生涯にわたる循環器疾患の個人リスクおよび集団リスクの評価ツールの開発及び臨床応用のための研究

文献情報

文献番号
202009030A
報告書区分
総括
研究課題名
生涯にわたる循環器疾患の個人リスクおよび集団リスクの評価ツールの開発及び臨床応用のための研究
課題番号
20FA1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
村上 義孝(東邦大学医学部医学科社会医学講座医療統計学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 岡村 智教(慶應義塾大学 医学部 衛生学公衆衛生学教室)
  • 二宮 利治(九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野)
  • 大久保 孝義(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
  • 磯 博康(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 玉腰 暁子(北海道大学大学院医学研究院 社会医学分野公衆衛生学教室)
  • 宮本 恵宏(国立研究開発法人国立循環器病研究センター オープンイノベーションセンター)
  • 三浦 克之(国立大学法人滋賀医科大学 社会医学講座 公衆衛生学部門)
  • 大西 浩文(札幌医科大学 医学部)
  • 辻 一郎(東北大学  大学院医学系研究科 公衆衛生学分野)
  • 櫻井 勝(金沢医科大学 医学部)
  • 山田 美智子(公益財団法人 放射線影響研究所 臨床研究部)
  • 坂田 清美(岩手医科大学 医学部衛生学公衆衛生学講座)
  • 木山 昌彦(大阪がん循環器病予防センター 循環器病予防部門 )
  • 石川 鎮清(自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学部門)
  • 八谷 寛(藤田医科大学 医学部 公衆衛生学)
  • 中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高血圧や脂質異常症、喫煙、糖尿病などのリスク因子は個人の循環器疾患の発症に影響を与えるが、ベースライン時の測定値による発症リスク等の予測能や、リスク因子の経時的変動の影響や予測可能な年数など、現時点で結論がでてない課題も多い。本研究班の研究目的は、わが国の循環器疫学を中心とするコホートの統合研究であるEPOCH-JAPAN (Evidence for Cardiovascular Prevention From Observational Cohorts in Japan)により、循環器疾患の生涯にわたるリスクについて、危険因子の変動や予測可能期間の影響を検討するとともに、より精緻な予測可能なツールを開発することである。
研究方法
本研究班は(1) 集団健診情報による各リスク因子の長期的な予測能の妥当性評価、(2) 個人における経時的なリスク因子の変動を考慮した解析、(3) 複数回測定された危険因子(経時曝露)を用いたデータ解析法の整理、(4) リスク評価モデルに関連した統合研究、(5)個々のコホートの追跡期間延長と新規コホートの追跡調査、の5つのテーマについて実施する。令和2年度に実施した検討課題を以下に示すとおりである。ベースライン測定値のもつリスク予測能を評価するためにEPOCH-JAPANデータベースを用い、追跡年を区切ったデータ(追跡期間:5,10,15,20年に打ち切り)を作成・解析した。解析の際、各コホートの開始年、地域等を考慮するとともに、相対リスクのほか絶対リスクについても検討を加えた。リスク因子の経時的変動の影響をみるためのコホートデータを分担研究者から収集し、経時データのデータベース作成を進めた。疫学研究の実施困難が予想される事態が、統合研究および地域コホート研究の運営に与える影響と課題についても検討した。
結果と考察
研究を実施した結果、(1) 集団健診情報による各リスク因子の長期的な予測能の妥当性評価では、年齢、血圧、血清総コレステロールでは期間別ハザード比に違いがみられない一方、糖尿病、喫煙では、期間別に大きな違いがみられた。またリスク予測モデルの長期的予測能の検討で時間依存性ROCを用いた解析の結果、男女によらずどの疾患カテゴリにおいても、期間の長短によらずほぼ良好なAUCの値が観察された。(2)の個人における経時的なリスク因子の変動を考慮した解析では、メタアナリシスの手法によるデータ統合の実施可能性について検討され、血圧、脂質、糖尿病、BMIの4つのグループの解析計画が立案された。また各々の計画に即したデータ解析が各コホートで実施され、中央事務局による解析結果の統合が進められた。(3) 複数回測定された危険因子(経時曝露)を用いたデータ解析法の整理では、最新の文献をもとに複数回測定された危険因子のデータ解析法のレビューを行い、生物統計学的方法論導入にむけての整理を実施した。(4) リスク評価モデルに関連した統合研究では、生涯にわたる循環器疾患の個人リスクおよび集団のリスク評価ツールの開発で必要となる種々のテーマに関し、統合データベースを解析し、研究成果をまとめた。生涯リスクについて3テーマ(慢性腎臓病、糖尿病と高血圧、統合リスク因子)と、個人の10年以内の循環器疾患の予測リスクの開発について成果発信された。(5)個々のコホートの追跡期間延長と新規コホートの追跡調査は、コロナ禍ではあったものの各コホートの多大な努力と創意工夫により本年も実施され、個々のコホート研究から数多くの論文が公表され、統合研究・個別研究で総計78本の論文が学術雑誌に掲載された。
結論
研究班での検討の結果、本年は(1) 集団健診情報による各リスク因子の長期的な予測能の妥当性評価、(2) 個人における経時的なリスク因子の変動を考慮した解析、(3) 複数回測定された危険因子(経時曝露)を用いたデータ解析法の整理、(4) リスク評価モデルに関連した統合研究、(5)個々のコホートの追跡期間延長と新規コホートの追跡調査、の5つが実施、個々の成果発信がなされた。

公開日・更新日

公開日
2022-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202009030Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,000,000円
(2)補助金確定額
15,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,415,832円
人件費・謝金 7,007,761円
旅費 151,350円
その他 3,928,214円
間接経費 1,500,000円
合計 15,003,157円

備考

備考
自己資金3157円

公開日・更新日

公開日
2022-05-06
更新日
-