文献情報
文献番号
202008057A
報告書区分
総括
研究課題名
造血器腫瘍における遺伝子パネル検査の提供体制構築およびガイドライン作成
研究課題名(英字)
-
課題番号
20EA1029
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
赤司 浩一(国立大学法人九州大学 医学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 前田 高宏(国立大学法人 九州大学 医学研究院)
- 加留部 謙之輔(琉球大学 大学院医学研究 科)
- 南谷 泰仁(京都大学 大学院医学研究 科)
- 坂田 麻実子(柳元 麻実子)(筑波大学 医学医療系)
- 清井 仁(名古屋大学 大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学)
- 遠西 大輔(岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センター)
- 飯田 真介(公立大学法人名古屋市立大学 医学研究科 )
- 高折 晃史(京都大学 医学研究科)
- 伊豆津 宏二(国立がん研究センター 中央病院)
- 三谷 絹子(獨協医科大学 医学部 内科学(血液・腫瘍)講座)
- 鈴木 達也(国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院血液腫瘍科)
- 片岡 圭亮(国立がん研究センター研究所 分子腫瘍学分野)
- 村松 秀城(名古屋大学医学部附属病院小児科)
- 吉田 輝彦(独立行政法人国立がん研究センター 研究所 遺伝医学研究分野)
- 大賀 正一(九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野)
- 真田 昌(国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター高度診断研究部)
- 加藤 元博(東京大学大学院 医学系研究科)
- 李 政樹(名古屋市立大学 医薬学総合研究 (医学))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1. 造血器腫瘍パネル検査の本邦における提供体制のあるべきかたちの提案
2. 造血器腫瘍分野におけるパネル検査の使用ガイドラインの作成
2. 造血器腫瘍分野におけるパネル検査の使用ガイドラインの作成
研究方法
以下の6つの小班を設け、各班の課題に沿って研究を遂行した。
A班. 造血器腫瘍のパネル検査実施体制に関する検討班
B班. 造血器腫瘍に関連した生殖細胞系列の病的バリアントに関する検討班
C班. 治療薬アクセスに関する検討班
D班. データに関する検討班
E班. ガイドライン作成班
F班. ゲノム医療教育班
A班. 造血器腫瘍のパネル検査実施体制に関する検討班
B班. 造血器腫瘍に関連した生殖細胞系列の病的バリアントに関する検討班
C班. 治療薬アクセスに関する検討班
D班. データに関する検討班
E班. ガイドライン作成班
F班. ゲノム医療教育班
結果と考察
結果
A班 小班会議を実施し、造血器腫瘍パネル検査実施体制についての意見交換を行い、今後の作業内容の確認を行った。固形がんにおけるがんゲノム医療の医療機関の枠組み、医療機関の要件等を、がんゲノム医療中核拠点病院等の整備について確認した後、造血器腫瘍において遺伝子パネル検査に期待される役割、疾患の特性、診療体制の違い等を踏まえ、造血器腫瘍でのがんゲノム医療の体制を検討する際に留意すべき点について意見交換を行った。
B班 研究分担者によるWeb会議を2回開催し、その議論をもとに資料を共有し、メール等での議論を追加して検討を重ねた。造血器疾患に対するゲノムプロファイリング検査の臨床実装に際し、生殖細胞系列の病的バリアントに関連して検討すべき事項として以下の点が考えられ、それぞれについて研究分担者で検討を行った。
C班 定例会議を合計3回設けて議論を行った。さらに、コンパニオン診断薬としての位置づけに関する意見交換会として、東京大学医学部附属病院 トランスレーショナルリサーチセンター 兼務永井純正先生、レジストリデータを活用した医薬品等の開発の動向に関する意見交換会として、国立研究開発法人国立がん研究 柴田大朗先生に講演をいただき、班員とともに議論を行った。また、製薬協とのヒアリングにより、今後の前向きな協力体制を構築した。
D班 C-CATやがんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議等より発表されている資料を参照し、現行の固形がんを中心としたがんゲノム医療体制における①シーケンスデータ・臨床情報の収集、および、②C-CAT調査結果の在り方を精査することで、造血器腫瘍において踏襲することが可能な部分と困難な部分に分類し、困難な部分については、造血器腫瘍において適切な方法を検討した。
E班 WEB会議によるガイドライン作成に向けた方向性を議論した。会議における議論をもとに、メール等での議論を追加して、検討を重ねた。造血器腫瘍に対するゲノムプロファイリング検査の臨床実装に向けて、本研究班で作成する造血器腫瘍に特化したパネル検査の使用ガイドラインについて、ガイドラインの位置づけや記載すべき内容について議論を行った
F班 令和2年度はゲノム医療教育班小会議を3回実施し、ゲノム医療教育の推進の方向性と具体的な活動内容を議論した。その中で、造血器腫瘍におけるゲノム医療に対する、医師の認識や理解度を把握する目的で、アンケート調査を実施するし、その結果を踏まえた各種学術集会における教育プログラムの実施を議論した。
