循環器病の医療体制構築に資する自治体が利活用可能な指標等を作成するための研究

文献情報

文献番号
202009011A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器病の医療体制構築に資する自治体が利活用可能な指標等を作成するための研究
課題番号
19FA1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 赤羽 学(国立保健医療科学院 保健・医療サービス研究部)
  • 野田 龍也(奈良県立医科大学 公衆衛生学講座)
  • 西岡 祐一(奈良県立医科大学 公衆衛生学講座)
  • 坂田 泰史(国立大学法人 大阪大学 医学部附属病院 循環器内科)
  • 岡田 佳築(大阪大学大学院医学系研究科 変革的医療情報システム開発学寄附講座/循環器内科学)
  • 添田 恒有(奈良県立医科大学 医学部)
  • 安田 聡(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 宮本 恵宏(国立研究開発法人国立循環器病研究センター オープンイノベーションセンター)
  • 中瀬 裕之(奈良県立医科大学 脳神経外科)
  • 山田 修一(奈良県立医科大学 脳神経外科)
  • 飯原 弘二(国立研究開発法人国立循環器病研究センター)
  • 鴨打 正浩(九州大学大学院医学研究院 医療経営・管理学講座)
  • 宮本 享(国立大学法人京都大学 医学研究科 脳神経外科)
  • 加藤 源太(京都大学 医学部附属病院診療報酬センター)
  • 金岡 幸嗣朗(国立循環器病研究センター OIC 循環器病統合情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
28,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
都道府県が地域の実情に応じて医療体制の確保を図るために策定する医療計画の進捗評価は、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)等のデータを集計・指標化したデータに基づき行う事が求められている。また、医療計画に記載する事とされている、疾病・事業ごとの医療提供体制には、循環器病として「脳卒中」と「心筋梗塞等の心血管疾患」が含まれている。本研究では医療政策的な視点と、循環器病の学術的・臨床的な視点双方の視点を踏まえた、都道府県での実用性の高い指標の作成を目的ととする。
研究方法
本研究班は疾患に関する「心血管疾患班」、「脳卒中班」の2つの分担班に分けて研究を進めた。この他に、「医療政策・NDB技術班」は、循環器病における、NDB上での患者特定の条件の検討を行った。心血管疾患班・脳卒中班ともに、以下の方法で研究を進めた。
1. 指標の信頼性・妥当性の検証(令和元~2年度)
ストラクチャー・プロセス指標とアウトカム指標間の関連性、学会・研究者等のデータからの結果と比較した実臨床の視点からの検証を行う。
2. 指標の有効性の検証(~令和3年度)
指標群を用いたアウトカムの予測モデルを作成し、他年度のNDBデータや学会等のデータベースを用いて、予測モデルの外的妥当性を評価する。
3. 医療費に関する資料の作成(~令和3年度)
研究過程で検証される指標に関連した医療費(治療手技や再入院等を想定)をNDBデータベースから抽出し解析する。
4. NDBデータ以外のデータ活用の検証(令和3年度)
NDBデータが利用困難な指標については、NDB以外のデータ(J-ROAD等の学会等のデータ)を通じた自治体における活用可能性につき検証する。
結果と考察
本年度は、令和3年度からの医療計画中間見直しに向けて、医療政策的な視点と、循環器病の学術的・臨床的な視点双方の視点を踏まえた、必要最小限の追加指標を中心とした検討を行った。本研究により検討された心血管疾患の指標の一覧を表1に、脳卒中に関する指標の一覧を表2に示す。詳細については、それぞれ分担研究報告書を参照されたい。
地域における脳卒中の医療提供体制構築に資する指標について、医療に加えて介護サービスを含めた観点から検討を行った。また、日本病院会等6団体から出されている脳卒中関係、および急性心筋梗塞/虚血性心疾患に関する指標について、指標の内容、計算式、計算に用いられている分母と分子を調査し比較を行った。
結論
1.心血管疾患班
心大血管疾患リハビリテーションについては、NDBデータ上でも予後との関連が認められ、都道府県間の実施割合の地域差も大きいことから、急性心筋梗塞に対するPCI実施率に加え、各都道府県が医療体制の確保を図る上での指標の候補になるものと考えられた。NDBデータ上で疾患を特定して指標を定義する際には、NDB上の病名抽出の妥当性を踏まえた上で検証することが必要と考えられ、NDB上で定義されるコードが存在する手術手技や処方薬を関連させるなどして、NDB上の病名抽出の影響を緩和できるような指標の検討が必要とも考えられた。
2.脳卒中班
第8次医療計画作成に向けて、脳卒中診療体制構築のための新たな指標案を草案した。また、奈良県KDBデータに含まれる後期高齢者において脳卒中を発症した患者のうち、血栓溶解剤(rt-PA;グルトパ注)が処方された患者の発症後の経時的な転帰、介護サービス利用の経時的変化の詳細を明らかにすることができた。
3.医療政策・NDB技術班
病院団体ごとの臨床指標は、各病院団体での目的や使用に沿って検討・作成されたものであるため、地域全体の医療指標としてそのまま用いるのは不適切である。各病院団体でつくられた臨床指標の考え方や、その式の構成について参考にしつつ、地域医療指標の作成することが重要である。

公開日・更新日

公開日
2022-05-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-05-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202009011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
30,000,000円
(2)補助金確定額
28,974,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,026,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,519,639円
人件費・謝金 9,619,669円
旅費 422,724円
その他 11,262,776円
間接経費 1,150,000円
合計 28,974,808円

備考

備考
収入の「(2)補助金確定額」と支出の「合計」の差額は、自己資金808円です

公開日・更新日

公開日
2022-03-25
更新日
-