がん検診の有効性評価に関する死亡率減少につながる頑健性の高い代替指標に関する研究

文献情報

文献番号
202008028A
報告書区分
総括
研究課題名
がん検診の有効性評価に関する死亡率減少につながる頑健性の高い代替指標に関する研究
課題番号
20EA1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
中山 富雄(国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター検診研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 濱島 ちさと(帝京大学 医療技術学部 看護学科 保健医療政策分野)
  • 片山 貴文(兵庫県立大学 看護学部)
  • 寺澤 晃彦(藤田医科大学医学部)
  • 細野 覚代(国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター 検診研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
8,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん検診の有効性評価の指標である死亡率減少効果を得るには長い年数が必要である。昨今の医療技術の開発速度とは相容れないことから、代替え指標の必要性に関する議論が期待されている。本研究では、がん検診の有効性を評価する指標の扱いや代替え指標及び具体的な研究手法について、国際学会や海外のガイドラインの動向、文献等から情報を収集し、死亡率減少効果に確実に紐づく代替え指標とその検証方法および代替え指標が使える条件等について整理し、「がん検診の有効性評価のための指標と研究手法に関する手引」としてまとめることを目的とする。
研究方法
本研究においては、がん検診の死亡率減少効果以外の代替え指標について、諸外国のガイドラインが推奨の判断材料として検討対象としているか?またそれぞれの代替え指標にバイアスが混入しうるか、死亡率減少効果との間で結果の乖離がないかを文献レビューと、ガイドライン作成組織への直接調査により把握し、具体的な代替え指標とそれを適応する条件を検討した。諸外国のがん検診あるいはがんに関する診断法に対してのガイドラインを収集し、評価対象とされているエンドポイントを確認した。対象として常設の予防ガイドライン作成組織であるCochrane 共同計画、米国のUS Preventive Service Task Force、American Cancer Society、National Comprehensive Cancer Network、英国のUK National Screening Committee、カナダのCanadian Task Forceとした。 またIARC、WOEのガイドラインについても検討した。これらの対象となるガイドラインで、死亡率減少効果以外のエンドポイントを評価対象として検討されたものがないかを検索した。
結果と考察
ACS、USPSTF、IARCなどの海外のガイドラインにおいては、検診で前がん病変の検出が容易で、前がん病変から浸潤がんへの自然歴が明らかな子宮頸がん、大腸がんに対して、浸潤がん罹患率が有効性評価の指標として用いられていた。しかし前がん病変が明らかでない乳がん検診では浸潤がん罹患率などの代替え指標は有効性評価の指標には用いられていなかった。さらにこれらのガイドラインでは死亡率減少効果が確立している既存の検査法と新しい検査法の感度・特異度の比較、前がん病変・浸潤がんの検出力(test performance)の比較が、有効性評価の指標として用いられていたが、比較する検査法を生物学的に類似した方法に限定しているものと(WEO、IARC)、限定していないもの(USPSTF、ACS)が見られた。特に感度・特異度の測定方法は様々であり絶対的な指標ではないこと、test performanceが発見率の比較となるため過剰診断を含み過大評価につながりやすいことなどから、代替え指標の利用には一定の制限が必要である。
結論
前がん病変の検出が容易かつ自然歴が明らかな子宮頸がん・大腸がんに関しては、中間アウトカムとして浸潤がん罹患率と感度・特異度、前がん病変とがんの検出力の比較(test performance)を有効性評価の代替え指標としている国際的なガイドラインを認めた。ただし代替え指標の安易な利用は、過大評価につながりやすいことから、その条件について一定の制限が必要である。

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202008028Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,800,000円
(2)補助金確定額
10,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,118,199円
人件費・謝金 5,703,093円
旅費 0円
その他 487,200円
間接経費 2,492,000円
合計 10,800,492円

備考

備考
自己資金で492円補填した。

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-