毒物劇物の事例解析に基づく安全管理創生に関する研究

文献情報

文献番号
200736005A
報告書区分
総括
研究課題名
毒物劇物の事例解析に基づく安全管理創生に関する研究
課題番号
H17-化学-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 和俊(千葉科学大学危機管理学部)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 晋(個人)
  • 関谷 正明(千葉科学大学危機管理学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
毒物劇物に関する事故リスクの軽減を図ることである。このため、毒物劇物の事故データベース、危険性評価方法(チェックリスト方式)、危害防止規定のモデルなどを構築し、これらの成果物を基盤にした安全管理の支援システムを開発し、広く公開、提供する。
研究方法
(1)事故データベースの構築、(2)事故事例解析および要因分析、(3)チェックリスト方式の危険性評価方法の開発、(4)安全管理方法の構築、(5)安全管理支援システムの開発からなる。それぞれの研究項目は、相互に関連しており、様々な業種などへ適用する。研究グループから独立して研究検討評価委員会設置し、研究体制の充実および成果の実効性を図っている。
結果と考察
●事故データの収集:厚生労働省および消防庁からそれぞれH17、18年の過去2年間の毒劇物に関する約200件の事故事例の提供を受け、事例ごとに電子化およびフォーマット化作業を行った。
●事例解析および要因分析:事故原因を物的、人的、管理的原因などに区分し、さらに事故の経緯、影響、被害などに区分し、それぞれの区分に関する素因子の洗い出しを行い、事例解析を行った。その上で、業態ごとなどに要因分析を行った。平成18年度までの約800件の事故事例に関して、その全体、輸送業および販売業について要因分析を行った。
●危険性評価法(チェックリスト)の開発:事故事例ごとに原因を回避または被害を軽減するための方策をチェック項目として引き出す作業を輸送業および販売業の事故事例について行った。先の要因分析の結果を踏まえて、輸送業および販売業に関して定量化されたチェックリスト方式の危険性評価法を開発した。
●危害防止規定のモデル構築:毒劇物を扱う事業所の訪問、関係者との交流などの機会を通して、安全管理の実態を把握すると共に、危害防止規定に関して情報収集を行った。これらの実情を踏まえて、要因分析の結果を基盤にして、輸送業および販売業に関わる危害防止規定のモデルを構築した。
●安全管理支援システムの開発:平成19年度までに、支援システムの開発に関する予算の裏付けが得られなかったので、化学品製造業に関する成果物を公開セミナーを開催して公開した。
結論
輸送業および販売業における毒物劇物に関して、
●要因分析の結果から事故原因の実態が明らかにした。
●実効性が期待できる安全管理および重点的に実行すべき安全対策を提案した。
●チェックリスト方式の危険性評価法を開発した。

公開日・更新日

公開日
2008-05-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200736005B
報告書区分
総合
研究課題名
毒物劇物の事例解析に基づく安全管理創生に関する研究
課題番号
H17-化学-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 和俊(千葉科学大学危機管理学部)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 晋(個人)
  • 関谷 正明(千葉科学大学 危機管理学部 危機管理システム学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
毒物劇物に関する事故リスクの低減を図ることである。このため、毒物劇物の事故データベース、危険性評価方法(チェックリスト方式)、危害防止規定のモデルなどを構築し、これらの成果物を広く公開、提供する。
研究方法
(1)事故データベースの構築、(2)事故事例解析および要因分析、(3)チェックリスト方式の危険性評価方法の開発、(4)安全管理方法の構築からなる。それぞれの研究項目は、相互に関連しており、様々な業種へ適用する。研究グループから独立して研究検討評価委員会設置し、研究体制の充実および成果の実効性を図った。
結果と考察
●事故データの収集と事例解析:厚生労働省および消防庁から平成18年までの過去8年間の毒劇物に関する約800件の事故事例の提供を受けた。これら事例ごとに事故原因を物的、人的、管理的原因などに区分し、さらに事故の経緯、影響、被害などに区分し、それぞれの区分に関する素因子の洗い出しを行い、事例解析を行った。電子化およびフォーマット化を行い、事故データベースを構築した。
●要因分析:その上で、毒物劇物を取り扱う全業種、化学品製造業、輸送業、販売業などに関して要因分析を行い、それぞれ事故発生の要因として物的、人的、管理的原因の実態を明らかにした。
●危険性評価法(チェックリスト)の開発:事故事例ごとに原因を回避または被害を軽減するための方策をチェック項目として導き、先の要因分析の結果を踏まえて、化学品製造業、輸送業および販売業に関して定量化されたチェックリスト方式の危険性評価法を開発した。
●危害防止規定のモデル構築:毒劇物を扱う事業所の訪問、関係者との交流などの機会を通して、安全管理の実態を把握すると共に、危害防止規定に関して情報交換を行った。これらの実情を踏まえて、要因分析の結果を基盤にして、化学品製造業、輸送業および販売業に関わる危害防止規定のモデルを構築した。
●成果物の公開:成果物を、セミナーを開催して公開すると共に、ホームページ(http://www.cis.ac.jp/~khase/)で公開している。
結論
毒物劇物に関して、
●要因分析の結果から事故原因の実態を明らかにした。
●危害防止規定のモデルなど実効性が期待できる安全管理および重点的に実行すべき安全対策を提案した。
●チェックリスト方式の危険性評価法を開発した。
●化学品製造業に関する成果物の公開およびその実施に向けた公開セミナーは成功裏に終了した。

