歯科口腔保健の新たな評価方法・評価指標の開発のための調査研究~我が国の歯科健康格差縮小へのヘルスサービスリサーチ~

文献情報

文献番号
202009009A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科口腔保健の新たな評価方法・評価指標の開発のための調査研究~我が国の歯科健康格差縮小へのヘルスサービスリサーチ~
課題番号
19FA1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
田宮 菜奈子(国立大学法人筑波大学 医学医療系 / ヘルスサービス開発研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 秀人(国立保健医療科学院)
  • 森 隆浩(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
  • 佐方 信夫(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
  • 財津 崇(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院健康推進歯学分野)
  • 岩上 将夫(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
6,587,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科の健康格差について地域間・社会経済学的要因が指摘され、その縮小が求められている。しかしながら、現在まで歯科口腔保健の評価は、歯科疾患実態調査、国民健康・栄養調査等の公的統計調査から行われてきたが、これらは評価できる対象が限られており、また健康な人が多く回答している可能性があった。本研究では、我が国の歯科健康実態を正しく把握分析すること、また歯科口腔保健の有効な評価指標の開発を行うことを目的として、診療報酬情報データベース、公的統計調査の利活用可能性と評価指標を検討する。
研究方法
本研究は<1>文献レビューによる評価方法・評価指標の現状把、<2>既存公的統計の歯科口腔保健に関連する評価指標の再評価・改善策の検討、<3>全国規模の歯科保健の実態把握および各地域・社会経済的要因間における格差の検討に資する評価指標の開発、<4>要支援・要介護者の歯科口腔保健の実態把握、<5>新たな歯科口腔保健の評価方法・指標の考察と開発及び検証、<6>現在の歯科健康の課題及びこの解消に向けた施策についての考察、により構成する。以上<1>~<5>の研究を原著論文として纏め成果としての政策提言を行う。倫理面への配慮として本研究は,筑波大学医の倫理委員会(通知番号:第1339号,第1446号,第1490号、第1594号)、東京医科歯科大学歯学部附属病院倫理審査委員会(受付番号:D2019-065)の審査による承認を得て実施した。
結果と考察
<1>「文献レビュー」から、国際的にDMFT(1人あたりう歯経験本数)、CPI(歯周ポケットの深さの指標)、喪失歯数、無歯顎者率、口腔がん罹患率が利用されていた。歯科受診割合は国や地域、対象者の年齢、既往歴などにより大きく異なり、一つの目標値ではなく集団に対応させた適切な目標値の策定の必要性が示唆された。 <2>「NDB公表データ」の分析から、歯科の処置算定数は口腔内の状態を反映する代替指数として都道府県間の差を評価できる可能性があることがわかった。また地域の教育レベルと所得レベルが低いと重症化処置が多く、予防処置が少なかった。 <3>「NDB個票データ」「病床機能報告」「歯科疾患実態調査」の分析から、地域間により歯科口腔保険指標に差があるかを検討した。1年以内の歯科受診割合は都道府県で異なり、最も受診割合が高い都道府県と低い都道府県では小児や高齢者で約20%異なっていた。歯科医師が勤務している病院・医科歯科連携加算算定病院の割合は二次医療圏で異なっており、特に医科歯科連携加算で格差が認められた。高齢者のFTU(咬合部位)の数は、大規模都市では小規模都市よりも多く、口腔内状態が良好だった。
また、<5>の新たな歯科口腔保健の評価指標の開発では、歯科口腔保健指標を3層D-Plus評価マトリクスを用いて整理することを提案した。
結論
今年度の研究から、歯科口腔内指標として、DMFT、CPI、喪失歯数、無歯顎者率、口腔がん罹患率、FTUが、歯科口腔保健行動指標として、歯科受診・検診の受診割合、医科歯科連携処置の実施、スケーリング等の予防処置の実施が有用な可能性がある。またその中でも、地域間格差を評価する指標としてFTU、歯科受診割合、入院中の医科歯科連携処置の実施、予防処置の実施が挙げられた。
令和3年度は社会経済学的要因による歯科健康格差を評価し、提言された指標について3層D-Plus評価マトリクスを用いて整理し、<6>現在の歯科健康の課題解消に向けた施策の考察を行う。
次年度は個人レベルの所得や教育歴、家族の状態などから社会経済学的な要因による歯科口腔状態や保健行動の違いを明らかにし、また歯科の有訴者と実際の受療行動について明らかにする。提言された指標について3層D-Plus評価マトリクスを用いて整理し、<6>現在の歯科健康の課題解消に向けた施策の考察を行う。

公開日・更新日

公開日
2021-10-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-10-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202009009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,562,000円
(2)補助金確定額
8,562,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,009,409円
人件費・謝金 5,300,654円
旅費 0円
その他 277,597円
間接経費 1,975,000円
合計 8,562,660円

備考

備考
自己資金660円

公開日・更新日

公開日
2022-05-09
更新日
-