考察
本研究班発足以降、約5ヶ月にわたり各小班において、課題に対する検討を重ねてきたが、造血器腫瘍臨床の特徴に則した遺伝子パネル検査の提供体制の必要性がより明確となった。固形がん分野においては分子標的薬の適応決定のみがパネル検査の目的であるのに対して、造血器分野では、ゲノム情報が診断、予後予測にも重要であるため、結果の解釈には造血器腫瘍分野のゲノム医療に精通した専門家の関与が必要であり、現行のエキスパートパネル体制では対応できず、造血器腫瘍臨床に即したエキスパートパネルのあり方に関するより具体的な方策の検討が必要と考えられた。さらに、急性白血病等の一部疾患においては、パネル検査結果の1週間以内の結果返却 が望ましく、新たな結果返却方法の検討も必要と考えられた。固形がん分野のパネル検査は、がんゲノム医療中核拠点病院を中心とした枠組みで実施されているが、本邦の造血器腫瘍診療実績数上位50施設のうち、3分の1以上がこの枠組みに属していない現状がある。造血器腫瘍分野におけるゲノム医療提供体制の国内における地域差を生じさせないために、具体的な方策の検討が本研究班としての喫緊の課題である。
A班 小班会議を実施し、造血器腫瘍パネル検査実施体制についての意見交換を行い、今後の作業内容の確認を行った。固形がんにおけるがんゲノム医療の医療機関の枠組み、医療機関の要件等を、がんゲノム医療中核拠点病院等の整備について確認した後、造血器腫瘍において遺伝子パネル検査に期待される役割、疾患の特性、診療体制の違い等を踏まえ、造血器腫瘍でのがんゲノム医療の体制を検討する際に留意すべき点について意見交換を行った。
B班 研究分担者によるWeb会議を2回開催し、その議論をもとに資料を共有し、メール等での議論を追加して検討を重ねた。造血器疾患に対するゲノムプロファイリング検査の臨床実装に際し、生殖細胞系列の病的バリアントに関連して検討すべき事項として以下の点が考えられ、それぞれについて研究分担者で検討を行った。
C班 定例会議を合計3回設けて議論を行った。さらに、コンパニオン診断薬としての位置づけに関する意見交換会として、東京大学医学部附属病院 トランスレーショナルリサーチセンター 兼務永井純正先生、レジストリデータを活用した医薬品等の開発の動向に関する意見交換会として、国立研究開発法人国立がん研究 柴田大朗先生に講演をいただき、班員とともに議論を行った。また、製薬協とのヒアリングにより、今後の前向きな協力体制を構築した。
D班 C-CATやがんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議等より発表されている資料を参照し、現行の固形がんを中心としたがんゲノム医療体制における①シーケンスデータ・臨床情報の収集、および、②C-CAT調査結果の在り方を精査することで、造血器腫瘍において踏襲することが可能な部分と困難な部分に分類し、困難な部分については、造血器腫瘍において適切な方法を検討した。
E班 WEB会議によるガイドライン作成に向けた方向性を議論した。会議における議論をもとに、メール等での議論を追加して、検討を重ねた。造血器腫瘍に対するゲノムプロファイリング検査の臨床実装に向けて、本研究班で作成する造血器腫瘍に特化したパネル検査の使用ガイドラインについて、ガイドラインの位置づけや記載すべき内容について議論を行った
F班 令和2年度はゲノム医療教育班小会議を3回実施し、ゲノム医療教育の推進の方向性と具体的な活動内容を議論した。その中で、造血器腫瘍におけるゲノム医療に対する、医師の認識や理解度を把握する目的で、アンケート調査を実施するし、その結果を踏まえた各種学術集会における教育プログラムの実施を議論した。
考察
本研究班発足以降、約5ヶ月にわたり各小班において、課題に対する検討を重ねてきたが、造血器腫瘍臨床の特徴に則した遺伝子パネル検査の提供体制の必要性がより明確となった。固形がん分野においては分子標的薬の適応決定のみがパネル検査の目的であるのに対して、造血器分野では、ゲノム情報が診断、予後予測にも重要であるため、結果の解釈には造血器腫瘍分野のゲノム医療に精通した専門家の関与が必要であり、現行のエキスパートパネル体制では対応できず、造血器腫瘍臨床に即したエキスパートパネルのあり方に関するより具体的な方策の検討が必要と考えられた。さらに、急性白血病等の一部疾患においては、パネル検査結果の1週間以内の結果返却 が望ましく、新たな結果返却方法の検討も必要と考えられた。固形がん分野のパネル検査は、がんゲノム医療中核拠点病院を中心とした枠組みで実施されているが、本邦の造血器腫瘍診療実績数上位50施設のうち、3分の1以上がこの枠組みに属していない現状がある。造血器腫瘍分野におけるゲノム医療提供体制の国内における地域差を生じさせないために、具体的な方策の検討が本研究班としての喫緊の課題である。
結論
令和2年度の活動により、造血器腫瘍に対するパネル検査を臨床実装するうえでの課題がより明確となった。令和3年度以降の活動においては、各小班での議論をさらに深めるとともに、より具体的な方策を打ち出し、一定の見解をまとめる必要がある。本研究班の研究テーマは多岐にわたっているが、一部の課題に関しては、早期の臨床実装にむけて、より時間軸を意識した提言の作成に努める予定である。
公開日・更新日
公開日
2021-06-16
更新日
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