地域における健康危機発生時の関連機関との連携及び人員・物資の搬送等に関する研究

文献情報

文献番号
200738007A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における健康危機発生時の関連機関との連携及び人員・物資の搬送等に関する研究
課題番号
H17-健康-一般-018
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
舟橋 信(財団法人未来工学研究所 技術国際関係研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 郡山 一明(財団法人救急振興財団 救急救命九州研修所)
  • 岡本 拓司(東京大学大学院 総合文化研究科)
  • 古川 勝久(独立行政法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康危機発生時には、初動対応時に保健所や地方自治体等の関連機関が連携して事態に的確に対応し、避難住民及び必需品の搬送を円滑に行うことが肝要である。本研究は、自治体等が健康危機に係るガイドライン等を作成する際の参考に供することを目的として実施した。
研究方法
○ 行政計画・体制と整合させた医師会向け医療救護計画を作成するとともに、一般医師を対象とした災害医療プログラムを作成し、研修を実施した。
○ 全国の市役所にアンケート調査を行い組織間連携の実態を把握するとともに、国内外の事例研究を実施した。
○ 政府、自治体及び医療関係者等、202名が参加するバイオテロ図上演習を実施し、組織間連携に関する課題等の抽出を行った。
結果と考察
 災害医療プログラムの特徴は、①対象は、一般医師、②消防が、現場の指揮統制を行ない、医療チームはその統制下に入る、③コース修了者のみを災害現場に立ち入り可能とする、④修了者には災害補償を担保すること、⑤DMAT等の活動と連動していることなどである。災害医療を専門としない医師を対象として研修会を開催したところ、受講者から高い評価を得た。
 いつ関係者が危機管理態勢に入るのかがバイオテロや新型インフルエンザのような新興・再興感染症の結果を最も左右する重要な要素である。図上演習では、「病院の現場で発生している事態が迅速かつ正確に関連機関に伝わりにくい」との結果を得た。
 アンケート調査では、コンタクトポイントの把握、連絡会議への出席等、保健所は他の機関に比較して、市役所との連携に課題が残る結果となった。また、災害時要援護者情報の共有に関し、自治体や自主防災組織等の間の情報共有及び避難支援プログラムの作成等、ガイドライン策定後2年経過後も、災害時要援護者情報の共有等は進んでいないことが判明した。
結論
 災害医療プログラムは、岐阜市医師会に採用され、福岡県医師会での採用も決まった。これらの活動を起点として、全国の健康危機管理に寄与するものである。
 市役所と保健所の連携を図るには、お互いに顔の見える関係を構築することが重要である。アンケート調査では市役所側からみると保健所の役割が明確になっていない状況が判明した。
 感染症や疑似症の重症患者について、全国の発生状況がリアルタイムで把握できる体制作りや、脅威評価が確定しない段階において、異常事態の兆候を示す様々な情報が得られるシステムの必要性が認められた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-14
更新日
-

文献情報

文献番号
200738007B
報告書区分
総合
研究課題名
地域における健康危機発生時の関連機関との連携及び人員・物資の搬送等に関する研究
課題番号
H17-健康-一般-018
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
舟橋 信(財団法人未来工学研究所 技術国際関係研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 郡山 一明(財団法人救急振興財団 救急救命九州研修所)
  • 岡本 拓司(東京大学大学院 総合文化研究科)
  • 古川 勝久(独立行政法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康危機発生時には、保健所や地方自治体等の関連機関が連携して事態に対応すること、避難住民及び必需品の搬送を円滑に行うことなどが肝要である。本研究は、自治体等が健康危機に係るガイドライン等を作成する際の参考に供することを目的とする。
研究方法
 過去の健康危機事例を調査し「被害の地域的な広がり」及び「原因究明の難昜」から、健康危機を「自然災害」、「事故」、「化学テロ・災害」、「生物テロ・感染症」の4つのカテゴリーに分類し、各カテゴリーに沿って国内外の事例研究、アンケート調査、図上演習等を実施し関連機関の連携等に係わる課題の抽出を行った。また、危機発生時の医師会の活動計画や災害医療プログラムの作成過程において、行政の危機管理計画との整合性を図った。
結果と考察
 健康危機発生時には、地方自治体首長の指揮統制能力が求められるが、地下鉄サリン事件などの事例をみても破局的な局面における対応について、組織間連携が円滑に機能せず結果管理が十分に行われない懸念が残っている。組織間連携を円滑に行うためには、状況認識を共有し、各機関が迅速に行動することが求められる。このためには、平常時から顔の見える関係を築き、信頼関係を醸成しておくこと、組織間の情報通信手段の複線化、コンタクトポイントの把握、用語の統一、習熟訓練などが重要な要素である。ロジスティックの面では、飲料水、食糧等の備蓄及び搬送を流通業界に依存している自治体が見られるが、NBCテロ等の際には、除染が終了するまで外部からの救援は困難であり、備蓄体制の見直しが必要である。また、NBCテロに的確に対応するためには、日常生活に内在する兆候を嗅ぎ取るシステムの必要性が認められる。
結論
 平成20年度より、北九州市医師会災害医療プログラムに従って、市内医師への教育を開始する予定である。本内容はすでに福岡県医師会での採用も決まり、また岐阜市医師会においても採用されている。これらの活動を起点として、日本全国の健康危機管理に寄与できるものと考えている。
さらに、感染症や擬似症の重症者に関して、全国の発生状況がリアルタイムに把握できる体制作りや、脅威評価が確定しない段階において、公衆衛生当局、農林水産関係、法執行機関、民間セクター等の協力を得て、関連情報を収集し統合して異常事態の兆候を示す様々な情報が得られるシステムの構築が必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200738007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
事例研究や当事者への対面調査、アンケート調査により、関連機関の固有の課題、機関間連携等の課題抽出を行うことができた。これらの課題を活かして、健康危機管理で現場の最前線を担う医師会の健康危機管理活動計画や災害医療プログラムを行政の危機管理計画との整合性を図りながら作成できた。
臨床的観点からの成果
北九州市医師会災害医療プログラムに基づき、開業医及び災害医療未経験の医師に対して、トリアージや消防と一体となった活動を行う上で不可欠な無線通話訓練など、実際的な災害医療研修を実施することができる。
ガイドライン等の開発
・北九州市医師会災害医療プログラム
・北九州市医師会医療救護計画
・バイオセキュリティ図上演習シナリオ
その他行政的観点からの成果
研究成果の一部は、「地域防災計画」「北九州市医師会災害救護計画」に採用されるなど、北九州市の健康危機管理計画改定に寄与した。
その他のインパクト
北九州市医師会災害医療プログラムは、岐阜市医師会において採用され、福岡県医師会においても採用されることとなった。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
北九州市健康危機管理計画改定に寄与
その他成果(普及・啓発活動)
3件
・平成18年9月30日情報セキュリティ大学院大学シンポジュームにて講演 ・平成19年3月20日(独)科学技術振興機構セミナーにて講演 ・平成19年12月4日日本消防協会にて講演

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-11-24
更新日
-