乱用薬物の分析・同定に関する研究

文献情報

文献番号
200735061A
報告書区分
総括
研究課題名
乱用薬物の分析・同定に関する研究
課題番号
H19-医薬-一般-024
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所生薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 花尻 瑠理(国立医薬品食品衛生研究所生薬部)
  • 福原 潔(国立医薬品食品衛生研究所有機化学部)
  • 代田 修(徳島文理大学香川薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は,(1)麻薬関連4法で規制されている化合物や植物類について,薬物の乱用に的確に対応するため,代謝物を検討するとともに合成し,毛髪や尿からの代謝物まで含めた分析と同定方法等を確立する;(2)新たに麻薬・向精神薬指定される蓋然性の高い薬物(植物を含む)について,指定後の迅速な取締り等に対応出来るよう,規制範囲の検討,代謝物の検討と分析法の確立を行う;(3)麻薬・向精神薬成分を含有する可能性の高い植物について,規制の範囲を検討するため,調査・分析を行うと共に鑑定法の確立を行う等を目的とする.
研究方法
 使用した麻薬,向精神薬,指定薬物等は,主に国立衛研で研究用として合成,入手,保管されているものを用いた.動物は濃茶褐色の体毛を有するDark-Agoutiラット(♂,5週齢)を使用した.種の確認できた植物については,医薬基盤研種子島研究部に系統保存を依頼した.
結果と考察
 (1)ヒト試料での分析に対応できるように,MDMA及び,シロシンおよびシロシビンの代謝物の合成を行った.また,リタリンについて,動物実験により,リタリン並びに主代謝物であるリタリン酸及びアルコールとの併用により体内で生成する活性物質エチルフェニデートの血中,尿中,毛髪中の挙動を検討した.さらに,麻薬5-MeO-DIPTと異性体5-MeO-DPTとが識別可能な毛髪中及び血漿中からの薬物高感度迅速分析法を開発した.フェネチルアミン系麻薬・覚せい剤21種について蛍光検出HPLC及びGCを用いた尿中からの鑑定試験法を確立した.(2)オリパビンの分析法を確立するとともに,2C-Iについて,血中,尿中及び毛髪中薬物の分析法を確立した.(3)カートの新鮮葉に含有される幻覚物質であるカチノンとその関連化合物であるエフェドリン類を全て合成した他,今後麻薬指定される可能性のある幻覚性植物の標準試料の確保,維持を行った.また,柱状サボテンから麻薬を抽出しようと企てる法違反事犯に対応するため,生鮮状態のサボテン中のメスカリンの迅速分析法を確立した.
結論
 本研究は,監視指導麻薬対策課と密接な連絡のもと遂行され,その成果は厚生労働省の乱用薬物行政と乱用薬物取締りに直接貢献することになる.

公開日・更新日

公開日
2010-05-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)