がんゲノム医療推進に向けたがん遺伝子パネル検査の実態調査研究

文献情報

文献番号
202008034A
報告書区分
総括
研究課題名
がんゲノム医療推進に向けたがん遺伝子パネル検査の実態調査研究
課題番号
20EA1006
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
瀬戸 泰之(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 織田 克利(東京大学大学院医学系研究科統合ゲノム学分野)
  • 大江 和彦(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
  • 宮川 清(東京大学大学院医学系研究科)
  • 牛久 哲男(東京大学)
  • 河添 悦昌(東京大学大学院 医学系研究科 医療AI開発学講座)
  • 高阪 真路(国立がん研究センター 研究所 細胞情報学分野)
  • 武藤 香織(国立大学法人東京大学 医科学研究所)
  • 鹿毛 秀宣(東京大学 医学部附属病院)
  • 田辺 真彦(東京大学大学院 医学系研究科 乳腺内分泌外科学)
  • 牛久 綾(篠崎 綾)(東京大学 医学部附属病院ゲノム診療部)
  • 安藤 瑞生(岡山大学 学術研究院医歯薬学域 耳鼻咽喉・頭頸部外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がんゲノム医療中核拠点病院等を中心に行われている保険収載された遺伝子パネル検査の診療実態を調査し、がんゲノム医療の推進にむけた課題を抽出することを目的とする。
令和2年度においては、検査実施時の登録情報や解析結果に加え、検査実施後の追跡情報として、結果に基づいた治療検討が行われた割合、実際に治療に結び付いた割合、遺伝カウンセリングの実施の有、等について、アンケート(施設用、患者用)を作成し、調査体制を構築することを主たる目的とした。
研究方法
(1) 各WGとの連携体制を構築する。診療WGから各施設1名ずつの研究協力者を依頼する。各WGの座長に連絡を取り、本班研究に関する協力を依頼し、了承を得る。令和2年度に各WG(SFWG,EPWG, DDWG)と関連して実施された施設アンケート結果の共有を依頼する。

(2) 研究計画書、アンケート調査票(施設用、患者用)、Webアンケート調査依頼書(患者用)を作成し、研究代表者の所属する機関の倫理委員会に申請する(Central IRB)。各中核拠点病院から選定された研究協力者を通して、各施設における手続き(一括審査依頼状や研究実施許可書の発出等)を担当してもらう。一括審査でなく各施設の倫理委員会承認を要する医療機関においては、研究協力者を通して個別に倫理申請手続きを進める。

(3) がんゲノム医療中核拠点病院における実施許可を得た後に、各中核拠点病院と連携するがんゲノム医療拠点病院、連携病院との研究協力体制を構築し、全国規模でのアンケート調査実施体制を整備する。

(4)外部への業務委託により、Webアンケートのシステムを構築する〔委託機関名:株式会社マクロミル、委託内容:Webアンケートの作成、データ集計〕。QRコードを設定し、スマートフォン等から簡便にアンケート回答ができるような環境を整備する。

(5) 倫理委員会承認に基づき、患者アンケート調査を開始する。遺伝子パネル検査を受けた患者(または家族)に調査依頼書を渡す手順書を作成する。研究実施許可が得られた各施設に調査依頼書を送付する。患者(または家族)からのWebアンケートの回答収集を開始する
結果と考察
(1) 各WGに本班研究に関する協力を依頼し、連携体制を構築した。診療WG、SFWG、EPWG、DDWGから、アンケート項目の修正点についての助言を得た。
(2) 研究計画書、アンケート調査票(施設用、患者用)、Webアンケート調査依頼書(患者用)を作成し、研究代表者の所属する機関の倫理委員会に申請し、承認を得た(施設申請番号:2020378NI)。
Central IRBとして承認を得、研究協力者を通して、他のがんゲノム医療中核拠点病院での実施許可手続きを行った。
(3) がんゲノム医療拠点病院、連携病院にも研究協力の依頼に着手した。がんゲノム医療拠点病院2施設、がんゲノム医療連携病院15施設に向けて、研究説明会を実施した。
(4)外部への業務委託により、患者アンケートについて、Webアンケートのシステムを構築した。アンケート調査依頼書から、簡便にアクセスできるよう、QRコードを設定した。2021年3月にアンケートサイトを公開した。
(5) 倫理委員会承認が得られた施設から、患者アンケート調査を開始した。
(考察) 本研究事業において、各WGとの連携は極めて重要であり、相互の活動やアンケート結果の共有を踏まえて、がんゲノム医療の実態を明らかにし、課題を抽出していくことが望まれる。三学会合同タスクフォースとの連携も重要となるが、各WGの活動が三学会合同タスクフォースとも密接につながっており、提言作成においても連携を図りながら進め、本研究における課題抽出、政策提言を図る予定である。
結論
 保険収載された遺伝子パネル検査の診療実態を調査するための実態調査研究を開始した。全国200以上のがんゲノム医療実施機関を広く網羅するべく、各WGとの連携体制を構築し、がんゲノム医療中核拠点病院から研究協力者の選定を得ることで、各施設への協力依頼体制を確立した。
研究計画書の倫理委員会承認を得るとともに、Central IRBを活用し、一括審査依頼、研究実施許可の手続きが各施設で円滑に進むよう配慮した。がんゲノム医療中核拠点病院12施設のうち、11施設では既に研究実施許可が得られており、がんゲノム医療拠点病院、連携病院へと今後広げていく基盤も作られた。これにより、施設アンケートも広く実施することが可能となる見込みである。
患者アンケート用のWebアンケートシステムを整備し、患者アンケート調査を開始した。広くアンケート調査依頼書を配布できるよう、運用手順についても検討を行い、各施設と共有を図り、回収率の向上に努めている。

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202008034Z