文献情報
文献番号
202008020A
報告書区分
総括
研究課題名
がん治療における緩和的放射線治療の評価と普及啓発のための研究
課題番号
19EA1010
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
茂松 直之(慶應義塾大学医学部 放射線科学教室)
研究分担者(所属機関)
- 高橋 健夫(埼玉医科大学 医学部)
- 大西 洋(山梨大学医学工学総合研究部)
- 白土 博樹(国立大学法人 北海道大学 大学院医学研究院)
- 鹿間 直人(埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科)
- 中村 直樹(聖マリアンナ医科大学放射線医学講座(放射線治療))
- 原田 英幸(静岡県立静岡がんセンター 放射線治療科)
- 渡辺 未歩(根本 未歩)(千葉大学大学院医学研究院画像診断・放射線腫瘍学)
- 森脇 健介(神戸薬科大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
5,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は,以下の2つである.
① 緩和的放射線治療に対する実態やニーズを把握する評価手法の開発,及び継続的に評価を行う基盤の確立
② 緩和的放射線治療の普及啓発に向けた施策の実施
① 緩和的放射線治療に対する実態やニーズを把握する評価手法の開発,及び継続的に評価を行う基盤の確立
② 緩和的放射線治療の普及啓発に向けた施策の実施
研究方法
① がん診療連携拠点病院等に従事する医療従事者及び患者・家族のニーズ,認知度,満足度,及び緩和的放射線治療の社会経済的価値を評価する手法,基盤を確立する.
② 適応判断の適正化を目指した以下の施策を行う.
「骨転移に対する診療ガイドラインの整備」
「患者・家族に対する情報提供(リーフレット等の作成)」
「骨転移キャンサーボードの推進」
「緩和医療チームとの連携強化」
また,利便性向上を目指した以下の施策を行う.
「放射線治療装置の無い長期療養型施設,在宅医療機関との連携強化」
「がん治療と仕事の両立支援」
② 適応判断の適正化を目指した以下の施策を行う.
「骨転移に対する診療ガイドラインの整備」
「患者・家族に対する情報提供(リーフレット等の作成)」
「骨転移キャンサーボードの推進」
「緩和医療チームとの連携強化」
また,利便性向上を目指した以下の施策を行う.
「放射線治療装置の無い長期療養型施設,在宅医療機関との連携強化」
「がん治療と仕事の両立支援」
結果と考察
① 緩和的放射線治療に対する実態やニーズを把握する評価手法の開発
・緩和照射の質の評価指標 (QI) を骨転移,脳転移に対して策定中である.
・日本放射線腫瘍学会のデータベースを用いた緩和照射の全国実態調査,Web調査法を用いた市民向けアンケートを実施した.
・商用レセプトデータベースを用いて,緩和的放射線治療の医療経済評価のために必要な費用パメータの推定方法の検討を行った.
・脊椎転移に対して,定位放射線治療の有用性が報告されている.従来型照射法との費用対効果比較を計画し,費用対効果に影響する諸因子と結果としての費用対効果を検討した.
② 緩和的放射線治療の普及啓発に向けた施策
a) 骨転移に対する診療ガイドラインの整備
骨転移に対する診療ガイドラインを整備するにあたり,国内の放射線治療施設において,骨転移に対する治療実態を前向き観察研究として調査を開始した.
b)リーフレットの作成・配布
国民が緩和的放射線治療の恩恵を十分に享受すべく,緩和的放射線治療に関する普及啓発を目的として,がん患者・家族向けリーフレット「放射線治療による緩和ケア」を作成し,日本放射線腫瘍学会認定施設に配布した.
c) 骨転移キャンサーボードの推進
関連診療科にヒアリングを行い,骨転移キャンサーボードの普及に対する障壁を調査した.その上で,キャンサーボードにおいて検討すべき病態等について検討している.
d) 放射線治療装置の無い長期療養型施設,在宅医療機関との連携強化
日本放射線治療学会員に対して全国アンケート調査を実施し,連携の現状を評価した.また,緩和ケアチームとの連携でモデルとなる施設の特色を分析した.
e) がん治療と仕事の両立支援
治療と仕事の両立支援に関する意識と実態に関する詳細な全国アンケートを日本放射線腫瘍学会員に対して行った.また,放射線治療医が療養・就労両立支援指導を行い易くするために,「がん放射線治療における療養と就労両立支援マニュアル」を作成し,全国の大学病院・都道府県がん診療連携拠点病院への配布を行った.
