薬物乱用・依存等の実態把握と「回復」に向けての対応策に関する研究

文献情報

文献番号
200735062A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物乱用・依存等の実態把握と「回復」に向けての対応策に関する研究
課題番号
H19-医薬-一般-025
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
和田 清(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 尾崎 茂(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
  • 庄司 正実(目白大学人間社会学部)
  • 嶋根 卓也(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
  • 福永 龍繁(東京都監察医務院)
  • 宮永 耕(東海大学健康科学部)
  • 松本 俊彦(国立精神・神経センター精神保健研究所精神保健計画部)
  • 近藤 あゆみ(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(研究1)薬物乱用・依存等の実態把握調査と(研究2)「回復」に向けての対応策研究を実施し、薬物乱用・依存対策の立案・評価の際の基礎資料として資する。
研究方法
(研究1)1.全国住民調査(層化二段無作為抽出)、4.大学新入生調査を実施し、来年度に予定している2.全国精神病院調査、3.全国児童自立支援施設調査、5.監察医務院調査の準備を行った。(研究2)イ.社会復帰資源に関する研究、ロ.少年施設における教育ツール開発研究、ハ.家族介入の有効性研究を行った。
結果と考察
(研究1)1.全国住民調査:【飲酒】①飲酒1年経験率は、男性で88.5%、女性で79.1%、全体で83.6%であった。【喫煙】①喫煙1年経験率は、男性で44.8%、女性で17.0%、全体で30.3%であった。【医薬品】①この1年間に1回でも使用したことのある医薬品としては、①風邪薬、②鎮痛薬、③目薬の順に頻度が高かった。②鎮痛薬、精神安定薬、睡眠薬をこの1年間に使用したことのある者の割合は、鎮痛薬で55.4%、精神安定薬で8.0%、睡眠薬で7.6%であった。【違法薬物】①違法性薬物乱用の生涯被誘惑率は、有機溶剤:3.30%、大麻:2.06%、覚せい剤:1.25%、コカイン:0.36%、MDMA:0.44%、ヘロイン:0.22%の順に高かった。また、いずれかの薬物の使用への生涯被誘惑率は4.94%であった。②生涯経験率は、有機溶剤:2.26%、大麻:0.96%、覚せい剤:0.44%、コカイン:0.14%、MDMA:0.12%であった。また、いずれかの薬物の生涯経験率は2.90%であった。4. 大学新入生調査:薬物乱用経験率は2.8%であった。有機溶剤(0.8%)、ガス(0.8%)が最も多く、向精神薬(0.5%)、リタリン(0.3%)であった。
(研究2)イ.ダルクはサービスプロバイダとしての機能を外部的に要求される局面に直面していた。ロ.少年鑑別所における自習用薬物乱用防止教育ツールを開発した。ハ、「家族会参加群」では、途中退寮した者の割合が低く、家族の家族会への参加の有効性が示唆された。
結論
大麻の生涯被誘惑率・経験率は過去2番目、1年被誘惑率は過去最高、MDMAの1年経験者認知率は有意増加であり、乱用状況は従来の有機溶剤優位型から欧米型(大麻優位型)に変化してきている。また薬物依存症者「回復」支援用の社会復帰資源不足が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-14
更新日
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