がん治療のどの時期にでも患者・家族や医療介護機関からアクセス可能な緩和ケアリソース情報を有する地域緩和ケアネットワークシステムの構築

文献情報

文献番号
202008056A
報告書区分
総括
研究課題名
がん治療のどの時期にでも患者・家族や医療介護機関からアクセス可能な緩和ケアリソース情報を有する地域緩和ケアネットワークシステムの構築
課題番号
20EA1028
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
下山 理史(愛知県がんセンター 緩和ケア部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 雅志(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター がん医療支援部)
  • 杉下 明隆(名古屋大学 医学部附属病院)
  • 長谷川 貴昭(名古屋市立大学 大学院医学研究科 精神•認知•行動医学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
11,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、がんに関してより質の高い在宅医療が提供されるよう、地域における受け入れ態勢に関する実態把握、情報共有、継続的に活用可能な情報共有方法の策定と体制を構築することである。
その具体的内容としては、①行政と協働し、がん診療連携拠点病院にて治療中の患者の緩和ケアリソース共有状況を把握しつつ、ニーズを明らかにし、患者・家族目線重視の緩和ケア相談・検索システムを構築(ICTを活用し行政と連携しつつ情報サービス流通を促進等)すること、②それをもとに地域での連携を行政と一体で退院前カンファレンス時のICT活用等をはじめとする地域緩和ケア相談などにより一層連携を強化し、効果を検証することで持続可能な地域緩和ケアネットワークの充実を図ること、③地域の専門的緩和ケア提供者が適正分配される地域緩和ケアチームを構築すること、である。
このため、今年度は、1) 地域緩和ケアネットワークシステムを既存のシステムとリンクして活用できるような下準備を行うこと、2) 在宅緩和ケア導入が遅くならないための方策を導き出し、より早い段階で在宅緩和ケアを導入するための指針を見出すこと、3) 身近な在宅緩和ケア相談場所を同定することにより、患者家族からアクセスしやすい緩和ケア相談場所を作ること、を目的として研究を行った。
研究方法
1)地域緩和ケアネットワークシステムに関する研究:既存の地域医療介護連携ネットワークと連携できるべく、地域緩和ケアネットワークシステムを稼働させることとした。

2)在宅緩和ケア導入が遅くならないための研究
① 何が在宅緩和ケア導入への障壁となっているのかをサンプリング調査した。
② 上記の結果を踏まえて、在宅緩和ケア導入が遅くならないために、地域の病院や在宅における医療ケア関係者28名に対しインタビュー調査した。
3) 在宅緩和ケアに関する相談ができる場に関する研究:在宅医療・介護連携支援センター調査
① 在宅医療・介護連携支援センター設置状況を調査した。
② 在宅医療・介護連携支援センターの取り組み内容を調査した。


なお、各研究の詳細については、各分担報告に記載した。

(倫理面への配慮)
 今年度の研究の中で、システム構築と相談場所の検索に関しては、倫理面の配慮が必要な内容を含んでいない。また、医療者を対象とする調査については、長谷川を中心に行ったため名古屋市立大学の研究倫理審査委員会の審査を経て行った。
結果と考察
結果
1)地域緩和ケアネットワークシステムに関する研究:リソース一覧を基にしたデータベースを構築し、愛知県の地図内に動画をマッピングできるシステムを稼働できるように準備した。そのうえで、地域緩和ケアネットワークシステムを稼働させるための準備スペースの構築を行った。

2)在宅緩和ケア導入が遅くならないための研究:研究前サンプリング調査結果を踏まえて「抗がん治療中の進行がん患者に対する在宅緩和ケアの導入が遅くならないようにするための研究」を行うこととした。研究内容検討及び調査票作成し、インタビュー調査を一般社団法人コミュニティヘルス研究機構に委託し行った。調査結果は、分担報告に記載した。

3)身近な在宅緩和ケア相談場所を検索する研究:地域緩和ケアネットワークに取り組む際、医療福祉関係者だけでなく行政との連携は欠かせない。その連携の核になりうる場所として、在宅医療・介護連携支援センターの配置状況及びその取り組み内容を調査した。
考察
今後も継続して上記結果を検証し、実装していく必要がある。早期緩和ケア導入への障壁は多いが、その障壁をブレイクスルーすべく次年度以降取り組んでいく必要がある。
ただし、今年度の限界点としては、未曽有の新型コロナ感染症拡大状況であり、患者家族への調査はもとより医療者すら思うようにインタビュー等を行えない状態であったため、その研究内容及び手法にはおのずと限界があった。
今後はがんに関してより質の高い在宅医療が提供されるよう、地域における受け入れ態勢に関する実態把握、情報共有、継続的に活用可能な情報共有方法の策定と体制を構築するべく、今年度も新型コロナ感染対策を遵守しつつ取り組める範囲にて取り組んでいくこととする。
結論
 今後も質の高い在宅緩和ケアが提供できるよう、実態の把握と同時に、情報の共有、継続的な活用可能は情報共有方法の策定と体制の構築が求められるため、本研究をもとに専門家パネル等において、より具体的な方策等の検討が必要である。また、患者家族からアクセスしやすい情報サイトの構築を進めていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202008056Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,000,000円
(2)補助金確定額
10,507,000円
差引額 [(1)-(2)]
4,493,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 973,054円
人件費・謝金 2,325,102円
旅費 0円
その他 3,909,580円
間接経費 3,300,000円
合計 10,507,736円

備考

備考
自己負担736円。

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-