循環器病の縦断的な診療情報の収集、活用方法の検討のための研究

文献情報

文献番号
202009041A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器病の縦断的な診療情報の収集、活用方法の検討のための研究
課題番号
20FA1013
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
宮本 恵宏(国立研究開発法人国立循環器病研究センター オープンイノベーションセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 安田 聡(東北大学 大学院医学系研究科 循環器内科学分野)
  • 小室 一成(国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
  • 宮本 享(国立大学法人京都大学 医学研究科 脳神経外科)
  • 東 尚弘(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センターがん登録センター)
  • 波多野 将(東京大学医学部附属病院循環器内科)
  • 今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 三浦 克之(国立大学法人滋賀医科大学 社会医学講座 公衆衛生学部門)
  • 平松 治彦(国立循環器病研究センター 情報統括部)
  • 飯原 弘二(国立研究開発法人国立循環器病研究センター)
  • 岩永 善高(国立循環器病研究センター 循環器病統合情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
●研究代表者交替   安田聡(令和2年4月1日~令和2年7月31日)→宮本恵宏(令和2年8月1日以降) ●所属機関異動   研究分担者 安田聡   国立循環器病研究センター(令和2年4月1日~令和2年7月31日)→東北大学(令和2年8月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
循環器病の診療情報の縦断的な把握によって、長期的な QOL( Quality of Life) 評価を含めた診療の質の評価、急性期医療での診療の向上や、医療政策への活用等が期待される。本研究では、循環器病の診療情報に関して、施設を超えて長期間にわたり情報収集する既存の取組、活用例について示す資料、および主要な脳卒中、心血管疾患について、登録システムを見据えた、具体的に必要な情報項目や長期間にわたり経過を追跡する方策に関する資料および提言の作成を目指した。
研究方法
以下の3点に関する調査、検討を行い、研究分担者(日本循環器学会、日本脳卒中学会)から診療情報を用いた長期間にわたる情報収集の取り組み、活用に関する考え方の調査を加え、方策としての提言を作成した。
1.すでに地域にて施行されている診療情報の活用事例、くまもとメディカルネットワークの現状と問題点の調査。
2.試行研究による具体的に必要な登録情報項目および登録プロセスの問題点の検討。A;後ろ向き研究;対象6疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、急性冠症候群、急性大動脈解離、急性心不全)に対して、主要基幹6診療施設において、その収集項目の定義に基づいた診療情報データの収集・登録を後ろ向きに行い、その収集されたデータおよびデータベースの質の検証を行った。B;前向き研究;対象6疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、急性冠症候群、急性大動脈解離、急性心不全)に対して、主要基幹10診療施設において、その診療情報データの収集・登録を前向きに同意取得後に行い、国立循環器病研究センターにて顕名データベースを作成する。そして、その過程および収集されたデータおよびデータベースの質の検証を行った。
3.長期間にわたり経過を追跡可能とするために、個人の特定情報の用い方に関する検討および登録の効率化、精度向上をはかるための診療情報登録実務者の検討。
結果と考察
1.調査対象のくまもとメディカルネットワークは、2015年12月から運用開始となっている、熊本県民に安心、安全な地域医療・介護環境を提供できるよう、関連する各施設が患者情報やその他の医療介護情報について情報交換・共有するための地域医療等情報連携ネットワークである。2.2つの試行研究を施行し、循環器病6疾患の定義書に基づいた診療情報登録は、おおむね十分に行われた。後ろ向き研究では、国内6施設から対象6疾患について、計450例の後ろ向きに登録。前向き研究では、国内10施設(うち一施設は倫理承認得られず)から対象6疾患について、計119例の前向きに登録。診療情報登録に先立って、顕名情報登録のための説明同意を取得した。3.縦断的な診療情報の収集、活用のために必要な個人の特定情報の用い方として、疾患登録時の4段階のIDを順次わりふり、急性期現場での診療情報活用時には、2段階にて個人を特定する必要性があった。登録システムの精度の向上のためには、がん登録実務者にならった、循環器病登録実務者を設ける必要性が検討された。
結論
主要な脳卒中、心血管疾患の急性期、回復期、維持期にわたる具体的に必要な情報項目、経過の追跡方法に関して、地方公共団体での活用やモデル地域等への試行による介入等も考慮し以下の4つの提言をまとめた。
1.「地域を中心として患者、施設の参加登録を前提とし、更に共通IDを用いた患者の受診動態の確認、連携可能な医療情報の相互利用の仕組みの活用」
2.「診療情報登録については、登録の目的、システム、規模様々な状況により、登録項目を随時変更、改善させていく必要があり、できるだけ現場の負担が少なくなるような取り組みが必要。説明同意に関しては、取得なしで行う仕組みを作るのが目標であるが、それまではできるだけ簡素化した形で説明同意を得るように努力するのが良い。それにより、より悉皆性、実効性、継続性の高い登録事業の施行を目指すことが必要」
3.「4段階のIDを順次わりふり情報を統合する方法、急性期現場での診療情報活用時には、2段階にて個人を特定する方法」
4.「循環器病登録実務者を設ける必要性とその制度」。

公開日・更新日

公開日
2022-04-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-04-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202009041C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究では、循環器病の診療情報に関して、施設を超えて長期間にわたり情報収集する既存の取組、活用例について示す資料、および主要な脳卒中、心血管疾患について、登録システムを見据えた、具体的に必要な情報項目や長期間にわたり経過を追跡する方策に関する資料の作成を行った。循環器病の診療情報の縦断的な把握によって、医療政策への活用等が期待される。
臨床的観点からの成果
主要な脳卒中、心血管疾患の急性期、回復期、維持期にわたる具体的に必要な情報項目、経過の追跡方法について、地方公共団体での活用やモデル地域等への試行による介入等も考慮し提言を作成した。循環器病の診療情報の縦断的な把握によって、長期的な QOL(Quality of Life)評価を含めた診療の質の評価や急性期医療での診療の向上への活用等が期待された。
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
主要な脳卒中、心血管疾患の急性期、回復期、維持期にわたる具体的に必要な情報項目、経過の追跡方法について、地方公共団体での活用やモデル地域等への試行による介入等も考慮し提言を作成した。
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-04-27
更新日
2023-06-22

収支報告書

文献番号
202009041Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
5,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 647,063円
人件費・謝金 1,083,320円
旅費 4,360円
その他 2,113,200円
間接経費 1,153,000円
合計 5,000,943円

備考

備考
自己資金 943円

公開日・更新日

公開日
2022-04-04
更新日
-