実地臨床における支持療法の実装実態及び普及阻害/促進要因に関する研究

文献情報

文献番号
202008019A
報告書区分
総括
研究課題名
実地臨床における支持療法の実装実態及び普及阻害/促進要因に関する研究
課題番号
19EA1009
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
全田 貞幹(国立研究開発法人国立がん研究センター 東病院放射線治療科)
研究分担者(所属機関)
  • 田村 和夫(福岡大学 研究推進部)
  • 佐伯 俊昭(埼玉医科大学 医学部 乳腺腫瘍科)
  • 内富 庸介(国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院支持療法開発部門)
  • 奥山 徹(名古屋市立大学大学院 医学研究科 精神・認知・行動医学)
  • 安部 正和(静岡県立静岡がんセンター 婦人科)
  • 貞廣 良一(国立研究開発法人国立がん研究センター研究所免疫創薬部門)
  • 華井 明子(国立研究開発法人理化学研究所科技ハブ産連本部 (RCSTI))
  • 島津 太一(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部)
  • 野澤 桂子(国立研究開発法人国立がん研究センター 中央病院 アピアランス支援センター)
  • 東 尚弘(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センターがん登録センター)
  • 奥山 絢子(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター院内がん登録分析室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
①有害事象に対する単一介入の普及状況について量的調査により明らかにし、それを踏まえ、普及を阻害/促進している要因についてインタビュー等の質的な調査手法を用いて明らかにする。
② 有害事象に対する多職種連携チームによる複合的介入の普及状況の把握する。
③支持療法普及の阻害/促進要因を改善/推進するための具体的な対策案について提案する
研究方法
単一介入については化学療法誘発性嘔吐(CINV)および発熱性好中球減少(FN)を単一介入の代表例として調査を行う。
・化学療法誘発性嘔吐(CINV)
がん対策情報センターでがん診療連携拠点病院を対象に行ったQuality indicatorの調査をもとに、CINV対策実態調査について所定の手続きを経て活用する。また、既に収集されているCINV対策の未実施理由を詳細に分析し、二次的な分析参加施設を募集して、応募施設に対して詳細なインタビューを行うことで普及阻害/促進要因を洗い出す。
また、インタビューは実装研究のための統合フレームワーク(Consolidated Framework for Implementation Research、CFIR)に準拠して行う。

・発熱性好中球減少(FN)
日本がんサポーティブケア学会FN部会でアンケート内容を作成し、日本臨床腫瘍学会等主要な学会を通じて臨床医個人単位でのFN高リスクレジメン使用時の予防的G-CSF投与の実施率について調査する。実施率の調査項目は、FN高リスクレジメンに関する事項・予防的G-CSF投与に関する事項・所属病院/所属部署・経験年数である。

複合的介入に関しては、治療に伴うせん妄を典型例として取り上げる
・治療に伴うせん妄
各学会が出版しているガイドライン・ガイダンス・手引書で重複した記載がある中で共通して行うべき手技/ケアとしている部分について拾い出しを行う。その中からDPCデータもしくは臨床医個人単位での実施率調査として数値として抽出可能な項目を検討する。
結果と考察
結果
・化学療法誘発性嘔吐(CINV)
低リスク催吐性リスク抗がん剤使用時に5-HT3を使用しているというデータについて実地調査を行ったところ、がん専門病院では原則は使用せず1コース目の状況を見て使用するというった柔軟な対応がとられており、DPCの調査では見えなかった適切な対応がなされていた。一方、催吐性リスクに関係なく昔に作成したレジメンが変更されずにdefaultで制吐剤が組み込まれている施設もあった。
・発熱性好中球減少(FN)
日本臨床腫瘍学会、日本乳がん学会、日本がんサポーティブケア学会、日本血液学会の協力を得て学会員個人単位でサーベイモンキーを用いて実態調査を行った。2020年5月15日にデータ収集を終了した。
G-CSFの使用、抗菌剤の使用についてはおおむねガイドラインを参照していたが予防的G-CSFの投与については薬価の問題などがあり遵守されていない箇所があった。
今後はインタビュー調査を併用し、これらの解決策及びQuality Indicatorの設定を行う予定である。
・治療に伴うせん妄/CIPN/アピアランスケア
ガイドライン内で高いエビデンスレベルに基づく「強く推奨」される介入が非常に少ないことが判明し、結論としてはまずガイドラインの整備から行うべきで普及実装のphaseには到達していないと判断したためスコープから外した。
今後はガイドラインの整備に重点を置いて行う。
C. 考察
CINV: 、レジメン登録への薬剤師の関与と定期的なレジメン登録の見直しを行うことで是正できる可能性が示唆された。
FN:G-CSFの使用、抗菌剤の使用についてはおおむねガイドラインを参照していたが予防的G-CSFの投与については薬価の問題などがあり遵守されていない箇所があった。
今後はインタビュー調査を併用し、これらの解決策及びQuality Indicatorの設定を行う予定である。
結論
CINV FNを中心に継続して研究を行い、がん診療拠点病院の基準の中に支持療法の指標を含めることで患者が安心安全に受診できるかどうかを可視化していく

