健康危機管理における効果的な医療体制のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200737001A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機管理における効果的な医療体制のあり方に関する研究
課題番号
H19-テロ-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大友 康裕(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 救急災害医学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康危機管理・テロリズム対策システム研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省国民保護計画ではNBC災害・テロへの対応体制を確立することが喫緊の課題となっている。現在のテロへの医療対応は、原因物質毎に異なる体制がとられているが、実際のNBCテロ初動においては、原因物質検知に時間を要し、また不明物質、混合物質の関与も考えられることから、対応困難、混乱が懸念される。テロ発生時に矢面に立たざるを得ない救急医療施設において、十分な医療を提供できないことによる人的被害の拡大や診療にあたる医療従事者への悲惨な二次災害の発生は不可避である。救急医療機関において全ての原因物質に対して適切な初期対処が可能となるような体制整備が求められる。本研究はテロ災害に対して、医療機関でのNBC共通の標準的な医療対応方法(マニュアルおよび資器材・院内体制整備)の開発、研修カリキュラムの開発・発展およびサーベイランス方法の開発により、テロに対する急性期医療に関して実効性ある体制整備に寄与することを目的とする。
研究方法
3ヵ年計画の初年度である平成19年度は下記のように研究を実施した。
 1)NBCテロ・災害研修会の実施、検証、改善、2)「医療機関におけるN BCテロ・災害への標準的対応マニュアル」の策定、3)「医療機関におけるNBCテロ対応標準的資器材」の整備推奨リストの策定、4) Advanced Disaster Life Support (ADLS)の日本での開催
結果と考察
平成18年度開発実施した「NBCテロ・災害対応研修会」の評価、研修カリキュラムの検証、評価方法の確立。内容を改善(教授内容、カリキュラム、教育手法)させ、平成19年度も3回の研修会を実施した。また「救急医療機関におけるNBCテロ標準的初動マニュアル」を完成させ、マニュアルに準じた医療対応を実施するために必要な「標準的資器材リスト」を策定し、研究班の推奨リストとして全国の救急医療機関に周知した。これを参考として、現在、厚労省医政局により整備が進められている「NBC災害・テロ対策設備整備事業」に基づいた資器材整備が進むことを期待している。米国医師会による災害医療研修会(テロ対応中心)であるADLSを日本で開催し、われわれの今後の研究方針および研修会の方法について、貴重な情報を得た。
結論
本研究班で策定した「救急医療機関におけるNBCテロ標準的初動マニュアル」に基づいた院内体制整備計画およびその計画に基づいた病院職員に対する研修訓練が実施され、NBCテロに対する実効性のある体制が整備されることを期待している。

公開日・更新日

公開日
2008-04-25
更新日
-