文献情報
文献番号
202008033A
報告書区分
総括
研究課題名
希少がんの情報提供・相談支援ネットワークの形成に関する研究
課題番号
20EA1005
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
川井 章(国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍科・リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
- 松浦 成昭(大阪大学医学部)
- 馬場 英司(九州大学大学院医学研究院社会環境医学講座連携社会医学分野)
- 赤司 浩一(国立大学法人九州大学 医学研究院)
- 遠藤 誠(九州大学 整形外科)
- 西田 俊朗(独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院)
- 東 尚弘(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センターがん登録センター)
- 柴田 大朗(国立がん研究センター 多施設臨床試験支援センター)
- 鈴木 達也(国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院血液腫瘍科)
- 高山 智子(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供部)
- 岩田 慎太郎(国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科)
- 下井 辰徳(国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科)
- 加藤 陽子(国立がん研究センター 希少がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、疾病や診療に関する正確な情報の入手や適切な受診行動をとることがしばしば難しい希少がんに対して、その情報提供・医療・相談の状況を改善するための方法として、関東地方の国立がん研究センター(希少がん中央機関)に加えて、国内数か所に広域拠点となる地域希少がんセンターを整備し、これらのセンターを中核として、希少がん患者が、できるかぎり住み慣れた場所の近くで、納得のゆく信頼できる診療や医療相談を受けられる体制・ネットワークを構築するためのモデルを作成することを目指している。
患者数の少ない希少がんの診療の質を担保し、新たな治療開発を推進するためには診療・研究を限られた施設に限定すること(集約化)が一つの解決策となるが、集約化は、一方では診療へのアクセスの悪化をもたらし、住み慣れた地域で希少がんの診療や診療支援を受けたいという患者・家族の願いに反する。本研究は、この集約化と均霑化という希少がん医療の根本的なジレンマに対して、希少がん中央機関を中心として、新たに設立する地域の希少がんに関する情報提供・医療相談の拠点となる地域希少がんセンターを繋ぐネットワークを形成することによって、できるかぎり患者が住み慣れた地域で希少がんに関する適切な情報提供・医療相談を受けられる環境を整えることを目的とする。
患者数の少ない希少がんの診療の質を担保し、新たな治療開発を推進するためには診療・研究を限られた施設に限定すること(集約化)が一つの解決策となるが、集約化は、一方では診療へのアクセスの悪化をもたらし、住み慣れた地域で希少がんの診療や診療支援を受けたいという患者・家族の願いに反する。本研究は、この集約化と均霑化という希少がん医療の根本的なジレンマに対して、希少がん中央機関を中心として、新たに設立する地域の希少がんに関する情報提供・医療相談の拠点となる地域希少がんセンターを繋ぐネットワークを形成することによって、できるかぎり患者が住み慣れた地域で希少がんに関する適切な情報提供・医療相談を受けられる環境を整えることを目的とする。
研究方法
本研究では、我が国の希少がん中央機関である国立がん研究センターと、都道府県がん拠点病院である大阪国際がんセンター、大学病院である九州大学の3つの異なる背景を有する3施設の研究者によって、先に述べた希少がんの情報提供・医療相談ネットワークの形成に関する研究を行う。
先行して希少がんセンターを立ち上げ、希少がんの医療相談を行う電話相談「希少がんホットライン」を運用している国立がん研究センターの研究分担者を中心に、地域希少がんセンターに求められる機能の検討を行うとともに、大阪国際がんセンター、九州大学の研究分担者によって、実際に各施設に地域希少がんセンターを設立する。さらに、今後、全国の数か所に地域希少がんセンターが誕生した際に、全国のがん診療連携拠点病院等に整備されているがん相談支援センターとの情報共有や相談支援を連携してゆくための検討も開始する。
先行して希少がんセンターを立ち上げ、希少がんの医療相談を行う電話相談「希少がんホットライン」を運用している国立がん研究センターの研究分担者を中心に、地域希少がんセンターに求められる機能の検討を行うとともに、大阪国際がんセンター、九州大学の研究分担者によって、実際に各施設に地域希少がんセンターを設立する。さらに、今後、全国の数か所に地域希少がんセンターが誕生した際に、全国のがん診療連携拠点病院等に整備されているがん相談支援センターとの情報共有や相談支援を連携してゆくための検討も開始する。
結果と考察
今年度は以下の研究を実施した。
I. 希少がんの患者・家族および希少がん診療に関わる医療従事者が、地域において希少がんの診療に関して相談できる『地域希少がんセンター(仮称)』の備えるべき機能について、総論『希少がん診療の特性と情報提供体制の重要性』と各論『地域希少がんセンターに求められる機能』からなる試案を作成した。
II. 地域希少がんセンターにおける情報提供・医療相談・支援の一つの要として、希少がんホットラインによる電話相談を位置づけ、各地域希少がんセンターにおいて、均質な質の高いホットライン業務が行われるよう、その設置の手順(案)を定めた。
III. 地域希少がんセンター及び希少がんホットラインで提供する希少がんの診療に関する流動的かつ個別的な情報を、できるかぎり客観的なデータに基づいて、極力、主観性、恣意性を排して取り纏める方法を検討し、提示した。
IV. 検討した機能に基づき、大阪(大阪国際がんセンター)と九州(九州大学)で地域希少がんセンターを立ち上げ、地域および施設の実情に応じた希少がんに関する情報提供、医療相談、支援を行う上での課題の検討を開始した。
V. 最新のWHO分類と癌取扱い規約に則り、わが国の診療の実態も加味したRARECARE分類に代わる日本発の新たな希少がん分類のための尺度の作成を開始した。
VI. 地域希少がんセンターを広域地域の核としたHub and Spoke型の希少がんネットワークを全国に整備してゆく上で、重要な鍵となる全国のがん相談支援センターとの連携、各々の役割り分担に関する検討を開始した。
I. 希少がんの患者・家族および希少がん診療に関わる医療従事者が、地域において希少がんの診療に関して相談できる『地域希少がんセンター(仮称)』の備えるべき機能について、総論『希少がん診療の特性と情報提供体制の重要性』と各論『地域希少がんセンターに求められる機能』からなる試案を作成した。
II. 地域希少がんセンターにおける情報提供・医療相談・支援の一つの要として、希少がんホットラインによる電話相談を位置づけ、各地域希少がんセンターにおいて、均質な質の高いホットライン業務が行われるよう、その設置の手順(案)を定めた。
III. 地域希少がんセンター及び希少がんホットラインで提供する希少がんの診療に関する流動的かつ個別的な情報を、できるかぎり客観的なデータに基づいて、極力、主観性、恣意性を排して取り纏める方法を検討し、提示した。
IV. 検討した機能に基づき、大阪(大阪国際がんセンター)と九州(九州大学)で地域希少がんセンターを立ち上げ、地域および施設の実情に応じた希少がんに関する情報提供、医療相談、支援を行う上での課題の検討を開始した。
V. 最新のWHO分類と癌取扱い規約に則り、わが国の診療の実態も加味したRARECARE分類に代わる日本発の新たな希少がん分類のための尺度の作成を開始した。
VI. 地域希少がんセンターを広域地域の核としたHub and Spoke型の希少がんネットワークを全国に整備してゆく上で、重要な鍵となる全国のがん相談支援センターとの連携、各々の役割り分担に関する検討を開始した。
結論
希少がん患者が、できるかぎり住み慣れた地域で、納得のゆく、信頼できる希少がんの診療や医療相談を受けられる体制・ネットワークを構築するための検討を開始した。
公開日・更新日
公開日
2021-07-07
更新日
-