国際比較可能ながん登録データの精度管理および他の統計を併用したがん対策への効果的活用の研究

文献情報

文献番号
202008054A
報告書区分
総括
研究課題名
国際比較可能ながん登録データの精度管理および他の統計を併用したがん対策への効果的活用の研究
課題番号
20EA1026
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
松田 智大(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センターがん登録センター)
研究分担者(所属機関)
  • 堀 芽久美(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん統計・総合解析研究部)
  • 宮代 勲(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター がん対策センター)
  • 中田 佳世(山田 佳世)(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター がん対策センター 政策情報部)
  • 柴田 亜希子(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センターがん登録センター)
  • 杉山 裕美((公財)放射線影響研究所 疫学部)
  • 大木 いずみ(栃木県立がんセンター がん予防情報相談部)
  • 西野 善一(地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター研究所がん疫学・予防研究部)
  • 高橋 新(慶應義塾大学医学部 医療政策・管理学教室)
  • 加茂 憲一(北海道公立大学法人札幌医科大学 医療人育成センター)
  • 伊藤 ゆり(大阪医科大学 研究支援センター医療統計室)
  • 片野田 耕太(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん統計・総合解析研究部)
  • 雑賀 公美子(弘前大学大学院 医学系研究科 医療情報講座)
  • 伊藤 秀美(愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部)
  • 澤田 典絵(国立研究開発法人国立がんセンター社会と健康研究センター 予防研究部)
  • 永岩 麻衣子(サイニクス株式会社)
  • ガテリエ ローリン(国立研究開発法人国立がんセンター社会と健康研究センター 国際連携研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国内のがんに関する統計データを、単独または既存統計を併用・突合して解析することにより、欧米諸国と同等のがんサーベイランス体制を築くことを目的とする。我が国では、従来の地域がん登録情報と全国がん登録情報のがん対策への利活用を一層推進することが求められ、一歩踏み込んでがん登録データと既存データをリンケージまたは併用した活用、最新統計手法による分析方法を示し、都道府県、市町村、研究者のみならず、産業界を刺激する。
研究方法
全国がん罹患モニタリング集計を引き継ぎ、47都道府県に1993~2015年診断症例のがん罹患個別匿名データ提供を依頼、また2016~19年の全国がん登録情報を用いて、年次推移や詳細分類での分析に利用する。都道府県から収集した高精度データに基づいて、人口動態統計に基づくがん死亡データと併せて罹患率、生存率、患者死因等の分析を行い、諸外国との比較をして、我が国のがん負担の把握をする
 国立がん研究センターの実施する院内がん登録全国集計データ、臨床学会が連携して整備しているNCDのデータと、がん登録のデータの併用方法について検討する。
最新の統計モデル手法を用いて、がん登録情報に対して、将来推計や、場合分けをしたがん診療過程シミュレーションを実施し、国や都道府県のがん対策に活用する。
全国がん登録体制においてのがん登録データと検診受診者名簿との照合によるがん検診精度管理のルーチン化を見据え、精度管理を実施する。
小児がんのステージ別分析のために、がん登録データに詳細な診療情報を個別に突合追加することで、患者群の特性および診療内容を把握し、住民ベースがん登録データを用いた、臨床研究等の効果の検証への応用を試みる。
大規模コホート研究を初めとする疫学研究への効果的ながん罹患・生存情報の活用方法について、前向き及び後向きコホート等の実研究を通じて検討し、突合上の問題や、研究から得られる成果の検証を行う。
がん登録データを含む医療情報収集・提供状況を、北米2カ国、欧州5カ国、アジア14カ国を中心に調査する。
昨今の情報の安全管理措置の厳格化を踏まえ、がん登録データ等の医療情報を分析するにあたり、個別データの移送をせずに共同研究をする方法について、検討する。
結果と考察
2012-15年の全国がん生存率の推計のための準備を行った。
RARECAREnet Asia計画では、リストに基づいて、アジアの希少がんの負担を初めて明らかにした。2005-15年の広島県を対象として、リストに基づいて分類し、罹患数、粗罹患率、年齢調整罹患率を算出した。
二次医療圏の拠点病院の有無と2011-2013年診断症例の5年生存率との関連についての研究準備を行った。
臓器がん登録データや人口動態調査票情報との併用により、がん登録データの活用をはかるとともに、運用上の注意点を明らかにした。
1985年~2015年の全国がん罹患モニタリング集計のうち、安定している高精度3県(山形、福井、長崎県)のデータを用いて年次推移を観察した。2009年~2011年にがんと診断された卵巣癌患者の5年生存率を推計した。1995年から2016年約20年間で生存率はどのように変化したかを、6府県の住民ベースのがん登録資料を用いて、がん種別、性別、年齢階級別、進行度別に分析した。
「がん登録における登録率」と「生涯リスク」に着目し、これらの時系列の特性に関する統計解析を行った。
子宮頸がん検診においてヒト・パピローマウィルス検査を用いることをがん検診実施要項に記載している島根県において、検診評価事業を展開した。
 がん情報、生活習慣情報、社会経済的指標などを地理的につなぎ、生活習慣とがん死亡に関する指標化、視覚化を行った。
 トロントステージ情報や再発情報などの詳細情報を8施設から1399例収集し、全体としての生存率が良好でも、ステージ4など転移を伴う場合の無再発生存率が悪いことを明らかにした。
 多目的コホート研究において、全国がん登録における研究利用申請を行った経験から、今後、疫学研究に利活用を発展させるための課題を検討した。
 海外での医療情報提供の実態調査のための調査票を作成した
個別データを外部に一切持ち出さずに、データ集約手法を導入するシステムFederated Learningを、国内外多施設をつないで試験導入した。
結論
匿名データでは、希少がん、小児がん等の詳細集計の継続、非匿名データでは、がん検診やコホート研究とのリンケージを中心にがん登録データの活用を進めた。新しい統計手法で、推計・シミュレーションを実施し、院内・臓器登録との併用、産業活用を実際に進め、諸外国のがん登録データ精度との詳細な比較に基づき、精度管理方法の見直しを試みた。

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
2023-03-14

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202008054Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,950,000円
(2)補助金確定額
14,044,000円
差引額 [(1)-(2)]
906,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,087,973円
人件費・謝金 2,534,532円
旅費 0円
その他 4,972,279円
間接経費 3,450,000円
合計 14,044,784円

備考

備考
補助金の交付は端数切捨てになるため、784円を自己資金とすることとした。

公開日・更新日

公開日
2022-01-21
更新日
-