心臓大血管救急におけるICTを用いた革新的医療情報連携方法の普及と広域救急医療体制確立に資する研究

文献情報

文献番号
202009046A
報告書区分
総括
研究課題名
心臓大血管救急におけるICTを用いた革新的医療情報連携方法の普及と広域救急医療体制確立に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20FA1018
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
東 信良(旭川医科大学 外科学講座(血管・呼吸・腫瘍病態外科学分野))
研究分担者(所属機関)
  • 横山 斉(福島県立医科大学)
  • 上田 裕一(奈良県立病院機構 奈良県総合医療センター)
  • 磯部 光章(榊原記念病院)
  • 坂田 泰史(大阪大学)
  • 古森 公浩(東海国立大学機構名古屋大学)
  • 久志本 成樹(東北大学)
  • 長谷川 高志(日本遠隔医療協会)
  • 森村 尚登(東京大学)
  • 本村 昇(東邦大学医療センター佐倉病院)
  • 善甫 宣哉(関西医科大学)
  • 荻野 均(東京医科大学)
  • 高山 守正(榊原記念病院)
  • 森野 禎浩(岩手医科大学)
  • 辻田 賢一(熊本大学)
  • 彦惣 俊吾(大阪大学)
  • 岡田 佳築(大阪大学)
  • 齋木 佳克(東北大学医学部)
  • 宮本 伸二(大分大学医学部)
  • 紙谷 寛之(旭川医科大学)
  • 佐瀬 一洋(順天堂大学)
  • 大津 洋(国立国際医療研究センター)
  • 森景 則保(山口大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
4,615,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
急性大動脈解離や破裂性大動脈瘤を含む大動脈緊急症に対する手術手技は確立し、血管内治療の活用も相まって徐々に治療成績は向上しつつあるものの、依然として死亡率は高い。また、冠動脈救急疾患の治療成績は向上しているが、地域差も存在している。冠動脈疾患に関してはPCI実施率の向上が適切な医療体制構築に向けた指標として示されている一方、大動脈緊急症については治療難易度が高く、救命治療可能な施設が限られ、より広域の施設間ネットワークの必要性が提案されている。循環器病対策基本計画においても、大動脈緊急症に対する救急医療体制整備が重点項目として挙げられており、いかに効率良い搬送と情報伝達を達成するかは急務であると言える。
 本研究では、心臓大血管救急の治療を行う拠点病院での治療に加えて、拠点病院への到着前の医療体制を含めた心臓大血管救急治療の現状分析と課題の把握を行うこと、ならびに、ICTを用いた施設間情報連携特に画像連携の有用性を示すエビデンスを確立することを目的とする。
研究方法
①心臓大血管救急特に大動脈緊急症の治療実態調査研究:既存手術データベース(JCVSDおよびNCD)を用いて大動脈緊急症に対して手術を施行した症例について、日本心臓血管外科学会および日本血管外科学会データベース責任者による解析を実施し、症例数年次推移、手術死亡率、病院死亡率を解析し、次年度の重症度による層別化した手術成績や、搬送距離別手術成績解析の基礎をなすデータとする。また、手術データベースで把握できない情報を得るためにリアルワールドデータの解析にも着手した。
②心臓大血管救急におけるICTを用いた施設間連携方法の有用性を検討する多施設臨床研究:ICTを用いた病院間画像情報連携ツールの心臓大血管救急における有用性のエビデンスを確立するために、日本心臓血管外科学会および日本血管外科学会の支援・協力を受け、多施設臨床研究を計画した。研究開始にあたって、研究参加病院がそれぞれのエリアで地域中核病院と連携する地域ネットワークを確立した。これら参加施設と複数回のミーティングを行って登録データ項目を選定し、既存手術データベースにそれらのデータ項目を追加するためのシステム改修を発注・実施した。
③冠動脈救急における臨床成績の地域格差解消のためのフィールド調査については、COVID-19感染の鎮静化を待って次年度以降に実施する予定である。
結果と考察
①手術データベース解析の結果:2013年から2018年における全国における急性大動脈解離手術例は31,112件で、手術後入院死亡率は2013年の11%から最新の2018年データで10%に緩徐に改善しているものの、依然として高い。一方、2011年から2016年の腹部大動脈瘤破裂10,204件の手術死亡率は2011年の18.8%から2016年の15.7%へと改善を認めているが、破裂瘤自体の例数は増加傾向にあり、常に腹部大動脈瘤手術例の約10%を占めている。
リアルワールドデータ(RWD)解析の結果:レセプト・データベース利用の妥当性を検討するためJMDCにおける対象患者、医療実態、影響因子、およびアウトカム指標それぞれの検出方法について検討した。レセプト病名は感度が高いが特異度が低く、潜在的な交絡因子の調整にも限界がある。処方、手術、管理料等は特異度が高く、特に施設をまたぐ解析が可能であった。
②ICTを用いた病院間画像連携研究の成果:既存の手術データベース(NCD)に調査項目を追加するプログラム修正を発注し、ICTを用いた大動脈緊急症に関する多施設臨床研究を開始して、同研究に参加している12大学病院によって大動脈緊急症の救急搬送や重症度に関するデータ収集を開始した。このICTを活用した病院間画像連携の大動脈緊急症への応用については、日本脈管学会、日本遠隔医療学会、日本循環器学会において、研究代表者や分担者がセッションの企画や発表を行った。
考察:地方型と大都市型とでは求められるネットワークの機能が異なることが予想されており、次年度には地方型と大都市型の違いについても検討を加える。
結論
急性A型大動脈解離や大動脈瘤破裂の手術後入院死亡率は緩徐に改善しているものの、他の循環器救急疾患と比べて依然として高い。対策として、第二次脳卒中と循環器病克服5カ年計画の策定に参画し、その中で大動脈緊急症拠点病院構想を立案し、その拠点病院を中核とした広域ネットワーク構築を提案している。救急搬送や拠点病院との情報連携の過程のおけるICTの活用、特に広域ネットワーク内における病院間画像連携が救命率向上の切り札として期待されており、当研究の初年度においてそのICTを用いた病病画像連携の有用性評価のシステムを整えることができた。ICTの活用に関する次年度の成果が期待される。

公開日・更新日

公開日
2021-11-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202009046Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,999,000円
(2)補助金確定額
5,999,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 668,832円
旅費 0円
その他 3,946,168円
間接経費 1,384,000円
合計 5,999,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-05-06
更新日
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