加熱式たばこによる健康危機発生を回避するための非臨床安全性評価に関する基礎的研究

文献情報

文献番号
202009024A
報告書区分
総括
研究課題名
加熱式たばこによる健康危機発生を回避するための非臨床安全性評価に関する基礎的研究
課題番号
19FA1015
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
戸塚 ゆ加里(国立研究開発法人国立がん研究センター 研究所・発がん・予防研究分野)
研究分担者(所属機関)
  • 中江 大(東京農業大学 応用生物科学 食品安全健康学科 食品安全評価学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は,モデル生物や実験動物を用いて加熱式たばこの一般毒性および遺伝毒性の評価を行い,科学的根拠に基づいた加熱式たばこの規制などによるヒト健康の維持・増進に資する基礎的情報を得ることである。
研究方法
加熱式たばこおよび対照の紙巻きたばこからの検体を,雌性C57BL/6J系およびgpt deltaマウスの気管内に投与し,肺・消化管・肝・膀胱などたばこの標的臓器として知られるものを含む各種臓器について毒性病理学的に解析した.
また、gpt deltaマウスを用いて、紙巻(3R4F)及び加熱式(IQOS)タバコサンプルを気管内投与し、in vivo遺伝毒性についても検討した。
結果と考察
一般毒性試験の結果,いずれの試験においても紙巻および加熱式タバコ捕集液の気管内投与による明らかな変化が得られなかった.これについては,投与した捕集液の濃度自体が低かったことにも関連していると考えられ,より高濃度での曝露条件において精査する必要があるものと考えられた.
in vivo遺伝毒性の結果は、溶媒対照群と比べ、3R4F(10本)及びIQOS (10本)で約2倍程度の変異頻度の上昇(P<0.05)が観察されたものの、3R4Fの変異頻度は予想よりもはるかに低いものであった。変異スペクトル解析の結果、IQOS_10本の曝露群において、GC > AT変異の有意な増加に加えて、欠失の増加傾向が認められた。
結論
一般毒性の評価を目的として実施した上記のin vivo試験においては,いずれも紙巻および加熱式タバコ捕集液の気管内投与による明らかな変化が得られなかった.in vivo遺伝毒性の結果は、溶媒対照群と比べ、3R4F及びIQOS で約2倍程度の変異頻度の上昇(P<0.05)が観察されたものの、3R4Fの変異頻度は予想よりもはるかに低いものであった。これらのことから,投与した捕集液の濃度自体が低かったと考えられ,より高濃度での曝露条件において精査する必要があるものと考えられた.

公開日・更新日

公開日
2022-04-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-04-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202009024B
報告書区分
総合
研究課題名
加熱式たばこによる健康危機発生を回避するための非臨床安全性評価に関する基礎的研究
課題番号
19FA1015
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
戸塚 ゆ加里(国立研究開発法人国立がん研究センター 研究所・発がん・予防研究分野)
研究分担者(所属機関)
  • 中江 大(東京農業大学 応用生物科学 食品安全健康学科 食品安全評価学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は,モデル生物や実験動物を用いて加熱式たばこの一般毒性および遺伝毒性の評価を行い,科学的根拠に基づいた加熱式たばこの規制などによるヒト健康の維持・増進に資する基礎的情報を得ることである。
研究方法
第1年度はバクテリアを用いて,紙巻及び加熱式タバコの遺伝毒性について検討した.TA1535を用いたAmes試験およびNGSを用いたグローバルな変異解析では,今回試験したいずれの条件下でも,顕著な変異原性は観察されなかった.2年度は加熱式たばこおよび対照の紙巻きたばこからの検体を,雌性C57BL/6J系およびgpt deltaマウスの気管内に投与し,肺・消化管・肝・膀胱などたばこの標的臓器として知られるものを含む各種臓器について毒性病理学的に解析した.
また、gpt deltaマウスを用いて、紙巻(3R4F)及び加熱式(IQOS)タバコサンプルを気管内投与し、in vivo遺伝毒性についても検討した。
結果と考察
バクテリアを用いて,紙巻及び加熱式タバコの遺伝毒性について検討した結果、TA1535を用いたAmes試験およびNGSを用いたグローバルな変異解析では,今回試験したいずれの条件下でも,顕著な変異原性は観察されなかった.
一般毒性試験の結果,いずれの試験においても紙巻および加熱式タバコ捕集液の気管内投与による明らかな変化が得られなかった.これについては,投与した捕集液の濃度自体が低かったことにも関連していると考えられ,より高濃度での曝露条件において精査する必要があるものと考えられた.
in vivo遺伝毒性の結果は、溶媒対照群と比べ、3R4F(10本)及びIQOS (10本)で約2倍程度の変異頻度の上昇(P<0.05)が観察されたものの、3R4Fの変異頻度は予想よりもはるかに低いものであった。変異スペクトル解析の結果、IQOS_10本の曝露群において、GC > AT変異の有意な増加に加えて、欠失の増加傾向が認められた。
結論
バクテリアを用いて,紙巻及び加熱式タバコの遺伝毒性について検討した結果、TA1535を用いたAmes試験およびNGSを用いたグローバルな変異解析では,今回試験したいずれの条件下でも,顕著な変異原性は観察されなかった.一方、一般毒性の評価を目的として実施した上記のin vivo試験においては,いずれも紙巻および加熱式タバコ捕集液の気管内投与による明らかな変化が得られなかった.in vivo遺伝毒性の結果は、溶媒対照群と比べ、3R4F及びIQOS で約2倍程度の変異頻度の上昇(P<0.05)が観察されたものの、3R4Fの変異頻度は予想よりもはるかに低いものであった。これらのことから,投与した捕集液の濃度自体が低かったと考えられ,より高濃度での曝露条件において精査する必要があるものと考えられた.

公開日・更新日

公開日
2022-05-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202009024C

成果

専門的・学術的観点からの成果
加熱式たばこおよび対照の紙巻きたばこからの検体を,雌性C57BL/6J系およびgpt deltaマウスの気管内に投与し,肺を含む各種臓器について毒性病理学的に解析した結果,紙巻および加熱式タバコによる明らかな変化が得られなかった.in vivo遺伝毒性について検討したところ、溶媒対照群と比べ、紙巻及び加熱式で約2倍程度の変異頻度の上昇が観察されたものの、紙巻タバコの変異頻度は予想よりもはるかに低いものであった。これらのことから,より高濃度での曝露条件において精査する必要があるものと考えられた。
臨床的観点からの成果
in vivo遺伝毒性試験において、加熱式タバコ煙の捕集液に遺伝毒性が観察されたが、陽性対照である紙巻きタバコの遺伝毒性が思っていたよりも低かった。臨床的観点からの安全性評価のためには、より高濃度での曝露条件において精査する必要があると考えられた。
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
該当なし
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
日本薬学会(2023.3), がん予防学術大会(2023.9), 環境変異原学会(2023.11)
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-05-24
更新日
2024-05-23

収支報告書

文献番号
202009024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
8,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 227,859円
人件費・謝金 821,444円
旅費 0円
その他 3,285,017円
間接経費 1,615,000円
合計 8,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-05-06
更新日
-