家庭用化学製品のリスク管理におけるヒトデータの利用に関する研究

文献情報

文献番号
200736022A
報告書区分
総括
研究課題名
家庭用化学製品のリスク管理におけるヒトデータの利用に関する研究
課題番号
H18-化学-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
吉岡 敏治(財団法人日本中毒情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 遠藤 容子(財団法人日本中毒情報センター )
  • 大橋 教良(財団法人日本中毒情報センター )
  • 嶋津 岳士(近畿大学医学部)
  • 黒木 由美子(財団法人日本中毒情報センター )
  • 奥村 徹(佐賀大学医学部 危機管理医学講座)
  • 白川 洋一(医療法人財団大樹会 総合病院回生病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒトデータを利用して家庭用化学製品等の健康被害事故のリスク管理の基盤となる情報を得る。
研究方法
家庭用化学製品等による急性中毒事故について、大阪府と茨城県の全医療機関8,960施設、日本中毒情報センターの10年間の受信事例156,807件、全国の高齢者施設等2,740施設、海外関連機関を対象に実態調査を実施し、その発生頻度と発生要因を検討した。また、221の研究協力施設から調査A『家庭用化学製品による急性中毒に関する全症例調査』、血中濃度分析を行う調査B『予後評価の必要な物質による急性中毒に関する重症例調査』に該当する症例をプロスペクティブに収集し、健康被害の危険度を検討した。
結果と考察
医療機関受診事例は医薬品中毒が最も多く(46%)、10月の調査では2月と比べ自然毒(25%)、家庭用化学製品(15%)が多く、季節差があった。1981年の調査と比べ家庭化学製品は減少しており、30年弱の間に市民への啓発や中毒110番の利用が推進され、軽症例の受診が少なくなったことが主因と考える。日本中毒情報センター受信事例では、5歳以下の小児と高齢者による家庭用品の経口事故は、成長あるいは加齢とともに原因となる製品に変化が見られ、その製品がよく使われる時期に多く発生していた。高齢者施設等の調査で把握した中毒事故165事例は家庭用化学製品が60%、医薬品35%であり、認知症等による事故が74%、有症状率は40%で、死亡例はなかった。海外の中毒関連機関ではToxicovigilance活動を強化して事故防止効果を得ており、防水スプレー、鉛含有アクセサリー類、1,4-ブタンジオール含有ビーズ玩具等による事故の対策として製品回収や注意喚起を行っていた。
調査Aの収集症例177例は軽症が多かったが、塩素系洗浄剤類、一部の殺虫剤、紙巻タバコ、灯油等では中等症以上も散見され死亡例もあった。医療機関の受診の必要性に関して電話で相談を受けた際に利用するトリアージアルゴリズムを7製品群について作成した。調査Bの収集症例のうち21例(アセトアミノフェン、三環系抗うつ薬、有機リン剤、グリホサート、エチレングリコール)の血中濃度と中毒症状、転帰との関連を解析した。
結論
家庭用化学製品の健康被害事故防止の啓発と対応に必要なポイントを明らかにした。リスク管理にはヒトデータ収集の継続が必須である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
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