AYA世代がん患者に対する精神心理的支援プログラムおよび高校教育の提供方法の開発と実用化に関する研究

文献情報

文献番号
202008022A
報告書区分
総括
研究課題名
AYA世代がん患者に対する精神心理的支援プログラムおよび高校教育の提供方法の開発と実用化に関する研究
課題番号
19EA1012
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
堀部 敬三(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤 美和(聖路加国際病院 小児科)
  • 明智 龍男(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 精神・認知・行動医学分野)
  • 田中 恭子(国立成育医療研究センター)
  • 藤森 麻衣子(国立がん研究センター社会と健康研究センターコホート連携研究部)
  • 平山 貴敏(国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍科)
  • 土屋 雅子(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターがんサバイバーシップ支援部)
  • 前田 尚子(国立病院機構名古屋医療センター小児科)
  • 森 麻希子(埼玉県立小児医療センター 血液・腫瘍科)
  • 栗本 景介(名古屋大学 医学部付属病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
6,520,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、AYA世代がん患者に対して包括的な質の高い精神心理的支援および適切な後期中等教育を提供できるようにするため、①包括的精神心理支援プログラムの開発 ②疾患受容評価に基づく思春期の意思決定支援プログラムの開発 ③高校教育提供の方法および教育行政との連携方法の好事例集および保護者,医療者,高校教師に向けた高校教育支援の手引きの作成を行う。
研究方法
国立がん研究センター中央病院の支援プログラムの後方視的解析と外的妥当性を検討した結果を踏まえて精神心理支援プログラムを策定し、各施設のリソースに合わせて実施マニュアルを用いて多施設での臨床運用を行う。次年度にその情報を解析し、実施可能性を検討し手引きを作成する。A世代患者への病状説明の実態調査の結果を解析し、その結果を踏まえて意思決定の4要素モデルを用いたA世代版疾病受容評価面接法を開発する。次年度に臨床実装し、その実施可能性や有用性を検討して、面接法と支援をパッケージ化した意思決定支援手引きを作成する。また、トラウマインフォームドケアガイドを翻訳し、親向けのリーフレットを作成する。高校教育提供の現状について日本小児がん研究グループ(JCCG)参加施設に続き、成人白血病治療共同研究機構(JALSG)参加施設にアンケート調査を実施し、教育支援の実態を把握する。高校生がん患者の教育支援経験を有する施設に対してインタビュー調査を実施し、好事例について課題の整理と類型化を行い、それをもとに好事例集を作成する。双方向性遠隔教育システムを用いた教育支援の実証研究を行う。都道府県および政令都市教育委員会を対象に行ったアンケート調査の結果を分析し、教育委員会等行政と関係機関の連携のあり方を検討する。高校在学中にがん診断を受けた患者・保護者、がん診断をうけた高校生に対する教育経験を有する高校教師のインタビュー調査を行い、ニーズを把握して手引きを作成する。
結果と考察
包括的精神心理支援プログラムの開発にあたり、各施設のリソースに合わせて実施可能な支援プログラムの実施マニュアルを作成し、8施設353例に臨床運用を行った。目標実施例数200例を大幅に上回り、本プログラムの実施可能性の高さが示唆された。
小児がん拠点病院の医師を対象にA世代に対する病状説明の実態調査を行い、56部が回収され(回収率39%)、集計・解析した。意思決定支援に関連する重要要素が明確化され、専門家との意見交換を踏まえてA世代版疾病受容評価面接法を開発した。次年度に疾病受容評価面接および多職種による支援を数十例で実施・検討し、面接法と支援をパッケージ化した意思決定支援手引きを作成する。また、A世代患者の親に向けたトラウマインフォームドケアガイドを翻訳して、リーフレットを作成した。
高校生の教育支援の実施状況についてJCCG参加施設に続き、JALSG参加施設を対象にアンケート調査を実施し、99施設(回答率:44.4%)から回答を得た。回答率、高校教育の継続の経験値がいずれも十分でなく、成人診療科への啓発の必要性が示唆された。好事例を有するJCCG参加施設への二次調査により医療機関、行政、在籍高校、特別支援学校のそれぞれの関わりの実際、抱える課題などを整理し、類型化を行い、好事例集の構成と事例リストを作成した。入院中の高校生患者6人で双方向性遠隔教育システムを用いた教育支援を実施した。全国の教育委員会を対象にアンケート調査を行い、教育委員会、在籍校、医療機関等の連携により、適切に教育提供できた好事例を収集した。文科省の取り組みやコロナ禍の影響により遠隔教育の整備が進んだ現在、入院した高校生患者の把握と教育支援に繋げるための関係機関との調整が最重要課題と考えられる。高校在学中にがん診断を受けた患者・保護者、がん患者の教育経験を有する高校教師のインタビュー調査を行い、高校教育支援の手引きに求められる事柄を把握し、手引きの目次案を作成した。
結論
包括的精神心理的支援プログラムの開発、疾患受容評価に基づく思春期の意思決定支援プログラムの開発、高校教育提供の方法および教育行政との連携方法の好事例集および手引きの作成の3つのプロジェクトを遂行した。8施設での精神心理的支援プログラムの臨床運用、思春期意思決定支援として疾病受容評価面接および多職種による支援の実装の準備が完了した。高校教育提供の方法および教育行政との連携方法の好事例集の構成と事例リスト、および、保護者、医療者、高校教師向けの手引きの目次案の作成を完了した。次年度に各プロジェクトで開発されるツールを完成させ、全国の医療と支援の現場での普及を目指した啓発活動を行う。

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202008022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,996,000円
(2)補助金確定額
7,996,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,331,445円
人件費・謝金 3,455,397円
旅費 100,674円
その他 632,484円
間接経費 1,476,000円
合計 7,996,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2021-11-17
更新日
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