改正国際保健規則への対応体制構築に関する研究

文献情報

文献番号
200737004A
報告書区分
総括
研究課題名
改正国際保健規則への対応体制構築に関する研究
課題番号
H19-テロ-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 清州(国立感染症研究所感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 久美(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 重松 美加(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 砂川 富正(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 松井 珠乃(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 森兼 啓太(国立感染症研究所感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康危機管理・テロリズム対策システム研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 2005年5月に改正され、2007年6月に施行となった国際保健規則(以下IHR2005)では、これまでの感染症に限定されていた対象疾患が大幅に拡大され、基本的に対象が個別疾病ではなく、その原因の如何を問わず、すべての国際的健康危機事例(Public Health Emergencies of International Concern;PHEIC)が国際的な報告対象となった。そして、各加盟国はこれらを報告できるような体制を整えなくてはならないことも明記されている。本邦ではこのような体制はまだ存在しないため、これらの新しい体制を構築するために、IHR2005について詳細を把握し世界各国の対応状況を調査し、本邦における体制の構築について検討する。
研究方法
 まずIHR2005の全条文、Core capacity requirementsを記述しているAnnex 1、Areas of work for IHR implementationを検討し、IHR2005の施行に必要な体制を議論し、各国において調査してくるべき項目をまとめた。これにあたっては、厚生労働省と協議して、行政的に必要な項目も加えた。調査すべき国として、WHO、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアとした。
 調査内容は、各国の危機管理体制に関わることであり、それぞれNational Securityに属することでもあるため、メールなどでは詳細な状況を調査することは容易ではないため、実際に担当者と対面して議論を行うこととした。海外旅費が十分ではなかったため、種々の国際会議や他の目的での渡航の際などにも調査を行った。
結果と考察
 本年度は、ドイツ、フランス、英国、米国、オーストラリアにおける改正IHR2005対応状況について情報を得た。調査国は、すべて今回の国際保健規則の改正に先立ち、法的、組織的、体制的な整備が行われており、ドイツ、オーストラリアにおいては、この改正後、IHR2005を施行するために法的枠組みを整備している。すべての国において、国家全体体制ですべての健康危機事例を把握できるような体制をすでに構築しており、それらを集約、評価、対応、そして国際的な報告ができる体制を整備している。
結論
 我が国は、国際社会の一員として、かつ、日本国民を健康危機より守るためにも、今回の国際保健規則の改正を機会に、包括的な健康危機管理体制を構築する必要があり、まずはIHR2005の条文において規定されている健康危機事例を集約、報告できる、法的、組織的整備を行う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-05-26
更新日
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