地域特性に応じた地域・職域連携推進事業の効果的な展開のための研究

文献情報

文献番号
202009038A
報告書区分
総括
研究課題名
地域特性に応じた地域・職域連携推進事業の効果的な展開のための研究
課題番号
20FA1010
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
津下 一代(丹羽 一代)(女子栄養大学)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 源太(京都大学 医学部附属病院診療報酬センター)
  • 都筑 千景(大阪府立大学 看護学研究科)
  • 藍 真澄(東京医科歯科大学 医学部附属病院 保険医療管理部)
  • 渡井 いずみ(浜松医科大学 医学部看護学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
8,750,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究代表者 津下 一代 愛知県健康づくり振興事業団(令和2年4月1月~8月31日)    女子栄養大学(令和2年9月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣病等を予防するため、厚生労働省は平成16年度「地域・職域連携推進ガイドライン」を策定、地域保健と職域保健が連携した保健事業を二次医療圏単位で展開することを推進している。その後の社会情勢等の変化や協議会の実施状況、課題等を踏まえ、令和元年9月「地域・職域連携推進ガイドライン」(GL)が改訂された。新GLでは地域保健と職域保健が連携した幅広い取組の促進、支援が不十分な層への対応、協議会の効果的運営、「実行」を重視したPDCA サイクルに基づいた事業展開を目指している。
本研究は本事業の課題を整理し、達成目標の明確化と評価指標設定、事業進展につなげるための手段等について研究することを目的としている。
研究方法
①新GLの深堀、評価指標の検討
②評価指標ならびに業務プロセスをもとに、進捗管理チェックリストを作成する。この実現可能性について、都道府県、二次医療圏の協議会担当者に使用してもらい、修正意見を聴取する。
③協議会の実態調査:4府県については数回にわたる重点的な調査、3県、2県型保健所、2保健所設置市についてはコロナ禍での協議会・共同事業の状況、GL変更後の運営体制の見直しなどについて1回のヒアリング調査を行う。
④地域・職域の健康課題の見える化と対策につながる情報提供の在り方検討:NDB 特定健診データの5 項目(喫煙、体重変化、運動3項目)の質問に対し、対都道府県、及び対全国での二次医療圏単位の標準化該当比を求め、グラフ表示する。
④小規模事業所に対する健康支援を実施していると考えられる地域産業保健センター、社会福祉法人A事業団保健事業部、全国健康保健協会支部に対して、電話またはWeb会議システムを用いた遠隔インタビュー調査を実施する。
⑤研究で得られた知見や試作を学会やホームページ等で発表し、意見を収集する。
結果と考察
①新GLの深堀と評価指標の検討:個々の項目をクリアすることで自然と事業の計画が立ち、事業を進めることができるよう、特に事業がうまく進まない場合の助けとなるように、教育分野の指標等も参考にして構成した。
②プロセスに沿った進捗チェックリストの作成と試行:協議会担当者が協議会の現状について自己評価し、レベルに合わせたプロセスをチェック、対策を検討するためのリストを作成した。試行自治体において、このようなチェックリストを確認することで、気づきがあった、未実施のことを次年度実施したい、チェックリストは必要との意見が多かった。
③協議会の実態調査:都道府県間で、運営体制、事業目的、事業実施状況に大きな差異を認めた。新GLについては、保健所担当者とも勉強会をもって準備を進め、運営体制や事業の在り方を変更したところもあれば、コロナ禍のために全く動けない自治体もあった。二次医療圏については、県型保健所と保健所設置市とは実施体制、運営方法が異なる傾向があった。新GLの周知度は保健所設置市で低い傾向が見られた。地域・職域を連結した健康課題の可視化が容易にできることが望まれた。
④地域・職域の健康課題の見える化と対策につながる情報提供の在り方検討 :同一都道府県内においても、二次医療圏ごとに標準化該当比に大きな幅がみられる結果となったが、年度間での変動は小さかった。自治体での活用実態の調査が必要である。
④小規模事業所に対する健康づくり支援機関の探索と活動状況のヒアリング:3団体は異なるアプローチを用いていた。労働衛生機関はコスト面、全国健康保険協会は事業所への健康介入するための人材不足が課題であり、行政・企業・保険者という3組織の連携強化および地域・職域両者の立場を理解して職域に健康介入できるスキルを備えた人材育成の必要性が示唆された。
⑤日本公衆衛生学会シンポジウム、日本産業衛生学会などで新GLの周知活動と小規模事業所支援について話し合った。ホームページにチェックリストを公表した。次年度活用状況を調査し、改善を図ることとしている。
結論
今年度はコロナの影響から、都道府県・保健所の状況に配慮し、研究班としてワークショップやモデル実施などに取り組むことができなかった。しかし、GLの深堀と評価指標の検討、進捗チェックリストの作成、協議会についての調査などを通して、GLを具体的に進めていく方策について検討できたと思う。次年度の研究に生かしていきたい。

公開日・更新日

公開日
2023-07-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202009038Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,000,000円
(2)補助金確定額
9,807,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,193,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,563,582円
人件費・謝金 220,108円
旅費 85,780円
その他 2,687,543円
間接経費 2,250,000円
合計 9,807,013円

備考

備考
自己資金13円。令和2年度は新型コロナ感染症により、班会議やヒアリング調査をオンラインで実施したため、出張が減少し旅費支出が大幅に減少した。会議の設営や資料整備のための人件費も削減できた。一方、NDBデータの集計作業について業務委託で実施予定であったが、来院規制により院内での作業が困難となったため、委託契約ではなく、データ格納用ストレージ購入し精度評価をおこなった。これにより物品費が増加した。コロナの状況に応じて研究計画を修正しつつ研究を実施したため、補助金確定額と支出の間に差額が発生した。

公開日・更新日

公開日
2022-04-18
更新日
-