喫煙室の形態変更に伴う受動喫煙環境の評価及び課題解決に資する研究

文献情報

文献番号
202009048A
報告書区分
総括
研究課題名
喫煙室の形態変更に伴う受動喫煙環境の評価及び課題解決に資する研究
課題番号
20FA1020
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
大和 浩(産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 姜 英(キョウ エイ)(産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室)
  • 河井 一明(産業医科大学 産業生態科学研究所)
  • 大森 久光(国立大学法人熊本大学 大学院生命科学研究部)
  • 若尾 文彦(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
  • 樋上 光雄(産業医科大学 産業保健学部 作業環境計測制御学)
  • 伊藤 ゆり(大阪医科大学 研究支援センター医療統計室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
13,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2020年4月より全面施行された改正健康増進法により、多くの飲食店が禁煙化される。本研究は、「喫煙可能店から禁煙店への変更を行おうとする事業者にとって参考となる技術的留意事項」を検討することを目的とする。
研究方法
1)喫煙可能店を禁煙店に変更した施設の分析
2)喫煙専用室の内外の空気環境の衛生工学的調査
3)喫煙専用室の壁等から発生する三次喫煙の測定法の確立
4)喫煙専用室を禁煙化する前後の化学物質濃度の測定
5)喫煙と受動喫煙によるバイオマーカーの評価
結果と考察
1)喫煙可能店を禁煙店に変更したチェーン店では売り上げが増加した。開業時に喫煙可能で現在は禁煙店に変更した飲食店の62%は改正法の前に、36%は改正法の施行のタイミングで、残りは施行後に変更したことが分かった。禁煙店に変更したことで、喫煙する客が来店しなくなるデメリットはあるものの、喫煙する客とのトラブルが減り、家族連れが増え、清掃費用が減るなどのメリットの方が大きいことが分かった。
2)受動喫煙は粒子径が0.3〜1.0μmの個数濃度で鋭敏に検出された。実際のホテルの喫煙フロアと禁煙フロアで測定を行ったところ、喫煙フロアの廊下はタバコ煙で汚染されていることが認められた。三次喫煙は半導体ガスセンサ方式、光イオン化検出方式のいずれでも鋭敏に検出が可能であった。
3)タバコ臭を付着させたタオル(紙製、綿製、化繊)と壁紙から発生するガス状物質の濃度が鋭敏に測定可能であった。
4)喫煙可能室を禁煙室に転換するためには壁紙、カーペット、エアコンのフィルターの交換が必要であった。
5)受動喫煙者の尿中のタバコ煙ばく露マーカー(コチニン、発がん性ニトロソアミン代謝物NNAL)値は、非喫煙者(n=12)に比べて高く、DNA損傷マーカー(8-OHdG、7-mG)値も高い傾向を示した。
結論
喫煙可能店を禁煙店に変更するためには、壁紙やカーペットなどの内装を交換することが必要であり、その証明には内装から発生するガス状物質(三次喫煙)の測定が有用であった。
喫煙専用室を残した場合には、禁煙区域での微小な粒子を測定し、受動喫煙(二次喫煙)が発生していないことを確認することが必要であった。
喫煙可能な飲食店を禁煙店に変更することによる不利益は小さく、利益の方が大きいことが分かった。
喫煙可能店で受動喫煙に曝露されることで、生体影響が発生する可能性が示唆された。
以上より、現在、喫煙可能店として運営している飲食店を禁煙店に変更するための根拠、技術的留意事項が得られたと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2022-04-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202009048Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,000,000円
(2)補助金確定額
16,404,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,596,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,160,362円
人件費・謝金 3,503,501円
旅費 0円
その他 2,587,137円
間接経費 4,153,000円
合計 16,404,000円

備考

備考
差額の158円は自己資金

公開日・更新日

公開日
2022-05-10
更新日
-