・緩和照射の質の評価指標 (QI) を骨転移,脳転移に対して策定中である.
・日本放射線腫瘍学会のデータベースを用いた緩和照射の全国実態調査,Web調査法を用いた市民向けアンケートを実施した.
・商用レセプトデータベースを用いて,緩和的放射線治療の医療経済評価のために必要な費用パメータの推定方法の検討を行った.
・脊椎転移に対して,定位放射線治療の有用性が報告されている.従来型照射法との費用対効果比較を計画し,費用対効果に影響する諸因子と結果としての費用対効果を検討した.
② 緩和的放射線治療の普及啓発に向けた施策
a) 骨転移に対する診療ガイドラインの整備
骨転移に対する診療ガイドラインを整備するにあたり,国内の放射線治療施設において,骨転移に対する治療実態を前向き観察研究として調査を開始した.
b)リーフレットの作成・配布
国民が緩和的放射線治療の恩恵を十分に享受すべく,緩和的放射線治療に関する普及啓発を目的として,がん患者・家族向けリーフレット「放射線治療による緩和ケア」を作成し,日本放射線腫瘍学会認定施設に配布した.
c) 骨転移キャンサーボードの推進
関連診療科にヒアリングを行い,骨転移キャンサーボードの普及に対する障壁を調査した.その上で,キャンサーボードにおいて検討すべき病態等について検討している.
d) 放射線治療装置の無い長期療養型施設,在宅医療機関との連携強化
日本放射線治療学会員に対して全国アンケート調査を実施し,連携の現状を評価した.また,緩和ケアチームとの連携でモデルとなる施設の特色を分析した.
e) がん治療と仕事の両立支援
治療と仕事の両立支援に関する意識と実態に関する詳細な全国アンケートを日本放射線腫瘍学会員に対して行った.また,放射線治療医が療養・就労両立支援指導を行い易くするために,「がん放射線治療における療養と就労両立支援マニュアル」を作成し,全国の大学病院・都道府県がん診療連携拠点病院への配布を行った.
結論
・緩和的放射線治療の費用対効果を公表することで,緩和的放射線治療の適正使用および医療費の軽減に貢献することができる.
・緩和照射を適正に評価すべくQIを作成し,このQIを用いて骨転移・脳転移に対する緩和照射の評価を行い,普及につなげる.
・診療ガイドラインの整備,骨転移キャンサーボードの推進,緩和医療チーム・長期療養型施設・在宅医療機関との連携強化を通じて,緩和的放射線治療の適正使用に貢献することができる.
・骨転移に対する多施設前向き観察研究の結果を解析し,国内の骨転移緩和照射の実態ならびに症状緩和効果を明らかにし,緩和照射の普及に結び付ける.
配布した患者,家族に対する緩和的放射線治療説明用のリーフレットの評価を一般市民と医療者向けのアンケート調査で行い,普及啓発にリーフレットが有用かどうか評価する.
・調査した「がん治療と仕事の両立」に関する学会員の理解度を元に,緩和的放射線治療を活用する指針を示す.
・緩和照射を適正に評価すべくQIを作成し,このQIを用いて骨転移・脳転移に対する緩和照射の評価を行い,普及につなげる.
・診療ガイドラインの整備,骨転移キャンサーボードの推進,緩和医療チーム・長期療養型施設・在宅医療機関との連携強化を通じて,緩和的放射線治療の適正使用に貢献することができる.
・骨転移に対する多施設前向き観察研究の結果を解析し,国内の骨転移緩和照射の実態ならびに症状緩和効果を明らかにし,緩和照射の普及に結び付ける.
配布した患者,家族に対する緩和的放射線治療説明用のリーフレットの評価を一般市民と医療者向けのアンケート調査で行い,普及啓発にリーフレットが有用かどうか評価する.
・調査した「がん治療と仕事の両立」に関する学会員の理解度を元に,緩和的放射線治療を活用する指針を示す.
公開日・更新日
公開日
2021-09-13
更新日
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