ナノマテリアルの経皮毒性に関する評価手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200736029A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノマテリアルの経皮毒性に関する評価手法の開発に関する研究
課題番号
H19-化学-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
津田 洋幸(公立大学法人名古屋市立大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 徳永 裕司(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 宮澤 眞紀(神奈川県衛生研究所理化学部薬事毒性グループ)
  • 藤井 まき子(昭和薬科大学薬剤学教室)
  • 菊地 克子(東北大学大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
70,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
直径100nm 以下のナノサイズの二酸化チタニウム(TiO2)、亜鉛、シリカ等は化粧品や日焼け防止軟膏に用いられているが、皮膚塗布による局所障害、透過性、免疫障害、他臓器への移行による有害作用について評価する標準的手法は開発されていない。本研究では、動物モデルを用いて検討し、有害性作用の機序に基づく評価法を開発し、今後の有害作用のリスク管理に供することの出来る標準的評価系を確立することを目的とした。
研究方法
1)皮膚発がん高感受性トランスジェニックラットを用いて、TiO2(直径20nm)の皮膚発がんプロモーション作用を検討している。2)ラットの背部皮膚に塗布したTiO2(直径35nm)の曝露局所、他臓器への移動についてICP-MSを用いて定量測定した。3)マウスの耳介皮膚表皮において角質除去した皮膚炎部における炎症に対するTiO2(直径35nm/250nm)の影響を、ハプテンの1% DNCBとTiO2(直径35nm/250nm)を同時に塗布して測定した。4)ヘアレスマウスにTiO2の反復塗布を行い、角層水分量、角層水分バリア能を評価した。5)皮膚の生理・構造がヒトに近いブタ皮膚等を用いて、皮膚に適用した粒子等の透過性を検索した。
結果と考察
1)皮膚発がんプロモーション作用について病理学的解析を行っている。肉眼的には皮膚腫瘍の増加傾向がみられた。2)TiO2(直径35nm)は雄ラットの背部皮膚に塗布した場合に、曝露皮膚、肝、腎に蓄積が見られた。3)マウスの耳介皮膚表皮の接触性皮膚炎類似病変において、TiO2(直径35nm/250nm)とハプテンとの同時投与でTiO2は粒子径によらず炎症反応を増悪させた、4)ヘアレスマウスへのTiO2の反復塗布は角層水分量の低下および角層水分バリア機能を低下させた。5)皮膚モデルを用いて、ナノ粒子の皮膚透過性に影響を及ぼす共存物質、表面因子について解析し,毒性評価の妥当な方法について解析している。発がんプロモーション作用については、通常動物(マウス)でも検討する必要がある。TiO2の蓄積性については更に個体数を増加させて検証する。炎症反応への関与について起炎サイトカイン等の解析が必要となる。
結論
ナノサイズのTiO2は皮膚に塗布した場合、曝露皮膚から吸収されて皮膚組織と遠隔の臓器に移動して沈着する事が観察された。また皮膚の炎症反応を増強しさせる可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2009-05-15
更新日
-