がん検診における‘Shared Decision Making’推進と利益不利益バランスに基づく受診意思決定支援ツール開発のための研究

文献情報

文献番号
202008052A
報告書区分
総括
研究課題名
がん検診における‘Shared Decision Making’推進と利益不利益バランスに基づく受診意思決定支援ツール開発のための研究
課題番号
20EA1024
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
濱島 ちさと(帝京大学 医療技術学部 看護学科 保健医療政策分野)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邊 清高(帝京大学 医学部内科学講座 腫瘍内科)
  • 後藤 励(慶應義塾大学 大学院経営管理研究科)
  • 寺澤 晃彦(藤田医科大学 医学部)
  • 細野 覚代(国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター 検診研究部)
  • 山崎 恭子(帝京大学 医療技術学部看護学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,692,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国においても受診者への適切な情報提供を行い、受診者の視点からがん検診の必要性を判断する‘Shared Decision Making’が今後重要となる。その結果、科学的根拠に基づく利益と不利益を個人の価値観に照らし合わせ、最良の方法が選択できることが望ましい。本研究では、我が国においても、がん検診の利益不利益を勘案して受診選択を可能とするためのDecision Aids(意思決定支援ツール)開発を目標とする。
研究方法
【初年度】諸外国における利益不利益の情報提供の系統的調査、大腸がん検診勧奨試行調査を行う。
【2年度】行動経済学における受診者選択について調査し、科学的根拠と現場のギャップ解消を検討する。これらの科学的根拠をベースにDecision Aids案を作成する。
【3年度】Decision Aids案の外部評価・試行調査を経て最終版を完成する。医療者と受診者がDecision Aidsを共有し活用するための‘Shared Decision Making’を進めるためのマニュアルを作成する。
結果と考察
【結果】
1.情報提供に関する文献レビュー
①Fact Boxを含めたDecision Aidsの効果についてシステマティックレビューを行った。
②がん検診の意思決定要因について、検診要素(利益・不利益等)及び個別要素(自己負担・時間費用等)のレビューを行っている。
③IARCと連携し、細胞診による子宮頸がん検診の不利益、子宮頸がん検診の新技術に関するレビューを行った。
2. 2018年度地域保健・健康増進事業報告と市区町村におけるがん検診の実施状況調査データを用いて、個別受診勧奨の有無とがん検診受診率について検討した。
3.都道府県におけるがん検診の効果的な実施に資する取り組みと今後の方向性を明らかにするため、2018年3月に取りまとめられた都道府県がん対策推進計画のレビュー計画を評価した。
4.がん検診の受診要因決定に関する行動経済学も含めた研究を整理し、令和3年度に行う予定の調査の準備を行った。
5.「健康と病いの語りディペックス・ジャパン」データベース(https://www.dipex-j.org/about/)より、乳がん、大腸がん患者の語りについて、がん検診のテーマ分析を行った。
6.受診支援対策
①水戸市において大腸がん検診について、FIT 郵送、Nurse navigation を含む勧奨モデルの試行調査を行った。
②職域において、大腸がん検診要精検者を対象とし、精検受診支援を開始した。
【考察】
今後、がん検診受診の判断にも臨床医と受診者が共に行う‘Shared Decision Making’が重要となる。しかし、がん検診を担当する医師・保健師の時間的制約やがん検診の利益の過大評価などから、その環境は整っていない。受診者ががん検診の利益だけでなく、不利益を理解し、個人の価値観に基づいた選択を行うことは、がん検診の継続受診には不可欠のプロセスである。そのため、先行研究のみならず、我が国における受診障壁などの問題を受診者の視点で把握し、情報提供や支援対策に結びつけていくことが必要である。
結論
文献レビューにより先行研究におけるDecision Aidsの有効性評価や都道府県におけるがん検診対策の検討と共に、患者の語りの質的研究、地域・職域における受診勧奨対策の検討を行った。これらの成果をもとに、我が国おけるがん検診の受診率対策に活用できるDecision Aidsの開発を検討していく。

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202008052Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,999,000円
(2)補助金確定額
9,983,400円
差引額 [(1)-(2)]
15,600円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,984,169円
人件費・謝金 743,175円
旅費 59,340円
その他 2,889,716円
間接経費 2,307,000円
合計 9,983,400円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
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