公開日・更新日

公開日
2021-09-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202008019B
報告書区分
総合
研究課題名
実地臨床における支持療法の実装実態及び普及阻害/促進要因に関する研究
課題番号
19EA1009
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
全田 貞幹(国立研究開発法人国立がん研究センター 東病院放射線治療科)
研究分担者(所属機関)
  • 田村 和夫(福岡大学 研究推進部)
  • 佐伯 俊昭(埼玉医科大学 医学部 乳腺腫瘍科)
  • 内富 庸介(国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院支持療法開発部門)
  • 奥山 徹(名古屋市立大学大学院 医学研究科 精神・認知・行動医学)
  • 安部 正和(静岡県立静岡がんセンター 婦人科)
  • 貞廣 良一(国立研究開発法人国立がん研究センター研究所免疫創薬部門)
  • 華井 明子(国立研究開発法人理化学研究所科技ハブ産連本部 (RCSTI))
  • 島津 太一(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部)
  • 野澤 桂子(国立研究開発法人国立がん研究センター 中央病院 アピアランス支援センター)
  • 東 尚弘(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センターがん登録センター)
  • 奥山 絢子(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター院内がん登録分析室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
①有害事象に対する単一介入の普及状況について量的調査により明らかにし、それを踏まえ、普及を阻害/促進している要因についてインタビュー等の質的な調査手法を用いて明らかにする。
② 有害事象に対する多職種連携チームによる複合的介入の普及状況の把握する。
③支持療法普及の阻害/促進要因を改善/推進するための具体的な対策案について提案する
研究方法
単一介入については化学療法誘発性嘔吐(CINV)および発熱性好中球減少(FN)を単一介入の代表例として調査を行った。
・化学療法誘発性嘔吐(CINV)
がん対策情報センターでがん診療連携拠点病院を対象に行ったQuality indicatorの調査をもとに、CINV対策実態調査について所定の手続きを経て活用する。また、既に収集されているCINV対策の未実施理由を詳細に分析し、二次的な分析参加施設を募集して、応募施設に対して詳細なインタビューを行うことで普及阻害/促進要因を洗い出した。
また、インタビューは実装研究のための統合フレームワーク(Consolidated Framework for Implementation Research、CFIR)に準拠して行った
・発熱性好中球減少(FN)
日本がんサポーティブケア学会FN部会でアンケート内容を作成し、日本臨床腫瘍学会等主要な学会を通じて臨床医個人単位でのFN高リスクレジメン使用時の予防的G-CSF投与の実施率について調査する。実施率の調査項目は、FN高リスクレジメンに関する事項・予防的G-CSF投与に関する事項・所属病院/所属部署・経験年数である。

複合的介入に関しては、治療に伴うせん妄を典型例として取り上げる
・治療に伴うせん妄
各学会が出版しているガイドライン・ガイダンス・手引書で重複した記載がある中で共通して行うべき手技/ケアとしている部分について拾い出しを行う。その中からDPCデータもしくは臨床医個人単位での実施率調査として数値として抽出可能な項目を検討する。
結果と考察
研究結果
・化学療法誘発性嘔吐(CINV)
低リスク催吐性リスク抗がん剤使用時に5-HT3を使用しているというデータについて実地調査を行ったところ、がん専門病院では原則は使用せず1コース目の状況を見て使用するというった柔軟な対応がとられており、DPCの調査では見えなかった適切な対応がなされていた。一方、催吐性リスクに関係なく昔に作成したレジメンが変更されずにdefaultで制吐剤が組み込まれている施設もあった。
・発熱性好中球減少(FN)
日本臨床腫瘍学会、日本乳がん学会、日本がんサポーティブケア学会、日本血液学会の協力を得て学会員個人単位でサーベイモンキーを用いて実態調査を行った。2020年5月15日にデータ収集を終了した。
G-CSFの使用、抗菌剤の使用についてはおおむねガイドラインを参照していたが予防的G-CSFの投与については薬価の問題などがあり遵守されていない箇所があった。
今後はインタビュー調査を併用し、これらの解決策及びQuality Indicatorの設定を行う予定である。
・治療に伴うせん妄/CIPN
/アピアランスケア
ガイドライン内で高いエビデンスレベルに基づく「強く推奨」される介入が非常に少ないことが判明し、結論としてはまずガイドラインの整備から行うべきで普及実装のphaseには到達していないと判断したためスコープから外した。
今後はガイドラインの整備に重点を置いて行う。
考察
CINV: 、レジメン登録への薬剤師の関与と定期的なレジメン登録の見直しを行うことで是正できる可能性が示唆された。
FN:G-CSFの使用、抗菌剤の使用についてはおおむねガイドラインを参照していたが予防的G-CSFの投与については薬価の問題などがあり遵守されていない箇所があった。
今後はインタビュー調査を併用し、これらの解決策及びQuality Indicatorの設定を行う予定である。
結論
CINV FNを中心に継続して研究を行い、がん診療拠点病院の基準の中に支持療法の指標を含めることで患者が安心安全に受診できるかどうかを可視化していく

公開日・更新日

公開日
2021-09-13
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202008019C

収支報告書

文献番号
202008019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,800,000円
(2)補助金確定額
6,409,795円
差引額 [(1)-(2)]
1,390,205円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 844,005円
人件費・謝金 2,384,700円
旅費 14,740円
その他 1,366,350円
間接経費 1,800,000円
合計 6,409,795円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-