文献情報
文献番号
200736006A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質の標的としての膜機能タンパク質発現系を利用したリスク評価法に関する研究
課題番号
H17-化学-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大和田 智彦(東京大学 大学院薬学系研究科 薬化学教室)
研究分担者(所属機関)
- 中澤 憲一(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
- 赤羽 悟美(東邦大学 医学部 薬理学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
16,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
エストロゲンアンタゴニストであるタモキシフェンに含まれるジアリールエチレン構造を有する化合物を合成し非ステロイド作用として電位依存性あるいはリガンド依存性イオンチャネルに対する作用を調査する。また自然界に豊富に存在する松脂の成分であるデヒドロアビエチン酸の誘導体の化学合成を行い,天然資源誘導体が持つイオンチャネルに対する作用を調査する。
研究方法
ATP受容体チャネル(P2X2受容体)をアフリカツメガエル卵母細胞に発現させた。タモキシフェンに含まれる基本構造をもつ誘導体について膜電流測定を行ない、イオンチャネル型受容体であるニコチン様アセチルコリン受容体に対する作用を検討し,評価系としての有用性を確認した。また,Ca2+依存性K+チャネル、遅延整流性K+チャネル、電位依存性Ca2+チャネル、電位依存性Na+チャネル、Na+-Ca2+交換体の哺乳動物細胞を用いた一過性発現系の構築を行った。これらの化学物質のグルタミン酸トランスポーター(GLAST)に対する影響も検討した。
結果と考察
タモキシフェンおよび16種の関連化合物をこの系で評価したところ,タモキシフェンおよび誘導体は1 pM,1 nMおよび1 μMにおいてGLASTを介したグルタミン酸取り込みを阻害した。また, YAK01は1 μMで阻害作用を示した。ニコチン様アセチルコリン受容体に対する検討では,7つのタモキシフェン関連化合物のうち,5つが抑制作用を示した。誘導体の1つは著明なCa2+依存性K+チャネル開口作用を示した。この化合物はHEK293細胞に内在性に発現する電位依存性K+チャネルに対してはむしろ弱い遮断作用を示した。
結論
アンチエストロゲンであるタモキシフェンの関連化合物のイオンチャネル型であるニコチン様アセチルコリン受容体に対する作用をアフリカツメガエル卵母細胞発現系で行ない,この系が各種化学物質のリスク評価に有用となりうることを示した。
哺乳類細胞発現系を用いた化学物質リスク評価系として各種イオンチャネル(Ca2+チャネル、Na+チャネル、K+チャネル、Na+-Ca2+交換体)の一過性発現系を構築した。その一部を用いてステロイドのフラグメント構造を持つ化合物および自然界に豊富に存在するデヒドロアビエチン酸の誘導体について作用を検討し、いくつかの化合物がカルシウム依存性K+チャネルに対して著明な開口作用を示すことを見出した。
哺乳類細胞発現系を用いた化学物質リスク評価系として各種イオンチャネル(Ca2+チャネル、Na+チャネル、K+チャネル、Na+-Ca2+交換体)の一過性発現系を構築した。その一部を用いてステロイドのフラグメント構造を持つ化合物および自然界に豊富に存在するデヒドロアビエチン酸の誘導体について作用を検討し、いくつかの化合物がカルシウム依存性K+チャネルに対して著明な開口作用を示すことを見出した。
公開日・更新日
公開日
2008-04-08
更新日
-