公開日・更新日

公開日
2008-05-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200736005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
リスク低減化を目的にした事故事例の活用に関して、
●多量の事故事例を基に、その事例解析および要因分析を行い、事故の実態つまりリスク環境を明らかにする方法論を提示した。原因に関してハード面とソフト面の要因ついて事例解析を行うことによって、安全施策へ実効的に資することを明らかにした。
●リスク低減を図るチェックリスト方式の定量化危険性評価法を開発し、その方法論を提示した。個々の事故事例からチェックステートメントを見出し、ステートメントの重複度および要因分析の結果を踏まえて定量化を行った。
臨床的観点からの成果
毒物劇物の安全施策は、事故事例を基盤にしたリスクベースの評価を根拠に構築されることが実効性の視点から重要である。従って、事故調査は、精緻に厳格で、正しくなければならない。原因調査には、物質特性(物理的、健康および環境)および設備・装置特性からなる物的なハード面と人的および管理からなる組織的なソフト面からの視点で捕えることが不可欠である。さらに、拡大原因についても同様な視点から調査される必要がある。この基盤整備がなされて、定量化リスク評価が可能になり、実効性の高い安全施策の創生を可能にする。
ガイドライン等の開発
毒物劇物を貯蔵または取扱う化学品製造業、輸送業および販売業に関して、
●事故事例を収集し、要因分析の結果を基に、ハード面とソフト面の視点から、安全施策へ資する事故原因の実態を明らかにした。
●要因分析の結果、現場の実情、資料を基に、実効性が期待できる危害防止規定のモデルを構築し、重点的に実行すべき安全管理および安全対策を提案した。
●リスク低減を図るチェックリスト方式の定量化危険性評価法を開発した。大中小の事業所へ適用でき、事業所毎に個別の安全施策が優先序列を付けて見いだせるようにした。
その他行政的観点からの成果
●毒物劇物に係わる事故事例は、厚労省と消防庁から公表されており、両者への重複割合は10%程度である。また、それぞれの事故の発生原因の特性には大きな違いがある。従って、毒物劇物に関するリスクの低減施策は、両者の事故事例から得られるリスク環境に相応したものであるべきである。
●毒物劇物に係わる事故の原因は、危険物、高圧ガスなどに係わる事故に比べると、基本的な安全事柄が遵守されていないことに依っている例が多い傾向にある。安全教育、リスクへの自覚を促すなどの自主保安の促進が強く求められる。
その他のインパクト
●成果物に関して、学会等で公表してきた他に、都道府県の毒物劇物担当課等からの講演依頼に応じて現場での実施の促進を図った。平成18年度の総括研究報告書は全国の都道府県の毒物劇物担当課へ配布し、幾つかは電子ファイルの請求に応じた。
●化学品製造業の事故リスクの低減を図ることを目的に、毒物劇物リスク管理セミナーを千葉科学大学主催、日本化学会等学会、日本化学工業協会等業界団体協賛で開催した。企業の環境安全担当者や地方公共団体の防災保健担当者ら100名余りが出席し、実務研究が評価され、成功裏に終了した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
1件
Proceedings of the ISISH2006, pp.28-34, Tokyo Japan, 3/4Oct. (2006)
学会発表(国内学会)
3件
第39回安全工学研究発表会(2006)、安全工学シンポジウム(2007)、第40回安全工学研究発表会(2007)
学会発表(国際学会等)
4件
ISSST2006、ISISH2006、12th LOSS PREVENTION 2007、ASSS2007
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
毒物劇物リスク管理セミナーを平成20年3月5日に東京で開催した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kazutoshi HASEGAWA, Susumu OHNO, Masaaki SEKIYA and et al
On the Safety Measures against Poisonous Substance Accidents and the Management of Poisonous Substances
Proceedings of the 2006 International Symposium on Safety Science and Technology , 1287-1292  (2006)
原著論文2
Kazutoshi HASEGAWA, Susumu OHNO, Masaaki SEKIYA and et al
Strategic Safety Measures for the Toxic and/or Corrosive Materials-handling manufacturing industries
12th International Symposium on Loss Prevention and Safety Promotion In the Process Industries , 88-  (2007)
原著論文3
Kazutoshi HASEGAWA, Susumu OHNO, Masaaki SEKIYA and et al
On the Quantified Check List for Safety Promotion in the Poisonous and/or Deleterious Substances-handling Manufacturing Industries
APSS2007; Asia Pacific Symposium on Safety, Busan in Korea , 359-362  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-06-01
更新日
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