般公開している。サイト毎にユーザー解析を行うことにより、ユーザーが求めている情報つまり現状で提供が不十分でニーズがあると考えられる情報を明らかにする。
女性特有の疾患には、複数の診療科による就学的な治療を必要とする診療科横断的なものがある。そのような疾患の場合、従来の医学の枠組みでは情報提供体制・診療体制を整備することが困難で、そのような疾患に対する認知や疾患の予防や治療に関する理解が不十分となっている。このような現状を打開するために、「女性の健康相談員」を養成することが有効であると考え、教育プログラムをWebサイトで作成し、カリキュラムをインターネット上で公開、女性の健康支援を目的としたeラーニングの有効性を評価する。
結果と考察
情報提供Webサイトにおいて1ヶ月間にページが表示された回数(PV数)は、開設から継続的に増加傾向にあったが、新型コロナウィルス感染拡大を受けて令和2年1月から急増加したが、5月以降急激に減少した。その間にユーザー属性に大きな変化がなかったことから、5月に行われたGoogleの検索アルゴリズムのコアアップデートによるものと考えられた。女性の健康に関する情報提供をWebサイトで行う場合には、社会情勢や検索サイトのアップデートによる影響を受けることが明らかになった。検索サイトの上位に結果表示されるための工夫やターゲットを絞って情報提供Webサイトの広報活動を行う必要性が示された。
「女性の健康相談員」養成のための教育プログラムについては、カリキュラムを基礎的講座と専門的講座に分類し、専門的な講座を4領域(企業や自治体などの健康相談員向け講座、アスリートや教育機関や企業の運動部担当者向け講座、中高年女性向け講座、教育機関の職員講座)のコースに細分類した。またそれぞれのカリキュラムには確認テストを追加し、ユーザーの理解度を評価することとした。eラーニングの次年度以降の一般公開に向けて、準備を進めている。情報提供Webサイトとの相互連携も計画している。
結論
「女性の健康リテラシーの基盤構築」を第一目標とする我々の活動は、女性の健康に関する情報提供を行うWebサイトと女性特有の疾患に関するeラーニングを作成、運用、評価することにより、女性の健康を支える全ての人に対する啓発を行なっている。信頼性の高い情報を、定期的に更新して一般公開することにより、女性の健康に関する意識が高まり、理解が深まることが期待される。現在は情報提供Webサイトとeラーニングはそれぞれ独立して運用しているが、今後は情報提供Webサイトの閲覧情報を解析することにより、どのような分野が興味を持たれているか調査し、eラーニングに反映させる、逆にeラーニングの確認テスト結果などを解析することにより、どの分野の情報提供が足りていないかを調査し、情報提供Webサイトに反映させるというような相互連携を進めていく予定である。本研究により構築された情報基盤を元に、「多診療科による包括的な女性診療モデル」として、「一診療科による対面診療」の限界を超えて「多診療科によるオンライン診療」のようなものにまで昇華させ、結果として本邦の女性医療水準の向上、女性の健康寿命の延長に貢献することを最終的な目標とする。
現在のところは検索サイト経由で情報提供Webサイトやeラーニングを閲覧する一般ユーザーが本HPのメインユーザーであるが、今後は女性の健康維持に関して熱心に取り組んでいる企業の社員、自治体、教育機関の職員に本研究で作成したWebサイト、eラーニングについて情報提供を行い、より効率的な情報提供を目指す。

公開日・更新日

公開日
2022-05-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202010003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,000,000円
(2)補助金確定額
14,976,000円
差引額 [(1)-(2)]
24,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,932,396円
人件費・謝金 430,956円
旅費 0円
その他 4,212,822円
間接経費 3,400,000円
合計 14,976,174円

備考

備考
自己資金174円

公開日・更新日

公開日
2022-05-06
更新日
-